「承りました」と「承知しました」の違い|電話・メールの使い分けと例文
取引先から伝言を頼まれたときは、「承知しました」と「承りました」のどちらが自然なのだろう。
メールで依頼を受けたけれど、「承りました」では堅すぎる気もする。
どちらも丁寧な返事なので、何となく使い分けている人も多いかもしれません。
「承知しました」は、内容や事情を理解し、受け入れたことを伝える表現です。一方の「承りました」は、依頼・注文・伝言などを受けたことに重点があります。
ただし、二つの意味が重なる場面もあります。「こちらが正解」と決めるより、何を相手に伝えたいのかで選ぶと自然です。
この記事では、電話とメールの場面を中心に、二つの表現の違いとそのまま使える例文を紹介します。
「承りました」と「承知しました」の違いを30秒で確認
「承知しました」は、内容や事情を理解し、受け入れたと伝えるときに使います。
「承りました」は、依頼・注文・予約・伝言などを受け付けたことや、引き受けたことを伝えるときに向いています。
迷ったときは、次の表で判断できます。
| 返答で伝えたいこと | 基本の表現 | 返答例 | 前面に出る意味 |
|---|---|---|---|
| 日程や事情を理解した | 承知しました | 日程変更の件、承知しました | 理解・受け入れ |
| 注文・予約・伝言を受けた | 承りました | ご予約を承りました | 受付・引き受け |
| 依頼を引き受ける | どちらも使える | ご依頼の件、承知しました/承りました | 理解・受諾/引き受け |
| 内容は把握したが可否は未定 | どちらも単独では使わない | 内容を確認しました。可否は明日ご連絡します | 確約前であることを示す |

「承知しました」は内容や事情を理解し、受け入れた返事
「承知」には、事情を知る、内容を理解する、依頼や要求を聞き入れるという意味があります。
そのため、「承知しました」は、日程変更や連絡事項を把握したときの返事として自然です。
会議の開始時刻が14時に変更になった件、承知しました。
この例では、何かを正式に受け付けたというより、「変更内容を理解し、その予定で対応します」と伝えています。
上司から業務上の指示を受けたときにも使えます。
承知しました。修正版は本日17時までに提出します。
「分かりました」だけで終わらず、次の行動まで伝えられるため、相手も予定を立てやすくなります。
「承りました」は依頼・注文・伝言などを受けた返事
「承りました」は、「承る」の過去形です。
「承る」には、目上の相手から何かを受ける、話を聞く、依頼を引き受けるという意味があります。
そのため、次のように、受付や引き受けを伝える場面に向いています。
4月20日14時で、ご予約を承りました。
追加で2点のご注文を承りました。
営業部の佐藤宛てのご伝言、確かに承りました。
「こちらが責任を持って受けました」という姿勢が伝わりやすいため、接客や電話対応でもよく使われます。
両方使える場面では「理解」と「受け付け」のどちらを伝えるかで選ぶ
依頼への返事では、どちらも使える場合があります。
例えば、取引先から「資料を明日までに送ってください」と頼まれた場面です。
ご依頼の件、承知しました。明日15時までにお送りします。
「依頼内容を理解し、そのとおり対応する」という返事です。一般的なビジネスメールにもなじみます。
資料送付のご依頼、承りました。明日15時までにお送りします。
こちらは、「依頼を確かに受け、引き受けた」という印象が強くなります。顧客対応や受付業務など、依頼を受ける側の立場を明確にしたい場面に向いています。
どちらが正しいかではなく、理解したことを示すのか、引き受けたことを示すのかで選びましょう。
二つの言葉の意味と敬語の成り立ち
二つの表現は、どちらも「分かりました」に近い返事として使われます。
ただし、言葉の成り立ちと中心になる意味は同じではありません。
「承りました」は「承る」に「ました」を付けた形
「承る」は、「受ける」「聞く」「伝え聞く」「引き受ける」の謙譲語です。
自分側の行為を控えめに表し、話を聞いた相手や依頼をした相手を立てます。
「ました」は、丁寧語「ます」の過去形です。そのため、「承りました」は「謹んで受けました」「確かにお聞きしました」という丁寧な表現になります。
何を承ったのかによって、意味も少し変わります。
注文を承りました:注文を受け付けました
伝言を承りました:伝言を聞き、預かりました
ご依頼を承りました:依頼を引き受けました
お話を承りました:話を聞きました
ただ「理解した」と伝えるだけでなく、受ける、聞く、引き受けるという行為を表せる言葉です。
「承知」には理解と承諾の両方が含まれる
「承知」には、事情を知っていることのほか、依頼や要求を聞き入れる意味もあります。
そのため、「承知しました」は、単に「内容は読みました」と知らせるだけの返事とは限りません。
例えば、仕事を頼まれたときに「承知しました」と答えると、相手は「依頼を引き受けてもらえた」と受け取るのが一般的です。
内容を理解したものの、引き受けられるか分からない場合は注意が必要です。
ご依頼の内容を確認しました。対応の可否は、明日正午までにご連絡します。
このように、確認済みであることと、まだ回答前であることを分けて書けば、誤解を防げます。
「承りました」のほうが常に丁寧というわけではない
「承りました」は、「承知しました」をさらに丁寧にした言葉ではありません。
二つは敬意の強さを競う言葉ではなく、返事の役割が異なります。
日程変更を知らされたのであれば、「承知しました」が自然です。注文を正式に受け付けたのであれば、「承りました」が内容に合います。
相手が上司だから「承知しました」、お客様だから必ず「承りました」と決まるわけでもありません。同じお客様との会話でも、受けた内容によって表現は変わります。
丁寧に見える言葉を機械的に選ぶより、その場で果たす役割に合う言葉を選ぶほうが伝わりやすくなります。
電話では伝言・注文・予定変更で使い分ける
電話では、声だけで「聞き取った」「受け付けた」「次に対応する」ということを伝えなければなりません。
そのため、「承りました」の後に担当者名や次の対応を添えると、相手に安心してもらえます。

伝言を預かったら「私、〇〇が承りました」
担当者が不在のときは、伝言の内容を復唱したうえで、自分の名前を伝えます。
相手:
営業部の佐藤様に、納期の件で電話したとお伝えいただけますか。
受け手:
納期の件ですね。佐藤に申し伝えます。私、田中が承りました。
「承りました」だけでも伝言を受けたことは伝わります。
そこに「佐藤に申し伝えます」と「田中が承りました」を添えることで、誰が聞き、どう引き継ぐのかが明確になります。
伝言の内容に日時や数字が含まれるときは、先に復唱すると確実です。
4月18日の打ち合わせを15時に変更したいとのことですね。確かに承りました。担当の山本に申し伝えます。
予約・注文・問い合わせを受け付けたら「承りました」
電話で予約や注文を受けた場合は、「承りました」が自然です。
4月20日14時から、2名様でご予約を承りました。
A商品を2点、B商品を1点で、ご注文を承りました。
返品についてのお問い合わせを承りました。内容を確認し、本日中に担当者からご連絡します。
日時、人数、商品名、数量などは、「承りました」の前に復唱します。
「受けました」と返すだけでは、聞き間違いがあっても気づけません。相手が訂正できる形で確認してから、受付完了を伝えましょう。
日程や説明を理解した返事は「承知しました」
電話でも、連絡事項や事情を理解したときは「承知しました」が使えます。
相手:
明日の訪問時間ですが、10時から11時に変更をお願いできますか。
受け手:
11時への変更ですね。承知しました。当日は11時にお待ちしております。
ただし、予約システムへの変更受付として返答するなら、次の言い方も自然です。
11時への変更を承りました。予約内容を更新いたします。
前者は「変更を理解し、受け入れたこと」、後者は「変更依頼を受け付けたこと」に重点があります。
同じ電話でも、自分がその場で何をしているのかによって使い分けられます。
担当者名と次の対応を添える
電話では、返事の後に次の行動を一言添えると、相手の不安を減らせます。
まだ確認が必要な問い合わせに対して、「承りました。大丈夫です」と答えるのは避けましょう。
受け付けたことと、要望どおりに対応できることは別です。
ご要望は承りました。対応可能か確認し、本日中にご連絡します。
これなら、問い合わせを受けたことは伝えつつ、確認前の確約も避けられます。
伝言の受け方だけでなく、第一声や取り次ぎ、保留、終わりの挨拶も確認したい方は、電話対応で使える敬語フレーズも参考にしてください。
メールでは「何を受けたか」と次の行動まで書く
メールは文章が残るため、「承知しました」「承りました」の一言だけでは、どこまで理解し、何を引き受けたのかが曖昧になることがあります。
対象と次の行動を続けて書くと、簡潔でも伝わる返信になります。

日程変更・連絡事項・指示には「承知しました」
日程変更を受け入れるメールでは、変更後の日時も書きます。
日程変更の件、承知しました。
4月18日15時に貴社へ伺います。
上司から修正を指示された場合は、対応期限を添えます。
資料の修正箇所について承知しました。
本日17時までに修正版をお送りします。
内容を理解しただけで、こちらに作業が発生しない場合は、次のように書けます。
来週の会議室が3階へ変更になる件、承知しました。
ご連絡ありがとうございます。
「何を承知したのか」が分かるため、後からメールを見返したときにも認識のずれが起きにくくなります。
注文・予約・申込みの受付通知には「承りました」
企業や店舗が受付完了を知らせるメールでは、「承りました」が使いやすい表現です。
このたびはお申し込みいただき、ありがとうございます。
4月20日開催のセミナーへのお申し込みを承りました。
注文内容を確認するメールでは、受付後の予定も伝えます。
下記の内容でご注文を承りました。
商品は4月22日に発送予定です。
問い合わせの受信通知にも使えます。
商品の不具合に関するお問い合わせを承りました。
内容を確認のうえ、2営業日以内に担当者からご連絡します。
この段階では、問い合わせを受け付けただけです。「解決しました」「希望どおり対応できます」とまでは伝えていません。
一言だけで返信を終わらせない
次のような返信は、間違いではありません。
承知しました。
ただし、依頼が複数ある場合は、何を引き受けたのか分かりにくくなります。対応する意思は伝わっても、期限を把握しているかまでは判断できません。
次のように、対象と行動を加えます。
資料の表記を修正し、4月18日までに再提出する件、承知しました。
完了後に改めてご連絡します。
「承りました」を使う場合も同じです。
ご依頼を承りました。
これだけでは、いつ対応するのかが分かりません。
見積書作成のご依頼を承りました。
4月19日正午までにメールでお送りします。
長い説明を加えなくても、相手が知りたい情報を一つ添えるだけで十分です。
まだ引き受けられないときは回答期限を書く
依頼の内容を理解していても、自分だけでは判断できないことがあります。
そのときに「承知しました」と返すと、依頼を引き受けたと受け取られる可能性があります。「承りました」は、さらに引き受けた印象が強くなります。
検討が必要な場合は、確認済みであることと回答予定を分けて伝えます。
ご依頼の内容を確認しました。
社内で検討のうえ、4月19日までに対応可否をご連絡します。
メールを受け取ったことだけを先に知らせるなら、次の形も使えます。
ご依頼のメールを受領しました。
担当部署に確認し、明日正午までに回答いたします。
すぐに返事ができないこと自体は失礼ではありません。いつまでに回答するかが分かれば、相手も待ち方を判断できます。
返信の一言だけでなく、件名や書き出し、結びまで整えたい方は、伝わるビジネスメールの書き方も参考にしてください。
「承知いたしました」「かしこまりました」などとの違い
似た表現を、丁寧さだけで並べると使い分けに迷います。
それぞれが何を伝える言葉なのかで考えてみましょう。
「承知いたしました」はより改まった返事
「承知いたしました」は、「承知しました」をより改まって伝える表現です。
初めて連絡する取引先やお客様、正式なメールなどで使えます。
ご提示いただいた条件について、承知いたしました。
当日の進行方法について、承知いたしました。
「承知しました」でも失礼ではありません。社内で日常的にやり取りする上司には、「承知しました」のほうが自然な場合もあります。
相手との関係や、そのメールの改まり具合に合わせて選びましょう。
「かしこまりました」は接客で依頼や指示を受ける返事
「かしこまりました」は、相手の依頼や指示を謹んで受ける返事です。
飲食店、ホテル、窓口、電話受付など、お客様にその場で応対する場面になじみます。
お客様:
できれば窓側の席をお願いします。
担当者:
かしこまりました。空席を確認いたします。
予約内容が確定した後は、次のように「承りました」を使えます。
窓側のお席でご予約を承りました。
「かしこまりました」は依頼への返事、「承りました」は予約を受け付けた報告として使い分けています。
「了解しました」「確認しました」「拝受しました」との違い
| 表現 | 主に伝えること | 例文 |
|---|---|---|
| 了解しました | 内容を理解した | 集合時間の変更、了解しました |
| 確認しました | 実際に内容を確かめた | 修正版の内容を確認しました |
| 拝受しました | 書類やデータを受け取った | 添付資料を拝受しました |
| 承りました | 依頼・注文・伝言を受けた | 見積書作成のご依頼を承りました |
「了解しました」は丁寧語ですが、社外や目上の相手には少しカジュアルだと感じられる場合があります。
「了解しました」を上司や取引先に使えるか迷う場合は、「承知しました」と「了解しました」の詳しい違いもあわせてご覧ください。
「確認しました」は、実際に中身を見たり、誤りがないか確かめたりした後に使います。届いただけでまだ見ていない場合は、「受領しました」のほうが正確です。
「拝受しました」は、書類や資料、データなどを受け取ったことに焦点があります。「承りました」のように、依頼を引き受けた意味までは通常含みません。
受領、内容確認、承認、対応開始をさらに細かく分けたい場合は、「確認しました」の丁寧な言い換えと使い分けで場面別の表現を確認できます。
よくある誤解と不自然な使い方
「承りました」と「承知しました」は、使い方を間違えると必ず失礼になる言葉ではありません。
文法的には問題がなくても、こちらの状況と返事の意味が合わず、誤解を生むことがあります。
「承りました」のほうが常に丁寧だと思い込む
次の返事は間違いとは言い切れません。
会議が中止になった件、承りました。
ただし、この場合は何かを引き受けたのではなく、中止の連絡を理解した場面です。
会議が中止になった件、承知しました。
こちらのほうが、返事の役割に合っています。
反対に、予約を正式に受け付けたのであれば、「ご予約を承りました」が自然です。
丁寧に見せるために置き換えるのではなく、何をしたのかに合わせて選びます。
承諾前なのに「承知しました」と確約してしまう
次の依頼を受けたとします。
来月から、毎週金曜日の業務も担当してもらえますか。
ここで「承知しました」と答えると、通常は担当を引き受けた返事になります。
勤務予定や業務量を確認しなければ判断できない場合は、すぐに承諾しない形で返します。
ご依頼の内容は確認しました。現在の業務予定を確認し、明日までに回答します。
「内容を読んだ」という返事と、「引き受ける」という返事を分けることで、無理な約束を避けられます。
「ご注文をお承りいたしました」と敬語を重ねる
丁寧にしようとして、次のように書くことがあります。
ご注文をお承りいたしました。
「承る」自体が謙譲語なので、「お承りいたしました」と重ねると回りくどく見えます。
ご注文を承りました。
これだけで十分に丁寧です。
「ご注文」の「ご」は、相手から受けた注文を丁寧に示しています。その後の動詞まで複雑にする必要はありません。
返事だけで次の対応を示さない
「承知しました」「承りました」は便利ですが、どの依頼にも同じ一言だけを返すと、相手は本当に伝わったのか不安になることがあります。
返事の後には、必要に応じて次のいずれかを添えます。
納期を4月25日に変更する件、承知しました。社内の予定も更新します。
カタログ送付のご依頼を承りました。本日中に発送いたします。
例文を長くする必要はありません。相手が次に知りたい情報を一つ加えるだけで、返事の意味が明確になります。

「承りました」と「承知しました」に関するよくある質問
「承りました」は上司への返事にも使えますか?
使えます。ただし、上司からの日常的な業務指示には「承知しました」のほうが自然な場合が多いでしょう。
「承りました」は、依頼を正式に引き受けたことや、伝言を預かったことを表したい場面に向いています。上司かどうかだけで決めず、何を受けたのかで判断します。
「承知しました」は取引先やお客様に失礼ですか?
一般的には失礼ではありません。取引先やお客様にも使える丁寧な返事です。
より改まったメールでは「承知いたしました」、接客で依頼に応じるときは「かしこまりました」が合うこともあります。会社の応対方針がある場合は、決められた表現に合わせましょう。
「承知いたしました」は二重敬語ですか?
一般に、問題なく使える表現です。
「承知」に「する」の謙譲表現である「いたす」と、丁寧語の「ます」を組み合わせています。ビジネスメールでも広く使われています。
ただし、日常的な社内連絡では堅く感じられることがあります。相手との距離に合わせて「承知しました」と使い分けると自然です。
依頼を検討中なら、どちらを使えばよいですか?
「承知しました」「承りました」のどちらも、単独では使わないほうが誤解を防げます。承諾や引き受けが完了したと受け取られる可能性があるためです。
ご依頼内容を確認しました。対応可否は4月19日までにご連絡します。
このように、内容を把握したことと、回答前であることを分けて伝えます。
電話の最後に「〇〇が承りました」と名乗る必要はありますか?
すべての電話で名乗る必要はありません。
伝言、予約、注文、苦情など、後から担当者を確認する可能性がある電話では、名前を添えると相手が安心できます。
ご伝言は、私、田中が承りました。
名前を名乗った後は、担当者への引き継ぎや折り返し予定も伝えておきましょう。
まとめ|理解・受け付け・保留の三つで選ぶ
迷ったときに思い出したい使い分け
「承りました」と「承知しました」は、丁寧さだけで選ぶ言葉ではありません。
- 内容や事情を理解し、受け入れたときは「承知しました」
- 注文・予約・伝言を受け付けたときは「承りました」
- 依頼への返事では、どちらも使える場合がある
- まだ確約できないときは、確認済みであることと回答期限を伝える
- 電話やメールでは、返事の後に次の行動を添える
「自分は何を受け取り、どこまで約束できるのか」を考えると、その場に合う返事を選びやすくなります。
ことのは先生よりひとこと

敬語は、難しい言葉を選ぶためのものではありません。
何を受け取り、次にどうするのかが伝われば、短い返事でも十分に丁寧です。
迷ったときは、相手が安心できる一言を添えてみてください。





