仕事のやり方を変えてほしい時の伝え方|責めない改善提案の言い方
仕事のやり方を変えてほしいと思う場面は、誰にでもあります。
ただ、言い方を間違えると「責められた」「否定された」と受け取られやすいでしょう。
すると相手は守りに入り、提案の中身が届かなくなります。
本来は改善のための話なのに、関係だけが悪くなる。
それが一番もったいないところです。
改善提案で大切なのは、強い言葉を使わないことだけではありません。
相手の人格ではなく手順に焦点を当て、事実と影響を短く伝え、次にどうするかを一緒に決める。
この流れができると、伝えづらい話でも通りやすくなります。
この記事では、相手を責めずに改善を進めるための考え方を、会話・チャット・メールで使える形に落とし込みます。
例文も出しますが、丸暗記ではなく、誰にでも応用できる組み立て方を中心に解説します。
この記事で分かること
- 改善提案が角が立つ理由と、相手が反発しやすいポイント
- 責めない改善提案を作るための基本フレームと、短く伝える順番
- 上司・同僚・部下で言い方を変えるコツと、避けたいNG表現
- 会話・チャット・メールでの伝え方の違いと、実務で使える言い回し
- 反発されたときに関係を崩さず、提案を前に進める返し方
なぜ改善提案は責めているように聞こえるのか

改善提案は、内容が正しくても反発されることがあります。
多くの場合、相手は提案の中身より先に「どう扱われたか」を感じ取るでしょう。
ここでつまずくと、話は改善ではなく感情の処理に変わります。
まずは、相手が防御的になりやすい典型パターンを押さえておくと楽になります。
相手が防御的になる3つの受け取り方
改善提案が刺さる瞬間は、だいたい似ています。
相手は次の3つのどれかとして受け取ってしまうことが多いです。
1)責任追及されたと感じる
相手は「ミスを責められている」「自分のせいにされた」と感じます。
その瞬間、内容の正しさより自己防衛が優先されるでしょう。
よくある引き金は、原因を決めつける言い方です。
- 「なんでこうなったの?」
- 「前も同じことがあったよね」
- 「普通はこうするよね」
言っている側は事実確認のつもりでも、責め言葉に聞こえます。
2)能力を否定されたと感じる
「やり方を変えてほしい」が「あなたはできていない」に変換されます。
ここが一番、角が立ちやすいポイントです。
とくに「いつも」「ちゃんと」「普通」「当たり前」が入ると、評価の匂いが強くなります。
相手は方法ではなく、自分自身を否定されたように感じるでしょう。
3)支配されると感じる
提案が「命令」「矯正」に見えると、反発が出ます。
正しいことでも、相手が主導権を奪われたと感じると抵抗します。
- 「今後はこうして」
- 「こうするべき」
- 「このやり方に統一して」
この言い方は、状況が整っていない段階で出すと強く響きます。
ポイントは、相手は提案そのものより、
「責められた」「否定された」「支配された」と感じた瞬間に防御に入ることです。
問題は言葉の強さより、意図の不明確さ
改善提案がきつく聞こえる原因は、語尾の丁寧さだけではありません。
実は「なぜ言うのか」が見えないことが大きいです。
意図が不明確だと、相手は空白を自分で埋めます。
そして多くの場合、その埋め方はネガティブになります。
- 本音は怒っているのでは
- 自分の評価を下げたいのでは
- 自分の仕事を奪いたいのでは
言葉を柔らかくしても、意図が伝わらなければ同じです。
「念のため」「お願い」などを足しても、疑いは残ります。
逆に言うと、意図がはっきりすると強い言葉が減ります。
言い回しで整える前に、意図を先に置くほうが効果が出やすいでしょう。
意図は、次のどれかに整理できます。
- 手戻りを減らしたい
- ミスを防ぎたい
- 全体のスピードを上げたい
- 認識ズレをなくしたい
ここを先に示すと、相手は「攻撃」ではなく「目的」に意識を向けやすくなります。
指摘ではなく共同作業に見せると通りやすい理由
改善提案が通りやすい状態は、相手が「自分も関係者」と感じているときです。
逆に、提案が「上からの判定」に見えると止まります。
共同作業に見せると通りやすいのは、次の理由です。
- 相手が守るべきものが「自尊心」から「目的」に移る
- 主導権が奪われず、納得して選べる
- 責任が一方通行にならず、関係が壊れにくい
具体的には、言い方の焦点を変えます。
さらに、提案は命令ではなく「試す形」にすると反発が減ります。
- 「一度この形でやってみてもいいですか」
- 「まず次の1回だけ試して、問題が出たら戻しましょう」
相手は「変えさせられる」ではなく「試す」に変換できます。
この変換ができると、改善提案は一気に通りやすくなるでしょう。
言う前に決めること|目的と範囲をはっきりさせる
改善提案がうまくいかない原因は、言い方より前にあります。
目的がぼんやりしたまま話すと、相手は「結局なにが言いたいの?」となりやすいでしょう。
さらに、範囲が広いと相手は身構えます。
やり方を全部否定されたように感じるからです。
言う前に決めるのは2つだけです。
何のために変えるのか。
どこだけ変えるのか。
ここが決まると、文章も会話も短くなります。
結果として角も立ちにくくなるでしょう。
目的は3種類に分ける:品質、スピード、再発防止
改善提案の目的は、基本的にこの3つに収まります。
- 品質を上げたい
- スピードを上げたい
- 再発を防ぎたい
この分類を先に決めると、話の筋が通ります。
「相手を直したい」ではなく「目的を達成したい」に変わるからです。
品質を上げたいとき
成果物の出来、正確さ、漏れの少なさを良くしたい話です。
例としては、資料の誤字、入力ミス、確認漏れなどでしょう。
この目的のときは、チェック工程や確認ポイントの話にすると通りやすいです。
スピードを上げたいとき
作業時間、待ち時間、手戻りの回数を減らしたい話です。
同じ作業を何度もやり直しているときに出やすい目的です。
この目的のときは、手順の順番、共有の仕方、やり取りの回数に落とすと伝わります。
再発を防ぎたいとき
同じトラブルが繰り返されるのを止めたい話です。
原因が人の注意力に見えても、仕組みで潰すほうが安定します。
この目的のときは、ルール化、チェック項目化、テンプレ化など「仕組み」に寄せるのが有効でしょう。
目的が決まると、相手も「何のための話か」が分かります。
納得の土台ができます。
変えてほしいのは人ではなく手順にする
改善提案が刺さるのは、相手の人格に触れた瞬間です。
そこに触れると、議論は止まります。
だから、変える対象は人ではなく手順にします。
ここが最重要です。
次の2つは似ていますが、受け取り方は別物です。
- 人の問題に見える言い方
「確認が雑ですね」
「いつも遅いですよね」
「段取りが悪いです」- 手順の問題にする言い方
「確認の順番を固定したいです」
「期限の前日に一度だけ中間確認を入れたいです」
「共有のタイミングをそろえたいです」
手順にすると、改善は共同作業になります。
人にすると、評価と攻撃になります。
手順に落とすための質問
自分の頭の中で、次の問いを使うと整理しやすいです。
- どの場面のどの動きを変えたいのか
- 何を、いつ、どの順番でやれば解決するのか
- 一回だけ試すなら、どこを変えるのが一番効くのか
この質問に答えられない場合、提案はまだ広すぎます。
まず範囲を絞るほうが先でしょう。
事実と解釈を分けると角が立ちにくい
改善提案が荒れるとき、混ざっているものがあります。
事実と解釈です。
相手が反発するのは、たいてい解釈の部分です。
事実は否定しづらいですが、解釈は評価に聞こえるからでしょう。
事実とは
誰が見ても確認できる情報です。
- 期限を過ぎていた
- 〇〇の項目が空欄だった
- A版とB版で数値が違っていた
- 返信が翌日になった
解釈とは
事実から推測した判断です。
- やる気がない
- いい加減だ
- 優先順位が低い
- ちゃんとしていない
改善提案では、まず事実だけを短く置きます。
その次に、影響を言います。
最後に、提案を出します。
この順番にすると角が立ちにくいです。
相手は「人格の評価」ではなく「状況の整理」として受け取りやすくなるでしょう。
事実と解釈を分ける言い換え例
- 解釈
「確認が甘いです」
→ 事実+影響
「最終版で数値が一つ違っていて、差し替えが必要でした」- 解釈
「共有が遅いです」
→ 事実+影響
「共有が当日になったので、レビュー時間が足りませんでした」
この形なら、相手は反論しにくいです。
同時に、改善の話に戻りやすくなります。
責めない改善提案の基本フレーム
ここからは、言い方を迷いにくくするための型を紹介します。
型があると、感情で言い過ぎる事故が減ります。
ポイントは3段階です。
状況→行動→影響
そのあとに、意図を決めつけない確認
最後に、選択肢で握ります。
状況→行動→影響で伝えると感情の衝突が減る
改善提案は、いきなり結論から言うと角が立ちます。
先に「何が起きたか」を淡々と置いたほうが伝わるでしょう。
ここで役立つのが、SBIという考え方です。
英語の頭文字ですが、やることはシンプルです。
- 状況:いつ、どこで、どの案件で
- 行動:相手が何をしたか、何が起きたか
- 影響:その結果、何が困ったか、何が増えたか
この順番だと、相手は人格ではなく出来事に意識を向けやすいです。
話が感情の勝負になりにくくなります。

状況の書き方
状況は短くします。
細かい説明を足すほど、言い訳っぽく見えることがあります。
- 「昨日のA案件の共有の件で」
- 「今朝の会議資料の最終版について」
- 「先ほどの見積の提出タイミングについて」
行動の書き方
行動は「見える事実」に絞ります。
推測は入れないことが重要です。
- 「共有が当日になっていました」
- 「数値が前版と違っていました」
- 「添付が抜けていました」
影響の書き方
影響は、自分の感情ではなく仕事の影響を中心にします。
相手が理解しやすいからです。
- 「確認の時間が足りず、差し替えが必要になりました」
- 「再計算が発生して、提出が遅れました」
- 「確認のやり直しで、手戻りが増えました」
この3つがそろうと、改善提案の土台ができます。
ここまでで一度区切ると、落ち着いて話せるでしょう。
意図を決めつけない確認の一言を入れる
次に入れたいのが、確認の一言です。
ここを入れるだけで、責めている印象が大きく下がります。
理由は単純です。
影響は出ている。
でも、相手の意図は分からない。
このズレを会話で埋めるからです。
意図を決めつけると、相手は反論モードに入ります。
確認にすると、対話になります。
使える形は次のようなものです。
- 「こちらの認識違いだったらすみません。意図を教えてください」
- 「何か事情がありましたか」
- 「どこで詰まりやすかったですか」
- 「この進め方にした理由はありますか」
ここで大事なのは、相手に説明の余地を渡すことです。
相手が説明できると、防御が下がります。
改善の話に戻りやすくなるでしょう。
確認の一言は長くしないほうが効果が出ます。
優しさは文章量ではなく、決めつけない姿勢で伝わります。
最後は提案ではなく選択肢にして握る
最後に、改善案を出します。
ただし「これにして」と決め打ちすると反発が出やすいです。
おすすめは、選択肢にすることです。
相手が選べる形にすると、主導権を奪われた感じが減ります。
選択肢は2つで十分です。
多すぎると決まりません。
例としては、こう整理できます。
- 「次からは、共有を前日にするか、当日にするなら朝一に固定するか、どちらが現実的でしょう」
- 「確認を増やすなら、提出前の5分チェックを入れるか、テンプレで抜けを減らすか、どちらが合いそうですか」
- 「まずは次の1回だけ、この形で試してみてもいいですか」
そして最後に「次の一手」を小さく握ります。
- 「では次回は前日共有でいきましょう」
- 「次の案件で試して、結果を見て調整しましょう」
- 「今日のうちにチェック項目だけ一緒に決めましょう」
握るのは一つだけで十分です。
一度に多くを変えると、続きません。
送る前の5秒確認
- 事実だけ書いたか
- 相手の意図を決めつけていないか
- 相手のメリットが一言で言えるか
- 行動は一つに絞ったか
- 期限や次の一手が明確か
この5つを通すと、文章が短くなります。
責める感じも減るでしょう。
提案も通りやすくなります。
相手別に変えるポイント|上司・同僚・部下
同じ改善提案でも、相手が変わると通り方が変わります。
理由はシンプルです。
- 上司は決定権を持っています
- 同僚は対等で、納得が重要です
- 部下は評価される不安が出やすいです
つまり、同じフレームでも「見え方」が変わるでしょう。
ここでは、相手別に押さえるポイントを整理します。
上司へ:正論よりリスクと代替案で話す
上司への改善提案で失敗しやすいのは、正しさで押すことです。
正論そのものが悪いわけではありません。
ただ、権限差がある相手には「指図」に見えやすいでしょう。
上司に提案を通すコツは、論破ではなく意思決定の材料を渡すことです。
上司が見ているのは、現場の正しさだけではありません。
- 期限に間に合うか
- ミスが起きたときの影響は何か
- 他部署や顧客への波及はあるか
- コストや工数は増えないか
この視点に合わせると、伝え方が変わります。
上司に通りやすい順番
- 状況を短く
- リスクを一言で
- 代替案を出す
- 判断をお願いする
たとえば、こういう骨格です。
- 「この進め方だと、確認が間に合わず差し替えが出るリスクがあります」
- 「代替として、前日共有にするか、当日なら朝一固定にするのはどうでしょう」
- 「どちらで進めるのが良さそうでしょうか」
上司に対しては「こうすべきです」を減らし、
「このままだと何が困るか」と「現実的な代替」をセットにしたほうが通りやすいです。
権限差がある相手へのフィードバックの注意点
上司の意図を決めつける言い方は避けます。
反発というより、信用が落ちる形で効きます。
- 「上司は現場を分かっていない」
- 「無理な指示だ」
- 「これではダメです」
代わりに、現象と影響に寄せます。
- 「現場ではこの手順だとここで詰まりやすいです」
- 「結果として、確認に必要な時間が確保できません」
上司は「否定された」より「助かった」と感じやすくなるでしょう。
同僚へ:合意の取り方を先に置く
同僚への改善提案は、内容より進め方で失敗します。
対等な関係では「正しいか」より「納得できるか」が重要でしょう。
同僚に効くのは、いきなり提案を出すより、合意を先に作ることです。
合意の作り方は2段階
- 目的の合意
- 困りごとの共有
例としては、こう切り出します。
- 「手戻りを減らしたいんだけど、今の進め方で困っているところある?」
- 「納期を守りたいので、やり方を少し整えたい。どう思う?」
- 「この作業、毎回詰まるから一度やり方をそろえない?」
ここで合意が取れると、提案は軽くなります。
相手は「指摘された」ではなく「一緒に整える」に変換できます。
同僚に出す提案は小さくする
同僚相手は、大改造より小さな試行が向いています。
- 「次の1回だけ試す」
- 「まずこの工程だけ変える」
- 「テンプレだけ先に作る」
この形にすると、反対されても関係が壊れにくいです。
続けやすいでしょう。
部下へ:評価ではなく成長支援の言い方にする
部下への改善提案で一番の地雷は、評価に見えることです。
部下は提案の中身以上に「自分はダメだと思われた」と感じやすいでしょう。
だから、評価ではなく支援として伝えます。
焦点は結果よりプロセスです。
部下に伝えるときの基本姿勢
- 良し悪しの判定を前面に出さない
- 事実と影響を短く伝える
- 次の行動を具体的にする
- 一緒にやる姿勢を見せる
言い方も変えます。
部下には改善の理由を明確にする
部下は「なぜ変えるのか」が分からないと、ただの注意に見えます。
目的をはっきり言うほうが納得につながります。
- 「ミスを責めたいわけではない。手戻りを減らしたい」
- 「次回は安心して出せる状態にしたい」
- 「同じところで詰まらないようにしたい」
さらに、次の一手は一つに絞ります。
多く言うほど、結局何をすればいいか分からなくなります。
場面別の伝え方|会話・会議・チャット・メール
改善提案は、内容だけでなく「出し方」で成功率が変わります。
同じ言葉でも、場面が違うと印象が変わるでしょう。
ここでは、会話・会議・チャット・メールでの基本を整理します。
共通点はあります。
ただ、優先すべきポイントが少しずつ違います。
会話は1対1が基本、会議は論点を絞る
会話で伝えるとき
改善提案は、基本的に1対1が安全です。
人前だと相手は守りに入りやすいからでしょう。
1対1で話すときのコツは、短く区切ることです。
- 最初に目的を一言
- 状況→行動→影響を短く
- 意図確認を入れる
- 次の一手を一つ握る
相手が反応しやすいように、途中で止めます。
一気に話し切ると「説教」に見えやすいです。
使いやすい切り出しはこの形です。
- 「次をやりやすくしたい相談がある」
- 「手戻りを減らしたいので、進め方を少し整えたい」
- 「責めたい話ではなく、やり方の相談です」
目的が先にあると、相手は身構えにくいでしょう。
会議で伝えるとき
会議で改善提案を出すときは、論点を絞ります。
理由は、場が大きいほど感情が動きやすいからです。
会議で扱うべきは、個人のやり方ではありません。
プロセスの決めごとに寄せます。
- 「共有のタイミングを統一したい」
- 「チェック項目を固定したい」
- 「提出までの手順を一本化したい」
この形なら、特定の人への指摘に見えにくいです。
合意形成もしやすいでしょう。
会議でのNGは、具体例を出すときに人名や責任を匂わせることです。
必要なら「例」としてぼかし、論点に戻します。
チャットは短文ほど冷たく見えるので前置きを足す
チャットは便利ですが、改善提案には向き不向きがあります。
短文ほど強く見える点が最大の落とし穴です。
たとえば、この一言は内容が正しくても刺さります。
チャットは表情や温度が伝わりにくいので、
短いほど命令に近づくでしょう。
チャットで効くのは前置きの一行
余計な文章を増やすのではなく、圧を下げる一行を足します。
- 「責めたい話ではなく、進め方の相談です」
- 「手戻りを減らしたいので確認させてください」
- 「こちらの認識違いならすみません」
この一行があるだけで、受け取り方が変わります。
チャットは一度に全部言わない
チャットは、長文で詰め込むと読まれません。
一回で終わらせようとしないほうが通ります。
おすすめは、2段階です。
- まず目的と確認だけ送る
- 返事が来たら、提案を一つ出す
例としては、こうです。
- 1通目
「手戻りを減らしたいので確認です。今回の共有が当日になった理由って何かありましたか」- 2通目
「ありがとうございます。次回は前日共有か、当日なら朝一固定にするのはどうでしょう」
この順なら、相手は説明してから提案を受け取れます。
反発が減るでしょう。

メールは結論→背景→提案→次の一手で組む
メールはチャットより丁寧に見えます。
その分、曖昧に書くと「結局どうしてほしいの?」となりがちです。
メールは型で組むほうが強いです。
おすすめはこの順番です。
- 結論(何のための連絡か)
- 背景(状況→行動→影響)
- 提案(変える手順を一つ)
- 次の一手(いつまでに、どう決めるか)
1)結論
最初に、目的を一文で書きます。
- 「手戻りを減らすため、共有のタイミングについてご相談です」
- 「次回以降の進め方を整えたく、確認させてください」
2)背景
ここで状況→行動→影響を短く入れます。
感情は入れません。
「A案件で共有が当日になり、レビュー時間が不足しました」
3)提案
提案は一つに絞ります。
複数出すなら選択肢は2つまでにします。
- 「次回は前日共有に統一するのはいかがでしょうか」
- 「難しい場合は当日朝一の固定でも良いでしょうか」
4)次の一手
最後に、どう進めるかを決めます。
ここがないと、メールは終わりません。
- 「可能であれば本日中にご意見をいただけますか」
- 「次回の案件から一度試し、結果を見て調整できればと思います」
メールは丁寧に書こうとして長くなりがちです。
ただ、長さより構造が重要です。
この順番にすると短くなります。
相手も動きやすくなるでしょう。
改善提案を通す言い回し|目的別に整理して使い分ける
ここでは、改善提案を通しやすくする言い回しを整理します。
ただの言い換え一覧にはしません。
目的に合わせて「何を先に言うか」を変えるのがポイントです。
同じ内容でも順番が変わると、通りやすさが変わるでしょう。
ここでは、次の3つを押さえます。
- 切り出しで空気を作る
- 依頼を通しやすい形にする
- 反発されたときに崩さず戻す
目的別:責めない改善提案の言い回し早見表
| 目的 | 切り出し(空気を作る) | 事実・影響の置き方(短文) | 提案の出し方(通しやすい形) | 避けたい言い方(角が立つ) |
|---|---|---|---|---|
| 品質を上げたい | ミスを責めたい話ではなく、確認の手順を整えたい相談です | 今回、数値が前版と違っていて差し替えが必要でした | 次回は提出前にこの項目だけ一緒に確認する形にしませんか | なんで間違えたの,ちゃんと見て |
| スピードを上げたい | 手戻りを減らして早く終わらせたい相談です | 共有が当日になり、レビュー時間が足りませんでした | 前日共有か当日朝一固定、どちらが現実的でしょう | 遅い,急いで |
| 再発防止したい | 同じところで詰まらないように仕組みで防ぎたいです | 添付が抜けていて再送が発生しました | 次回からチェック項目を1つ作って運用してみませんか | また同じ,いい加減 |
| 認識ズレを減らしたい | 認識のズレを減らして進めやすくしたいです | 依頼内容の解釈が分かれて手戻りになりました | 依頼時にこの2点だけ先に確認する形にしませんか | 普通は分かるよね |
| ルールをそろえたい | 作業を楽にするために手順をそろえたいです | 人によって順番が違い、確認の抜けが出ました | まずこの工程だけ順番を固定し、次の1回で試しませんか | そのやり方やめて |
切り出しで空気を作る一言
切り出しは、提案そのものと同じくらい重要です。
ここで「責める話ではない」と伝わると、相手の防御が下がります。
切り出しは、目的別に使い分けると迷いません。
品質を上げたいときの切り出し
- 「ミスを責めたい話ではなく、確認の手順を整えたい相談です」
- 「次回を安心して進めたいので、確認ポイントをそろえたいです」
- 「品質を安定させたいので、チェックの順番を決めませんか」
狙いは「注意」ではなく「安定化」に見せることです。
スピードを上げたいときの切り出し
- 「手戻りを減らして早く終わらせたい相談です」
- 「待ち時間が出やすいので、進め方を少し調整したいです」
- 「作業を軽くしたいので、共有のタイミングを整えたいです」
狙いは「急かす」ではなく「負担を減らす」に置きます。
再発防止をしたいときの切り出し
- 「同じところで詰まらないように、仕組みで防ぎたいです」
- 「次から迷わないように、ルールを一つ決めたいです」
- 「再発を防ぐために、チェック項目を固定しませんか」
狙いは「責任」ではなく「仕組み」に寄せることです。
切り出しは長くしないほうが効きます。
一言で空気を作り、次に事実へ進むのが良いでしょう。
角が立つ言い方→責めない言い方(即変換ミニ表)
| 角が立つ言い方(NG) | 責めない言い方(改善) |
|---|---|
| なんでこうしたの? | 事情があったか確認したいです。今回の意図を教えてください |
| ちゃんと確認して | 手戻りを減らしたいので、提出前にこの項目だけ確認する形にしませんか |
| 遅いです | レビュー時間を確保したいので、共有タイミングを前日にできるか相談です |
| また同じミスだよ | 再発を防ぎたいので、抜けが出やすい点をチェック項目にしてみませんか |
| 普通はこうするよね | 認識をそろえたいので、進め方を一度合わせてもいいですか |
| そのやり方やめて | 手順をそろえると作業が楽になりそうです。まずこの工程だけ変えて試しませんか |
| いい加減にして | 困っている点を整理したいです。今回、影響が出た部分だけ一緒に見直せますか |
| それ、違うよ | ここが前提と違って見えました。認識を確認してから進めたいです |
| とにかくこうして | 選べる形にしたいです。A案かB案なら、どちらが現実的でしょう |
| 何回言えば分かるの | 次回迷わないように、ルールを一つ決めておきませんか |
提案を通しやすくする依頼の形
提案が通る文章には共通点があります。
相手の自由度を残しつつ、次の行動が明確です。
おすすめの依頼は、次の3パターンです。
1)選択肢で聞く
相手が選べる形にすると反発が減ります。
選択肢は2つまでにします。
- 「前日共有にするか、当日なら朝一固定にするか、どちらが現実的でしょう」
- 「チェックを増やすなら、提出前の5分確認か、テンプレ化か、どちらが合いそうですか」
この形は、上司・同僚に特に効きます。
2)小さく試す形にする
いきなりルール化すると抵抗が出ます。
まず試す形にすると通りやすいです。
- 「次の1回だけこの形で試してもいいですか」
- 「まずこの工程だけ変えて、問題がないか見ませんか」
- 「一旦2週間だけ運用して、合わなければ戻しましょう」
相手は「押し付けられる」より「試す」に変換できます。
3)相手のメリットを先に置く
改善提案は、相手にとっても得があると通りやすいでしょう。
メリットは大げさにせず、具体的に言います。
- 「ここをそろえると、確認のやり直しが減ります」
- 「この順番だと、迷う時間が減ります」
- 「共有が早いと、戻りが少なくなります」
反発されたときの受け止めと再提示
改善提案は、反発が出ることもあります。
そこで押し返すと、改善が止まります。
大事なのは、反発を否定せず、論点を戻すことです。
受け止め→確認→再提示の順で進めます。
よくある反発1|「それは無理」
ここで「無理じゃない」と言うと衝突します。
まずは条件を聞きます。
- 「無理に感じる理由を教えてください」
- 「どの部分が一番きついでしょう」
- 「時間の問題ですか、手順の問題ですか」
そのあと、条件に合わせて提案を小さくします。
- 「では前日共有が難しければ、朝一固定から試しませんか」
- 「まずは重要案件だけ、この形にしませんか」
よくある反発2|「前からこのやり方でやってる」
相手はやり方を否定されたと感じています。
過去を否定しない言い方にします。
- 「これまでのやり方が悪いと言いたいわけではないです」
- 「状況が変わって、手戻りが増えやすくなっているので調整したいです」
ここでも、目的を戻します。
人格の話にしないことが重要です。
よくある反発3|「私のせいってこと?」
ここが一番危険です。
即座に意図を修正します。
- 「責めたい話ではありません」
- 「手順の話です。次を楽にするために整えたいです」
- 「再発を防ぐ仕組みを作りたいです」
そのうえで、事実と影響に戻します。
「今回こういう影響が出たので、ここだけ変えたいです」
再提示のコツ
再提示は、結論を強く言い直さないほうが通ります。
代わりに、選択肢か試行で出します。
- 「どちらが現実的でしょう」
- 「まず一回だけ試しますか」
- 「この部分だけ先に整えませんか」
反発が出たときこそ、勝ち負けにしないことです。
目的と次の一手に戻すと、改善は進みやすいでしょう。

改善提案に関するよくある質問
Q1|相手のやり方が明らかに非効率でも指摘しない方がよいですか?
指摘しないほうがよい、とは限りません。
ただし、いきなり正しさで押すと反発されやすいでしょう。
おすすめは「否定」ではなく「目的の共有」から入ることです。
たとえば、手戻り削減や納期短縮など、共通の目的を先に置きます。
そのうえで、相手のやり方をやめさせるのではなく、手順を一部だけ変える提案にします。
最初から全部変えようとすると、相手は守りに入ります。
「次の1回だけ試す」「重要案件だけ試す」など、小さく始めると通りやすいです。
Q2|上司に改善提案すると生意気と思われませんか?
言い方次第でしょう。
生意気に見えるのは、上司の判断を否定する形になっているときです。
上司への提案は、正論より「リスク」と「代替案」で話すほうが安全です。
意思決定の材料を渡すイメージにします。
- このままだと何が困るか
- 代替案は何か
- どちらで進めるのが良いか
この順番なら、上司は「指示された」ではなく「助けられた」と感じやすいです。
最後は判断をお願いする形にすると角が立ちにくいでしょう。
Q3|相手が不機嫌になったときは引くべきですか?
一度、押すのはやめたほうがよいでしょう。
ただし「話をやめる」と「論点を変える」は別です。
不機嫌になったときは、次の順番が安全です。
- 意図を修正する(責めたい話ではない)
- 事実と影響に戻す
- 選択肢か試行で再提示する
たとえば、
- 「責めたい話ではありません。次をやりやすくする相談です」
- 「今回こういう影響が出たので、ここだけ整えたいです」
- 「まず次の1回だけ試すのはどうでしょう」
この形なら、感情の衝突を増やさずに前へ進められます。
Q4|チャットで言うのは失礼でしょうか?
失礼とは限りません。
ただ、短文ほど命令に見えやすいので注意が必要です。
チャットで改善提案をするなら、次の2点が大切です。
- 最初に前置きを一行入れる(責めたい話ではなく相談)
- 一回で終わらせず、確認→提案の2段階に分ける
チャットは誤解が起きやすい媒体です。
内容が重い場合は、チャットは「相談の入口」にして、会話で詰めたほうが安全でしょう。
Q5|改善提案が多い人と思われないコツはありますか
提案の数を減らすより、出し方を整えるほうが効果的です。
次の3つを意識すると、印象が変わります。
- 目的を毎回はっきり言う(品質、スピード、再発防止)
- 提案は一度に一つだけに絞る
- 自分も負担を引き受ける形にする(チェック項目を作る、テンプレを用意する)
さらに「いつも改善を言う人」に見えないためには、
言うべき場面を選ぶのも重要です。
小さな違和感を全部拾うのではなく、影響が大きいところに絞る。
この線引きができると、提案は通りやすくなるでしょう。
まとめ|相手を責めずに改善を進めるのは技術でできる
事実と影響で伝えると反発が減る
改善提案が刺さる原因は、相手の人格に触れてしまうことでした。
だからこそ、まずは事実を短く置き、仕事への影響を淡々と伝えるのが有効です。
感情や評価を混ぜないだけで、相手は守りに入りにくくなるでしょう。
話題が改善に戻りやすくなります。
意図の確認と選択肢で対話にする
影響が出ていても、相手の意図は分かりません。
ここを決めつけず、確認の一言を入れると対話になります。
最後は提案を押し付けず、選択肢や小さな試行で握るのが安全です。
相手の主導権を残すと、改善は進めやすいでしょう。
相手別、場面別に型を変える
上司には正しさより、リスクと代替案で意思決定を助けます。
同僚には先に目的の合意を取り、共同作業にします。
部下には評価ではなく、成長支援として手順を整えます。
また、会話・会議・チャット・メールで見え方が変わります。
同じ内容でも「出し方の型」を変えるだけで通りやすさが上がるでしょう。
ことのは先生よりひとこと

改善提案は、言いづらいのが普通です。
だからこそ、事実と目的に戻って小さく一歩を決めてみてください。
その一回が、次のやり取りをずっと楽にしてくれます。


