褒められた時の返し方|謙遜しすぎない一言と敬語のコツ

褒められた時の返し方|謙遜しすぎない一言と敬語のコツ 雑談・会話・人間関係

褒められた時の返し方|謙遜しすぎない一言と敬語のコツ

褒められたとき、つい「いえいえ」「そんなことないです」と返してしまう。
悪気はなくても、相手の気持ちを打ち消したり、会話が止まったりして気まずくなることがあります。

大事なのは、謙遜するかどうかではなく、相手が褒めた事実をいったん受け取って、短く返すことです。
受け取り方に型があるだけで、図々しさも自慢っぽさも避けられます。

この記事では、褒め言葉を「好印象につなげる返し方」を、心理の仕組みとセットで整理します
職場でもプライベートでも使えるよう、相手別・媒体別に分けて解説します。

この記事で分かること

  • 謙遜しすぎが逆効果になる理由と、角が立つNG返しの共通点
  • 迷わない基本形「ありがとう→具体→共有→次」の作り方
  • 上司・同僚・取引先・友人で温度感を変えるコツと一言例
  • LINE/チャット/メールで“長さ”を調整して自然に返す方法
  • よくある悩み(まだまだですしか出ない/褒め返しは必要?)の安全な答え

  1. 褒め言葉は「受け取る」が礼。否定が気まずくなる理由
    1. 相手は“良い点を見つけて伝えるコスト”を払っている
    2. 謙遜しすぎは、相手の評価を否定してしまう
    3. 注意したい言い方:「とんでもございません」「まだまだです」単体
  2. 基本の骨格:ありがとう→具体→共有→次(30秒で作れる)
    1. ありがとう:まず受領の一言で空気を整える
    2. 具体:どこが嬉しいかを一語だけ足すと嘘っぽくならない
    3. 共有:チーム・相手のおかげを添えると自慢に見えにくい
    4. 次:一言だけ前向きな宣言を置く(関係が伸びる)
  3. やりがちなNG返しと、角を立てずに直す言い換え
    1. 全否定タイプ(例:全然です/そんなことない)→受領+努力へ
    2. 自虐タイプ(例:運が良かっただけ)→感謝+次へ
    3. 褒め返しのやりすぎ→一言だけ返すのが無難
  4. 相手別:上司・同僚・部下・取引先・友人で温度感を変える
    1. 上司・目上:敬語+共有(おかげ)+次で締める
    2. 同僚:軽さを残しつつ、受領と具体で返す
    3. 部下:受領+評価の返し(見てくれて助かった)で育成にもなる
    4. 取引先:感謝→励み→今後、の順が堅い
  5. 媒体別:対面・電話・チャット・メールで「長さ」を変える
    1. 対面:表情・うなずきで“受領”を補強する
    2. 電話:一言で受けて要件に戻す(引き伸ばさない)
    3. チャット/LINE:短文+次の一言で返信圧を残さない
    4. メール:お礼が主語、事実は短く、次を置いて終える
  6. 相手×場面別:好印象な返し方早見表
    1. 早見表
    2. “ちょうどいい謙遜”は「受け取ってから一段下げる」
    3. 言葉より先に、相手の“褒めてよかった”を守る
  7. 褒められた時の返し方に関するよくある質問(FAQ)
    1. Q1. 謙遜しないと図々しく見えませんか?
    2. Q2. 「とんでもございません」は失礼?代わりは?
    3. Q3. 「まだまだです」しか出てこない時はどう直す?
    4. Q4. 褒め返しはした方がいい?うざくならない?
    5. Q5. メールやチャットで褒められた時、返信は必要?
  8. まとめ|褒め言葉は「受け取って、具体で返す」と関係が伸びる
    1. 否定せず受け取るだけで、相手の満足度が上がる
    2. 骨格(ありがとう→具体→共有→次)があれば迷わない
    3. 相手別・媒体別に“長さ”を変えると自然
    4. ことのは先生よりひとこと

褒め言葉は「受け取る」が礼。否定が気まずくなる理由

褒められた瞬間に否定から入ると、場が少し止まります。
それはあなたの謙虚さが悪いのではなく、相手の意図(好意・評価・感謝)を受け取れていない形になりやすいからです。

ここでの目標は「自慢しない」より先に、相手が褒めた事実をいったん受領すること。
受け取った上で一段だけ下げれば、図々しさも出ません。


相手は“良い点を見つけて伝えるコスト”を払っている

褒め言葉は、ただの情報ではありません。
相手は「良かった点」を探し、言葉を選び、あなたに伝えています。

つまり褒める側は、関係を良くするために一歩踏み込んでいる。
ここで「そんなことないです」と即否定すると、相手には「言わなきゃよかったかな」が残りやすいでしょう。

まずは短く受け取るのが礼儀として強いです。
たとえば ありがとうございます嬉しいです励みになります のように、受領のサインを出すだけで空気が整います。


謙遜しすぎは、相手の評価を否定してしまう

謙遜のつもりでも、否定が強いと「あなたの見立ては違う」と聞こえます。
相手の感想を訂正する形になりやすく、結果として気まずさが出ます。

ポイントは、自分の実感と相手の評価を戦わせないことです。
「自分ではまだ課題もある。でも、そう見てくれたことは受け取る」という姿勢にすると、自然に好印象が残ります。

  • 悪化しやすい返し:全否定(全然です/そんなことないです)
  • 安全な方向:受領(ありがとうございます)+前向き(今後も頑張ります)

注意したい言い方:「とんでもございません」「まだまだです」単体

どちらも“謙遜”としては定番ですが、単体で言い切ると失敗しやすい言葉です。

「とんでもございません」について
状況によっては強い否定に聞こえ、少し大げさ・硬い印象になることがあります。

「まだまだです」について
謙虚に見える一方で、状況によっては「嫌味」「わざとらしい」と受け取られることがあります。特に実績が見えている場面ほど起きがちです。
使うなら単体で終えず、受け取ってから一段下げるのが無難です。

単体で終える(避けたい):まだまだです。

受領→一段下げる(安全寄り):ありがとうございます。まだ学ぶことも多いので、引き続き改善します。


基本の骨格:ありがとう→具体→共有→次(30秒で作れる)

褒められた時に困るのは、気の利いた言葉が出ないからではありません。
多くの場合、順番が決まっていないために、否定から入ってしまったり、言い訳っぽく長くなったりします。

ここでは「どんな褒めにも転用できる骨格」を一本にします。
答えはシンプルで、次の4点です。

ありがとう → 具体 → 共有 → 次

この順番で返せば、謙遜しすぎず、かといって自慢にも見えません。
また、相手は「褒めてよかった」と感じやすく、会話も続けやすくなります。


ありがとう:まず受領の一言で空気を整える

褒め言葉の一番安全な返しは、最初に受け取ることです。
この一言があるだけで、相手の意図(評価・好意・感謝)が肯定され、場が整います。

使いやすい受領の一言

  • ありがとうございます。
  • 励みになります。
  • 嬉しいです。

ここでのポイントは、短く言い切ること。
「そんなことないです」を先に言うより、まず受領してから一段下げるほうが角が立ちにくいです。


具体:どこが嬉しいかを一語だけ足すと嘘っぽくならない

次に「どの点が嬉しかったか」を、短く足します。
褒め言葉に対して具体を返すと、社交辞令っぽさが減り、会話が自然に続きます。

コツは、一語だけで十分ということです。
長く説明すると、逆に作っている印象が出ることがあります。

具体の足し方(例)

  • ありがとうございます。段取りを見てもらえて嬉しいです。
  • 励みになります。説明が伝わっていたなら安心しました。
  • 嬉しいです。気づいてもらえて助かります。

「段取り」「説明」「気づき」「提案」「対応」など、仕事でも日常でも使える単語を一つ置くだけで成立します。


共有:チーム・相手のおかげを添えると自慢に見えにくい

ここが、謙遜しすぎずに“自慢にも見えない”ポイントです。
自分の成果を受け取ったあとに、功績の一部を相手や周囲に渡すと、温度感がちょうどよくなります。

共有の入れ方(例)

  • ありがとうございます。段取りを見てもらえて嬉しいです。皆さんの協力のおかげです。
  • 励みになります。説明が伝わっていたなら安心しました。事前に確認いただけたのが大きいです。
  • 嬉しいです。気づいてもらえて助かります。〇〇さんがフォローしてくれたので進みました。

重要なのは、過剰にへりくだらないことです。
「私なんて…」に落とすより、感謝として共有するほうが自然に見えます。


次:一言だけ前向きな宣言を置く(関係が伸びる)

最後に「次」を一言置くと、褒め言葉がその場で終わらず、関係が前に進みます。
ここでも長く語る必要はありません。

次の一言(例)

  • 引き続き、改善しながら進めます。
  • 次回も分かりやすくまとめます。
  • もっと安定して出せるようにします。

この「次」があると、相手は安心します。
受領だけで終えるよりも、あなたの姿勢が伝わり、好印象が残りやすいでしょう。


この骨格を頭に置いておくと、どんな褒め言葉でも30秒で返せます。
次は、特にやりがちなNG返し(全否定・自虐・褒め返しのやりすぎ)を、角を立てずに直す方法を整理します。


やりがちなNG返しと、角を立てずに直す言い換え

褒められたときに失敗しやすいのは、言葉選びそのものより「反射的な型」です。
とっさに出る言い方には癖があり、悪気がなくても相手の気持ちを置き去りにしやすいでしょう。

ここでは、よくあるNGを3パターンに分けて整理します。
それぞれ「なぜ気まずくなるか」と「どう直すと安全か」をセットでまとめます。


全否定タイプ(例:全然です/そんなことない)→受領+努力へ

なぜNGになりやすいか
全否定は、謙遜のつもりでも相手にはこう届きます。

  • 相手の評価を否定された感じがする
  • 褒めた側の気持ちが宙に浮く
  • 会話が止まりやすい(次に何を言えばいいか分からない)

特に職場では、褒め言葉が「感謝」や「安心」の意味を含むことも多いので、否定が強いほど温度差が出ます。

直し方の軸:まず受け取ってから、努力に落とす
否定ではなく、受領→姿勢の順にすると角が立ちにくいです。

NG:そんなことないです。

OK:ありがとうございます。まだ改善できるところもあるので、引き続き整えます。


NG:全然です、たまたまです。

OK:ありがとうございます。次も同じ品質で出せるように続けます。


NG:いえいえ、私なんて。

OK:恐れ入ります。評価していただけて励みになります。

ポイントは、謙遜をゼロにすることではなく、否定をやめて姿勢に置き換えることです。


自虐タイプ(例:運が良かっただけ)→感謝+次へ

なぜNGになりやすいか
自虐は場を和ませるつもりでも、相手に負担を渡すことがあります。

  • 気を使わせる(フォローしないといけない空気になる)
  • せっかくの良い話題が暗くなる
  • 褒め言葉の目的(認める、感謝する)が達成されない

とくに目上や取引先相手だと、軽い自虐でも不安や違和感につながりやすいです。

直し方の軸:自分を下げずに、感謝と次で締める
自虐したくなったら、代わりに「嬉しい」「助かった」「次も頑張る」を置きます。

NG:運が良かっただけです。

OK:ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。次も丁寧に進めます。


NG:たまたまうまくいっただけで。

OK:ありがとうございます。次も同じ形で進められるように手順を残しておきます。


NG:全然大したことしてないですよ。

OK:ありがとうございます。そう感じてもらえたなら安心しました。

ここでも重要なのは、場のエネルギーを下げないことです。会話が前に進みます。


褒め返しのやりすぎ→一言だけ返すのが無難

なぜNGになりやすいか
褒め返し自体は悪くありません。
ただ、勢いで褒め返しを重ねると次の印象になりやすいです。

  • お世辞合戦に見える
  • 本題から逸れる
  • 相手が受け取りづらい(褒めに慣れていない人ほど困る)

とくにビジネスでは、褒め返しが長いほど「その場を丸く収めるための言葉」に見えがちです。

直し方の軸:褒め返すなら一言だけ。主役は相手の言葉を受け取ること

  • ありがとうございます。〇〇さんの見せ方も勉強になります。
  • 助かりました。〇〇さんのフォローがあったから進みました。
  • 嬉しいです。〇〇さんにそう言ってもらえるのは自信になります。

褒め返しは、相手を持ち上げるよりも、事実として感謝を伝える方向が安全です。
それなら過剰になりにくく、関係も自然に良くなります。


この3つを押さえると、褒められた瞬間に迷いにくくなります。
次は、上司・同僚・部下・取引先・友人で温度感をどう変えるかを、具体的な場面で整理します。


相手別:上司・同僚・部下・取引先・友人で温度感を変える

同じ褒め言葉でも、相手が違うと「ちょうどいい距離感」が変わります。
ここを外すと、内容が正しくても「軽い」「馴れ馴れしい」「逆に堅すぎる」と感じられやすいでしょう。

基本は前に紹介した骨格(ありがとう→具体→共有→次)。
ただし、相手によって 敬語の強さ/共有(おかげ)の入れ方/次の置き方 を調整します。


上司・目上:敬語+共有(おかげ)+次で締める

上司に対しては、フランクさよりも「礼」と「再現性(次もやる)」が効きます。
褒め言葉は評価だけでなく、安心確認として使われることも多いので、受領→共有→次がきれいに収まります。

  • 受け取りは丁寧に(ありがとうございます/恐れ入ります)
  • 共有は「ご指導・確認のおかげ」に寄せる
  • 次は短く(次回も同様に進めます)

一言例

  • ありがとうございます。段取りを見ていただけて励みになります。ご指導のおかげです。次回も同じ品質で進めます。
  • 恐れ入ります。分かりやすいと言っていただけて安心しました。確認いただけた点が大きいです。引き続き整えます。

「まだまだです」で締めるより、次に向けた姿勢を置くほうが評価が落ちにくいです。


同僚:軽さを残しつつ、受領と具体で返す

同僚は距離が近い分、堅すぎるとよそよそしくなりがちです。
一方で、砕けすぎると自慢っぽく見えるので、受領+具体を短く入れるのが安定します。

  • 受領は短く(ありがとう/助かる)
  • 具体は一語(段取り/説明/気づき)
  • 共有は重くしすぎない(「助かった」程度で十分)

一言例

  • ありがとう。段取り見てもらえて助かった。
  • ありがとう。説明伝わってたなら安心した。
  • 励みになる。気づいてくれて助かる。

同僚相手は「盛りすぎない」ほうが自然です。


部下:受領+評価の返し(見てくれて助かった)で育成にもなる

部下に褒められたときは、上司側が照れて否定しがちです。
ただ、ここで全否定すると「褒めたら迷惑だったのかな」と感じさせることがあります。

部下相手は、受け取ったうえで「見てくれて助かった」「成長につながる」と返すと、関係が前向きになります。
褒め言葉を“コミュニケーションの成功体験”に変えられます。

  • 受領して安心させる
  • 観察・報告の価値を肯定する(見てくれて助かる)
  • 次を短く(これからも頼むね)

一言例

  • ありがとう。そう言ってもらえると嬉しい。見てくれて助かったよ。
  • ありがとう。励みになる。気づいたことがあったらまた教えて。
  • ありがとう。次も分かりやすく共有するね。

部下に対しては、過度な謙遜よりも「受領+育つ返し」が効果的です。


取引先:感謝→励み→今後、の順が堅い

取引先は、距離感を間違えると信用に直結します。
基本は丁寧に、かつ長くしない。相手の褒め言葉を受け取ったら、感謝→励み→今後で締めるのが堅実です。

  • 感謝で受領(ありがとうございます)
  • 励み(光栄です/励みになります)
  • 今後(引き続きよろしくお願いいたします)

一言例(対面・電話でも使える)

  • お褒めいただきありがとうございます。励みになります。引き続き丁寧に進めてまいります。
  • ありがとうございます。そのように言っていただけて光栄です。今後ともよろしくお願いいたします。

取引先相手では、褒め返しを盛りすぎないのが鉄則です。
言葉を重ねるほど“社交辞令感”が出るため、短く締めたほうが印象が良くなります。


このように相手別に温度感を合わせると、「内容は合っているのに気まずい」を避けられます。
次は、対面・電話・チャット・メールなど媒体別に“長さ”をどう変えるかを整理します。


媒体別:対面・電話・チャット・メールで「長さ」を変える

褒められたときの返し方は、内容だけでなく「長さ」で印象が変わります。
対面なら表情で補える一方、チャットやメールは文字しか残らないので、同じ一言でも重く見えたり、逆に冷たく見えたりします。

ここでは媒体ごとに、最適な長さと終わらせ方を揃えます。
基本の骨格(ありがとう→具体→共有→次)は同じで、出す量だけ調整します。


対面:表情・うなずきで“受領”を補強する

対面は、言葉より先に「受け取った合図」を出せます。
この合図があると、言葉が短くても失礼に見えません。

効く合図
  • 目を見て軽くうなずく
  • 口角を少し上げる(大げさにしない)
  • 一拍置いてから「ありがとうございます」と言う

対面では、返しが長すぎると逆に“言い訳っぽさ”が出ることがあります。
まずは短く受け取って、必要なら一語だけ具体を足す程度がちょうど良いです。

対面の短い型

  • ありがとうございます。嬉しいです。
  • 励みになります。助かりました。
  • ありがとうございます。説明が伝わっていたなら安心しました。

電話:一言で受けて要件に戻す(引き伸ばさない)

電話は、褒めに丁寧に返しすぎると通話が伸びます。
相手も「褒めたからには会話を続けないと」と感じてしまい、切り替えが難しくなりがちです。

電話では、受領→要件に戻すが最も安全です。

電話の型

  • ありがとうございます。励みになります。では本件ですが、次に〜
  • 恐れ入ります。引き続きよろしくお願いいたします。では確認なのですが〜

ポイントは、褒めを無視するのではなく、受け取った上で次の話題に橋をかけることです。
この一文があるだけで、失礼にならずに切り替えられます。


チャット/LINE:短文+次の一言で返信圧を残さない

チャットは、文章が短いほどそっけなく見えます。
一方で長文にすると、相手に返信義務を感じさせることがあります。

最適解は、短文で受け取り、次の一言で会話を閉じることです。
「これで終わりでもOK」という空気を作れます。

短文の例(返信圧を残しにくい)

  • ありがとうございます。嬉しいです。
  • 励みになります。助かりました。
  • ありがとうございます。次も同じ形で進めます。

もう一言足すなら“次”だけ

  • ありがとうございます。嬉しいです。次も丁寧に進めます。
  • 励みになります。次回も分かりやすくまとめます。

注意したいのは、褒め返しを盛りすぎないことです。
チャットの過剰な褒め返しは、お世辞合戦に見えやすくなります。


メール:お礼が主語、事実は短く、次を置いて終える

メールは「残る」媒体なので、砕けた返しは場面によって軽く見えます。
逆に丁寧すぎると、本文が長くなり本題がぼやけます。

メールの基本は、お礼(主語)→励み(受領)→今後(次)です。
事実説明は最小限にして、要件があるならそちらを優先します。

褒めへのお礼だけを返す場合

  • お褒めの言葉をいただき、ありがとうございます。励みになります。今後も丁寧に進めてまいります。

要件がある場合(自然に本題へ)

  • お褒めいただきありがとうございます。励みになります。
    それでは、次回の進め方について一点確認させてください。

ここでも「長さ」は正義です。
メールは丁寧さより、読みやすさと要点の明確さが印象を決めます。


媒体で長さを調整できると、同じ内容でも不思議なくらい自然に見えます。
次は、「相手×場面別」を早見表で整理します。


相手×場面別:好印象な返し方早見表

褒められた瞬間に迷うのは、頭が真っ白になるからではありません。
相手と場面が変わると、ちょうどいい温度感も変わるためです。

ここでは、その場で選べる早見表として整理します。
ブックマークしておくと、とっさの場面でも崩れにくいはずです。


早見表

使い方:まず「相手/場面」を選び、骨格(ありがとう→具体→共有→次)に沿って一言を決めます。
迷ったら「一言例」だけでも十分です。

相手/場面推奨の骨格(ありがとう→具体→共有→次)一言例(短文)次に置く一文(関係を残す)NG例(なぜNGか)補足(敬語/距離感)
上司(対面)受領→具体→共有(ご指導)→次ありがとうございます。段取りを見ていただけて励みになります。次回も同じ品質で進めます。「全然です」(評価の否定で気まずい)砕けすぎ注意。共有は“おかげ”に寄せる
上司(チャット)受領→具体→次(短く)ありがとうございます。説明が伝わっていたなら安心しました。次も分かりやすくまとめます。「まだまだです」だけ(会話が止まる)1〜2文で切る。褒め返しは不要
同僚(対面)受領→具体(1語)→次ありがとう。段取り見てもらえて助かった。次も同じ流れで進めるね。「運が良かっただけ」(自虐で重くなる)軽さOK。ただし自慢に見える盛り方は避ける
同僚(チャット)受領→具体(短)ありがとう、助かった。また相談させて。既読スルー(受領がなく冷たく見える)返すなら短く。絵文字なしでも十分成立
部下(対面)受領→具体→評価返し→次ありがとう。そう言ってもらえると嬉しい。気づいたことがあったらまた教えて。「いやいや、全然」(褒める行為を萎縮させる)“見てくれて助かった”は育成にも効く
部下(チャット)受領→評価返し(短)ありがとう。見てくれて助かったよ。次も分かりやすく共有するね。「とんでもない」(硬く距離が出る)上から目線にしない。短く温度を残す
取引先(メール)感謝→励み→今後お褒めいただきありがとうございます。励みになります。今後ともよろしくお願いいたします。「そんなことないです」(取引先には軽く見えやすい)敬語は丁寧に。本文は短く読みやすく
取引先(電話)受領→励み→要件へ戻すありがとうございます。励みになります。では本件ですが、続きはメールで共有いたします。「じゃあ切ります」(唐突で失礼)“要件へ戻す橋渡し”を必ず入れる
友人(対面)受領→具体→軽い次ありがとう。そこ気づいてくれるの嬉しい。また今度ゆっくり話そう。「そんなことないって」(否定で会話が止まる)照れはOK。全否定だけ避ける
友人(LINE)受領→次(返信圧を残さない)ありがとう、嬉しい。また落ち着いたら話そう。長文の褒め返し(お世辞合戦化)1〜2行で十分。相手に返事を強要しない
オンライン会議(締め)受領→共有→次→終了ありがとうございます。皆さんのおかげです。次回も同様に進めます。「いや全然…」(場が締まらない)締めは短く。次アクションを一言置く
初対面(雑談)受領→具体→次(軽)ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。またお話できたら嬉しいです。自虐(空気が重くなる)丁寧めが安全。距離を詰めすぎない

“ちょうどいい謙遜”は「受け取ってから一段下げる」

謙遜が悪いのではなく、否定の順番が問題になりやすいです。
「そんなことない」を先に出すと、相手の評価が置き去りになります。

迷ったら、この順で整えると外しません。

  1. 受け取る:ありがとうございます。
  2. 一段下げる:まだ改善の余地もあるので。
  3. 次を置く:次回も丁寧に進めます。

これだけで、謙虚さと好印象が両立します。


言葉より先に、相手の“褒めてよかった”を守る

褒め言葉への返しは、会話のテクニックというより小さな配慮です。
相手が一歩踏み込んでくれた行為に対して、「受け取りました」と返すだけで十分価値があります。

気の利いた一言よりも、
相手の言葉を否定せず、短く受け取り、次につなげる
この設計が、結局いちばん信頼を積み上げるでしょう。

次は、「褒め返しは必要?」「まだまだですしか出ない」「社外での正解は?」など、よくある疑問をFAQでまとめます。


褒められた時の返し方に関するよくある質問(FAQ)

褒め言葉への返しは、正解が一つではありません。
ただし、迷いやすいポイントには「外しにくい結論」があります。

ここでは、よくある疑問に対して、実務で困らない判断基準をまとめます。


Q1. 謙遜しないと図々しく見えませんか?

A. 謙遜はしてもいいですが、最初に否定しないのが安全です。

図々しく見えるのは、受け取ることではなく「自分語りが長い」「自慢が続く」時です。
褒められた瞬間は、まず受け取るほうが礼に近く、相手も安心します。

おすすめは、受領→一段下げるの形です。

  • ありがとうございます。励みになります。まだ改善できる点もあるので、引き続き整えます。

この形なら、謙虚さは残りつつ、相手の評価も否定しません。


Q2. 「とんでもございません」は失礼?代わりは?

A. 失礼というより“不自然に堅く聞こえやすい”ため、日常業務では避けたほうが無難です。

「とんでもございません」は、丁寧にしたい意図は伝わります。
一方で、言葉として硬く、場面によっては距離が出たり、文章全体が古く見えたりします。

代わりは、受領の一言に置き換えるのが最も安全です。

置き換え例

  • 恐れ入ります。
  • ありがとうございます。
  • お褒めいただき光栄です。
  • そのように言っていただけて励みになります。

「否定を丁寧語にする」より、受け取る丁寧語に寄せると自然です。


Q3. 「まだまだです」しか出てこない時はどう直す?

A. 「まだまだです」を“次の一文”に回し、最初は受け取りに変えると直ります。

「まだまだです」単体だと、相手の評価を跳ね返した印象になりやすいです。
言いたくなる気持ちはそのままに、順番だけ変えるのが簡単です。

直し方(型)

  • ありがとうございます。励みになります。まだ改善できるところもあるので、引き続き整えます。

また、「まだまだです」の代替として、より前向きに見える言い方もあります。

  • 勉強になります。次も丁寧に進めます。
  • 安心しました。次も分かりやすくまとめます。

ポイントは、謙遜ではなく姿勢(次)に置き換えることです。


Q4. 褒め返しはした方がいい?うざくならない?

A. 褒め返しは必須ではありません。するなら“一言だけ”が最適です。

褒め返しが「うざい」と感じられるのは、褒めが続いて“お世辞合戦”になる時です。
特に職場や取引先では、過剰な褒め返しは軽く見えることがあります。

安全なのは、次のどちらかです。

パターン1:褒め返さない(受領だけで十分)

  • ありがとうございます。励みになります。

パターン2:一言だけ褒め返す(事実ベース)

  • ありがとうございます。〇〇さんのフォローがあったから進みました。
  • ありがとうございます。〇〇さんの視点はいつも勉強になります。

「相手を持ち上げる」より、感謝・事実として返すほうが過剰になりません。


Q5. メールやチャットで褒められた時、返信は必要?

A. 原則は返信したほうが良いです。短文で受け取るだけで十分です。

テキストは、受領がないと「見たのかな?」が残りやすい媒体です。
ただし長文にすると相手に返信圧が出るので、短く切るのが正解です。

チャットの最短(返信圧を残しにくい)

  • ありがとうございます。嬉しいです。
  • 励みになります。助かりました。

メール(丁寧・短め)

  • お褒めいただきありがとうございます。励みになります。今後ともよろしくお願いいたします。

返信が難しい状況でも、スタンプやリアクションが使える場では、それだけでも「受領」になります。
ただしビジネス色が強い相手には、短文でも文字で返すほうが安全でしょう。


まとめ|褒め言葉は「受け取って、具体で返す」と関係が伸びる

褒められたときは、気の利いた言い回しよりも「相手の言葉をきちんと受け取る」ことが先です。
否定しないだけで、相手は安心し、会話の空気も整いやすくなります。


否定せず受け取るだけで、相手の満足度が上がる

褒め言葉は、相手があなたの良い点を見つけて言語化してくれた結果です。
そこを否定せず受け取るだけで、「伝えてよかった」という気持ちが残ります。


骨格(ありがとう→具体→共有→次)があれば迷わない

迷いが減るのは、センスが上がるからではなく順番が決まるからです。
ありがとう→具体→共有→次、の骨格を1回通すだけで、自然な返しになります。


相手別・媒体別に“長さ”を変えると自然

同じ内容でも、

  • 上司・取引先は短く丁寧に
  • 同僚・友人は軽さを残す
  • チャットは短文+次の一言
  • 電話は一言で受けて要件に戻す

この調整ができると、違和感が一気に減るでしょう。


ことのは先生よりひとこと

ことのは先生
ことのは先生

褒め言葉を受け取るのは、自慢ではなく礼儀です。
まずは「ありがとうございます」の一言だけで十分。そこから関係はきれいに伸びていきますよ。

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