「ちなみに」はビジネスで失礼?敬語の言い換えと使い分け

「ちなみに」はビジネスで失礼?敬語の言い換えと使い分け 言い換え・表現辞典

「ちなみに」はビジネスで失礼?敬語の言い換えと使い分け

「ちなみに」は会話でもメールでもよく使う言葉です。
便利な一方で、ビジネスでは「少し軽い」「話が飛んだように感じる」と受け取られ、相手によっては違和感につながることがあります。

ただ、「ちなみに=失礼」と決めつける必要はありません。
ポイントは、補足の位置・関連づけ・言い換えの選び方を押さえることです。
同じ内容でも、置き方を変えるだけで印象はかなり整うでしょう。

この記事では、「失礼かどうか」の白黒ではなく、失礼っぽく見える条件と、角が立たない言い換えの使い分けを分かりやすく整理します。

この記事で分かること

  • 「ちなみに」がビジネスで“軽く見える”のはどんなときか(失礼に感じられる3パターン)
  • 「ちなみに/なお/補足すると/付け加えると」など、似た表現のニュアンス差と選び方
  • 社外メール・社内チャット・口頭で、角が立たない「配置」と「つなぎ方」
  • 目的別に使える丁寧な言い換え(補足・注意・追加・余談の使い分け)
  • 「目上に使っていい?」「なおの方がいい?」など、よくある疑問への答え(FAQ)

  1. 結論:「ちなみに」は失礼ではないが、場面で軽さが出る
    1. 「失礼」より「カジュアルに見える」が本質
    2. 使ってOKな条件:話題の関連性・補足の位置・回数
    3. 迷ったら置き換える:なお/補足いたしますと/付け加えますと
  2. 「ちなみに」が失礼っぽく聞こえる3つのパターン
    1. 話が飛ぶ:関連が薄いと「ところで?」に聞こえる
      1. 直し方の考え方
    2. 重い話題で挟む:軽い接続詞が温度差を作る
      1. 直し方の考え方
    3. 連発する:文章が散らかり、雑な印象になる
      1. 直し方の考え方
  3. 「ちなみに」の役割を整理:補足・追加・注意・余談は別物
    1. 補足:前の話を補う(本筋は同じ)
    2. 追加:情報を足す(項目が増える)
    3. 注意・条件:誤解防止の付記
    4. 余談:本筋から少し外れる(使いどころ注意)
    5. ニュアンス早見表(機能別の最適表現)
  4. 丁寧な言い換えと使い分け(目的別に選べる)
    1. 目的別に選べる「ちなみに」の丁寧な言い換え
    2. 社外メールで安全:なお/補足いたしますと/付け加えますと
    3. 社内・会話で自然:ちなみに/ちなみにですが(多用しない)
    4. 余談の扱い:余談ですが/参考までに(温度差を作らない)
    5. 別件に寄せたいとき:「ところで」との違いと注意
  5. メール・チャットでの「ちなみに」配置設計(角が立たない書き方)
    1. 文頭に置くなら「関連」を1語でつなぐ(話が飛ばない)
      1. 使いやすい“関連づけ”の一語
    2. 文中に挟むなら“補足の範囲”を短くする
      1. 例(良い形のイメージ)
    3. 社外メールでは「なお、〜」が機能的(注意・条件の付記)
      1. 「なお」が向く内容
  6. NG例→改善例:「ちなみに」が雑に見える文章の直し方
    1. NG文→改善文(理由つき)
    2. NG:関係の薄い“ちなみに” → 改善:前提を一言足して関連づける
      1. NG(話が飛んで見える)
      2. 改善のコツ:前提を一言入れる
      3. 改善例
    3. NG:余談を差し込む → 改善:余談宣言で温度差を調整する
      1. NG(温度差が出る)
      2. 改善のコツ:余談宣言+位置を後ろへ
      3. 改善例
    4. NG:重要条件を「ちなみに」で流す → 改善:「なお」で明確に付記する
      1. NG(重要度が伝わらない)
      2. 改善のコツ:「なお」で分離して目立たせる
      3. 改善例
  7. 「ちなみに」のビジネス使用に関するよくある質問(FAQ)
    1. Q1|「ちなみに」は目上・取引先に使っても失礼ではない?
    2. Q2|メールでは「ちなみに」より「なお」を使うべき?
    3. Q3|「ちなみに申し上げますと」は不自然になりませんか?
    4. Q4|「余談ですが」はビジネスで使える?距離感は?
    5. Q5|「ところで」との違いは?使い分けの目安は?
  8. まとめ|「ちなみに」は“補足の設計”で印象が決まる
    1. 失礼かどうかより「軽く見えない条件」を押さえる
    2. 社外は「なお/補足すると」で誤解を減らす
    3. 迷ったら:関連づけ→短く補足→多用しない
    4. ことのは先生よりひとこと

結論:「ちなみに」は失礼ではないが、場面で軽さが出る

結論から言うと、「ちなみに」自体が失礼語というわけではありません。
ただし、ビジネス文脈では敬語ではなく口語寄りの接続語なので、相手や媒体によっては文面が軽く見えたり、話が飛んだ印象になったりします。

特に、取引先・目上・公式文書に近い文章ほど「読み手が期待する丁寧さ」との差が出やすく、結果として違和感につながりやすい点は押さえておくべきでしょう。
丁寧さが必要な場面では、表現を置き換えるだけで印象が整います。


「失礼」より「カジュアルに見える」が本質

「ちなみに」で問題になりやすいのは、マナー違反というより温度感のずれです。
読み手は、メールや資料に対して「要点が整理されている」「補足が論理的に置かれている」ことを期待します。

そこに「ちなみに」を挟むと、次のように受け取られることがあります。

  • 補足ではなく、雑談や余談に見える
  • 話題転換のように見えて、要点がぼやける
  • 本題よりも補足が目立ち、文章が散らかった印象になる

つまり、言葉が悪いのではなく、文章がラフに見える要因になりやすいのがポイントです。


使ってOKな条件:話題の関連性・補足の位置・回数

ビジネスで「ちなみに」を使うなら、次の3条件を満たすと失敗しにくいです。

1)話題の関連性が強い
本題の理解を助ける補足で、読み手が得をする情報に限るのが安全です。
逆に、別件や余談を入れると「話が飛んだ」と感じられやすくなります。

2)補足の位置が適切
基本は、先に要点を出してから補足します。
依頼や結論の前に「ちなみに」を置くと、読み手が何を優先して読めばいいか迷います。

  • 先に要点(依頼・結論・期限)
  • 後ろに補足(必要なら)

この順番にするだけで、文章の印象は整います。

3)回数は1通につき原則1回
連発すると、補足が多い人に見え、文章が散らかります。
補足が複数あるなら、「補足として」「あわせて」「なお」などに分けた方が読みやすくなります。


迷ったら置き換える:なお/補足いたしますと/付け加えますと

取引先や目上に送る文面、または条件・注意点など誤解を避けたい内容では、「ちなみに」よりも役割が明確な言い換えが向きます。
言葉を替えるメリットは、丁寧さだけではありません。読み手が補足の性質を瞬時に判断でき、理解が速くなります。

  • なお:条件、注意、補足事項の付記に強い(文書向き)
    例:なお、当日は受付でお名前をお伝えください。
  • 補足いたしますと:説明を足して誤解を防ぐ(丁寧で会話的すぎない)
    例:補足いたしますと、今回の対象はAプランのみです。
  • 付け加えますと:追加情報を足す(補足の意図が明確)
    例:付け加えますと、資料は後ほど最新版を共有します。

迷ったときの考え方はシンプルです。
「雑談っぽく見せたくない」「条件や注意を正確に伝えたい」なら、まずは「なお」に寄せる。説明を一段丁寧にしたいなら「補足いたしますと」「付け加えますと」を選ぶ。これで多くの場面は安定します。

次の章では、「ちなみに」が軽く見える典型パターンを具体的に整理し、どこを直せば印象が整うのかを言語化します。


「ちなみに」が失礼っぽく聞こえる3つのパターン

「ちなみに」が気まずくなるのは、言葉そのものが失礼だからではありません。
読み手が「何のための補足か」を理解できず、文の温度感や論理の流れが崩れると、雑に見えたり軽く見えたりします。

ここでは、失礼っぽく感じられやすい典型を3つに分けて整理します。
自分の文章を見直すときのチェックにも使えます。


話が飛ぶ:関連が薄いと「ところで?」に聞こえる

「ちなみに」は本来、本題の理解を助ける“補足”に向く言葉です。
ところが、補足の関連が弱いと、読み手にはこう見えます。

  • 本題が終わって、別の話に移った
  • 話を変えたいのかな
  • 何を優先して読めばいいのか分からない

この状態になると、「ちなみに」は実質的に「ところで」に近い働きになります。
ビジネス文面では、話題転換は意図が明確でないと雑に見えるため、失礼っぽさにつながりやすいです。

直し方の考え方

関連が弱い補足を入れたいなら、まずつなぎの一言で関連を示すのが安全です。

  • 「本件に関連して」
  • 「念のため補足します」
  • 「誤解防止のため補足します」

こうすると、読み手は「話が飛んだ」ではなく「必要な補足だ」と理解できます。


重い話題で挟む:軽い接続詞が温度差を作る

クレーム対応、謝罪、重要な依頼、条件のすり合わせなど、文面に緊張感がある場面では、接続詞の選び方が印象を左右します。
その中で「ちなみに」を挟むと、読み手は次のような温度差を感じることがあります。

  • 深刻な話の途中で、急に軽くなった
  • 重要度が下がったように見える
  • 真剣さが足りない印象になる

これは「ちなみに」が会話でよく使われる分、口語的でフラットな温度を帯びやすいからです。
重い話題ほど、補足は「なお」「補足いたしますと」などの役割が明確な表現に寄せた方が安定します。

直し方の考え方

重い話題では「補足の種類」を明確にします。

  • 条件や注意の付記 → なお
  • 誤解防止の説明追加 → 補足いたしますと
  • 追加情報の提示 → 付け加えますと

“軽さ”を消すには、丁寧語を足すより、補足の目的が伝わる接続に替える方が効果的です。


連発する:文章が散らかり、雑な印象になる

「ちなみに」は便利なぶん、無意識に増えがちです。
しかし、1通のメールや1つのメッセージ内で何度も出ると、読み手の認知負荷が上がります。

  • 補足が多くて、結局何が要件か分からない
  • 思いついた順に書いたように見える
  • 整理されていない印象になる

ビジネスでは「整理されていること」自体が信頼感につながります。
そのため、連発は失礼というより仕事が雑に見えるリスクになります。

直し方の考え方

「ちなみに」が2回以上出てきたら、まずは次で整えます。

  • 補足は原則1つに絞る(重要なものだけ残す)
  • 補足が複数あるなら、箇条書きに分ける
  • 接続詞を分散する(なお/あわせて/補足として など)

文章の見た目が整うだけで、相手の受け取り方はかなり変わります。


次の章では、「ちなみに」が担っている役割(補足・追加・注意・余談)を整理し、どの役割ならどの表現が最も適切かを早見できる形にします。


「ちなみに」の役割を整理:補足・追加・注意・余談は別物

「ちなみに」を丁寧に言い換える前に、まず押さえたいのが役割(機能)です。
ビジネスで印象が崩れるのは、「ちなみに」を使ったこと自体より、補足なのか、注意なのか、余談なのかが曖昧になり、読み手が迷うときです。

ここでは「ちなみに」が担いがちな役割を4つに分け、どんな表現が合うかを整理します。
この整理ができると、言い換え選びが一気に楽になります。


補足:前の話を補う(本筋は同じ)

補足は、本題の理解を助けるために「少し足す」情報です。
本筋は同じなので、読み手は補足を読んでも「話が飛んだ」とは感じにくいです。

例(補足の方向性)
用語の定義、前提条件、背景の一言、誤解しやすい点の補強

ビジネス文面では、補足は短く、目的が明確だと読みやすくなります。
「ちなみに」でも成立しますが、社外や改まった文章なら「補足いたしますと」「補足すると」に寄せると整います。


追加:情報を足す(項目が増える)

追加は、本題に関連はあるものの、情報量が増えて「項目が増える」タイプです。
補足よりも文章が長くなりやすく、読み手は「結局、何が要件なのか」を見失いやすくなります。

例(追加の方向性)
追加の依頼、別の資料、次のステップ、関連する連絡事項

追加は「思いついた順に書く」と散らかります。
そのため、言葉を替えるより先に「追加である」ことを明示すると親切です。

合う表現:あわせて/加えて/付け加えますと


注意・条件:誤解防止の付記

注意・条件は、読み手の誤解やトラブルを防ぐための情報です。
この領域で「ちなみに」を使うと、軽く見えたり重要度が伝わらなかったりしやすいので要注意です。

例(注意・条件の方向性)
期限、対象範囲、禁止事項、手順、例外条件

この用途では、「なお」が非常に相性が良いです。
「なお」は“付記します”の役割がはっきりしているため、読み手が重要度を判断しやすくなります。


余談:本筋から少し外れる(使いどころ注意)

余談は、話題が本筋から少し外れます。
会話では場を和ませる効果がありますが、ビジネス文面では以下のリスクがあります。

  • 要点がぼやける
  • 温度差が出る
  • 重要事項と並んで軽く見える

余談を入れるなら、入れる位置を選ぶのが基本です。
要件が終わってから最後に一言添える程度が無難です。

合う表現:余談ですが/参考までに(ただし頻度は控えめ)


ニュアンス早見表(機能別の最適表現)

機能合う表現向く文書(メール/会話/資料)誤解しやすい点
補足(本筋は同じ)ちなみに/補足いたしますと/補足すると会話/メール/資料補足が長いと「本題が何か」不明になる
追加(項目が増える)付け加えますと/あわせて/加えてメール/資料思いつきで増やすと散らかり、雑に見える
注意・条件(誤解防止)なお/念のため申し添えますとメール/資料「ちなみに」だと軽く見え、重要度が伝わりにくい
余談(本筋から外れる)余談ですが/参考までに会話/チャット(メールは慎重に)重い話題に挟むと温度差が出て不快になりやすい

次の章では、この「役割」整理をそのまま使って、目的別に選べる丁寧な言い換え表を作ります。
「どれを選べばいいか迷う」を解消しつつ、社外メールでも安心して使える形に整えます。


丁寧な言い換えと使い分け(目的別に選べる)

ここがこの記事の中心です。
「ちなみに」を丁寧に言い換えるとき、いちばん失敗しやすいのは“語感”だけで選ぶことです。
大事なのは、相手が一瞬で理解できるように目的(補足/注意/追加/余談/別件)に合わせて言葉を選ぶことです。

同じ情報でも、目的に合った接続に替えるだけで、文章の印象は一段整います。


目的別に選べる「ちなみに」の丁寧な言い換え

目的言い換え表現丁寧度(社外向き)向く媒体短い例文注意点
注意・条件なお、メール/資料なお、締切は◯日17時です。重要条件向き。余談には使わない
補足補足いたしますと、メール/資料補足いたしますと、対象はAのみです。連発すると堅くなる
追加付け加えますと、メール/資料付け加えますと、資料は後ほど共有します。追加が多いなら箇条書きへ
補足念のため申し添えますと、メール/資料念のため申し添えますと、当日は受付が必要です。改まった印象。社内では重い場合あり
追加あわせて、メール/会話あわせて、A案もご確認ください。“追加”だと明確に伝わる
追加加えて、メール/資料加えて、費用感も共有します。文章が硬めになることがある
補足補足すると、会話/メール補足すると、今回は先行版です。社外で丁寧にしたいなら「補足いたしますと」
補足ちなみに申し上げますと、中〜高メール/会話ちなみに申し上げますと、同様の事例があります。“丁寧だが口語感”が残る。多用しない
補足ご参考までに、メール/資料ご参考までに、過去資料も添付します。本題を邪魔しない位置に置く
注意・条件念のため、チャット/会話/メール念のため、◯時までにお願いします。丁寧さは文全体で補強が必要
余談余談ですが、会話/チャット余談ですが、同じ相談が増えています。重い話の途中に挟まない
余談参考までに、メール/会話参考までに、別案もあります。“断定”と組むと押し付けに見える
追加そのうえで、メール/資料そのうえで、次の手順に進めます。接続が論理寄り。雑談用途では不自然
補足補足として、メール/資料補足として、手順は別紙に記載しました。追加が多いと散らかる
注意・条件誤解防止のため、メール/資料誤解防止のため、対象はAのみです。強めの言い方になり得る。状況次第
別件(話題転換)別件ですが、メール/チャット別件ですが、来週の件を確認させてください。別件なら先に要点と期限を置く
別件(話題転換)ところで、低〜中会話/チャットところで、来週の予定はどうですか。社外メールでは軽く見えやすい
別件(話題転換)話は変わりますが、メール/会話話は変わりますが、次の件です。多用すると“雑多な人”に見える
補足(丁寧に添える)申し添えますと、メール/資料申し添えますと、当日は本人確認が必要です。改まった印象。軽い話題には不向き

この表の使い方は単純です。
「補足なのか」「条件なのか」「余談なのか」を先に決めてから、同じ列の表現を選びます。
迷ったら、社外は「なお」、社内は「念のため」か「補足として」に寄せると失敗しにくいです。


社外メールで安全:なお/補足いたしますと/付け加えますと

社外メールは、読み手が「文書としての整い」を期待します。
そのため「口語感が強い接続」は避け、役割が明確な表現に寄せるのが基本です。

  • 条件・注意点なら なお
  • 誤解を防ぐ説明なら 補足いたしますと
  • 追加情報なら 付け加えますと

特に「なお」は、注意書き・条件の付記に強く、誤解を生みにくい点で優秀です。
「ちなみに」を消すというより、文章の目的を読み手に示す感覚で使い分けると整います。


社内・会話で自然:ちなみに/ちなみにですが(多用しない)

社内や会話では、硬すぎると距離が出ます。
関連が強い補足なら「ちなみに」でも問題なく、むしろ自然に伝わる場面も多いです。

ただし、注意点は2つです。

  • 1通の中で基本は1回まで(連発すると散らかる)
  • 条件・締切など重要事項は「なお」や「念のため」に寄せる

「ちなみにですが」は少し丁寧に見せたいときに便利ですが、文章が長い場合は効果が薄れます。
短い補足に限定して使うのがコツです。


余談の扱い:余談ですが/参考までに(温度差を作らない)

余談は入れ方を間違えると、失礼というより「空気が読めない」印象になりやすい領域です。
温度差を作らないためには、位置が重要です。

  • 要件が終わってから最後に添える
  • 長くしない(1〜2文に収める)
  • 重い話題の途中に挟まない

「参考までに」はビジネスでも使いやすいですが、提案と混ざると押し付けに見えることがあります。
“情報提供”に留めると安全です。


別件に寄せたいとき:「ところで」との違いと注意

「ちなみに」は補足、「ところで」は話題転換に寄る言葉です。
この違いを意識すると、読まれ方が変わります。

  • 補足(本筋の延長) → ちなみに/補足として
  • 話題転換(別件) → 別件ですが/話は変わりますが

社外メールで「ところで」を使うと、会話的に軽く見えやすいので注意が必要です。
別件なら「別件ですが」を使い、別件の要点と依頼を先に置く方がビジネスでは安定します。


次の章では、メールやチャットで「ちなみに」を置く位置によって印象がどう変わるかを、配置設計として整理します。ここができると、言い換えの効果が一段上がります。


メール・チャットでの「ちなみに」配置設計(角が立たない書き方)

「ちなみに」を使うかどうか以上に、効くのが置き方です。
同じ言葉でも、置く位置を間違えると「話が飛ぶ」「軽い」「雑」と見えます。

ここでは、テンプレではなく“設計原則”として、失敗しにくい配置を整理します。
結論はシンプルで、要点を先に出して、補足は短く、重要条件は別の言葉にするです。


文頭に置くなら「関連」を1語でつなぐ(話が飛ばない)

文頭の「ちなみに」は、読み手にとって最も警戒ポイントです。
文頭は「いまから何の話をするか」を決める場所なので、いきなり「ちなみに」と入ると、話題転換に見えやすいからです。

文頭で使うなら、「関連」を示す一語を添えて、補足であることを明確にします。

使いやすい“関連づけ”の一語

  • 本件に関連して、ちなみに…
  • 念のため、ちなみに…
  • 補足として、ちなみに…
  • 参考までに、ちなみに…

この「一語」を置くだけで、読み手は「別件」ではなく「補足」だと判断できます。
逆に、関連が薄い話題なら「ちなみに」ではなく「別件ですが」「話は変わりますが」に寄せる方が、誤解が起きません。


文中に挟むなら“補足の範囲”を短くする

文中に挟む「ちなみに」は、うまく使うと自然ですが、長くなると一気に読みにくくなります。
読み手が困るのは、「補足がどこからどこまでか」が見えなくなるときです。

文中で挟むときは、次のルールで整えると失敗しにくいです。

  • 補足は1文、長くても2文まで
  • 補足の中にさらに補足を入れない
  • 数字や条件を入れるなら「なお」に逃がす

例(良い形のイメージ)

要点:◯日までにご確認をお願いします。
補足:ちなみに、確認はP3の文言だけで大丈夫です。

このように、補足が短いと「親切な情報」に見えます。
反対に、補足が長いと「整理されていない」「話が散らかる」印象になり、軽さが出ます。


社外メールでは「なお、〜」が機能的(注意・条件の付記)

社外メールで「ちなみに」を避けた方がいい場面は、ほぼ共通しています。
それは、条件・注意・例外・締切などの重要事項です。

この用途では「なお、〜」が機能的です。
理由は、読み手が「ここは付記で、重要な条件が来る」と理解しやすいからです。
結果として、トラブルや誤解が減ります。

「なお」が向く内容

  • 期限:なお、締切は◯日17時です。
  • 手順:なお、当日は受付でお名前をお伝えください。
  • 対象範囲:なお、対象はAプランのみです。
  • 例外:なお、Bの場合は別対応となります。

「なお」は丁寧に見せるための言葉ではなく、情報の種類を整理するためのラベルとして使うと強いです。
社外で迷ったら、「ちなみに」を消して「なお」に置き換えるだけで、文章が引き締まります。


次の章では、「ちなみに」が雑に見えるNG例を取り上げ、同じ要件のまま、どう直せば“整った文章”になるかを具体的に示します。


NG例→改善例:「ちなみに」が雑に見える文章の直し方

ここでは、「ちなみに」を使ったせいで雑に見える典型を、同じ要件のまま直します。
言い換え一覧より、実務で効くのはこの「直し方」です。

ポイントは3つだけです。

  • 関連が弱いなら、前提を一言足す
  • 余談なら、余談だと宣言して位置を選ぶ
  • 重要条件なら、「なお」で分離して目立たせる

NG文→改善文(理由つき)

NG文理由改善文(同じ要件)
ちなみに、来週の件ですが◯日で大丈夫ですか?補足に見えず話題転換に見える別件ですが来週の件について、◯日で問題ないかご確認いただけますでしょうか。
資料を送ります。ちなみに、A案は高いです。関連が弱く、感想っぽく見える資料を送付します。本件に関連して補足しますと、A案はコストが高めです。
先ほどの件、承知しました。ちなみに、明日の会議は何時でしたっけ?返信の流れが切れ、雑談に見える先ほどの件、承知しました。話は変わりますが、明日の会議開始は何時でしたでしょうか。
ご対応ありがとうございます。ちなみに、期限は今日です。重要条件を軽く流して見えるご対応ありがとうございます。なお、期限は本日中です。
申請の件、確認しました。ちなみに、添付の提出もお願いします。追加依頼が埋もれ、後出し感が出る申請の件、確認しました。あわせて添付資料の提出もお願いいたします。
ご迷惑をおかけし申し訳ありません。ちなみに、こちらの不備でした。謝罪の温度と接続が合わないご迷惑をおかけし申し訳ありません。補足いたしますと、原因はこちらの不備でした。

NG:関係の薄い“ちなみに” → 改善:前提を一言足して関連づける

「ちなみに」が雑に見える一番の原因は、読み手が「何の補足なのか」を判断できないことです。
話題が近いようで実はつながっていないと、「ところで?」に聞こえます。

NG(話が飛んで見える)

「ちなみに、来週の件ですが◯日で大丈夫ですか?」

改善のコツ:前提を一言入れる

  • 本件に関連して
  • 補足として
  • 念のため
  • ご参考までに

改善例

  • 本件に関連して、来週の件ですが◯日で問題ないかご確認いただけますでしょうか。」
  • 補足として、来週のスケジュールだけ確認させてください。◯日はいかがでしょうか。」

「前提の一言」があると、読み手は“話題転換”ではなく“補足”として受け取れます。


NG:余談を差し込む → 改善:余談宣言で温度差を調整する

余談が悪いのではなく、「余談だと分からないまま差し込む」と温度差が出ます。
特に、依頼・謝罪・重要連絡の途中に余談を挟むと、軽く見える原因になります。

NG(温度差が出る)

「ご迷惑をおかけし申し訳ありません。ちなみに、最近同じ問い合わせが増えていて…」

改善のコツ:余談宣言+位置を後ろへ

  • 「余談ですが」
  • 「参考までに」
  • 「最後に一点だけ」

改善例

「ご迷惑をおかけし申し訳ありません。原因と対応は以上です。
参考までに、同様のお問い合わせが増えておりますので、再発防止策も検討します。」

余談は、要件を終えてから最後に添える。
これだけで印象が整います。


NG:重要条件を「ちなみに」で流す → 改善:「なお」で明確に付記する

社外メールで最も避けたいのがこれです。
期限・条件・例外といった重要事項を「ちなみに」で流すと、軽く見えたり見落とされたりします。

NG(重要度が伝わらない)

「対応お願いします。ちなみに、締切は今日です。」

改善のコツ:「なお」で分離して目立たせる

「なお」は、注意・条件の付記に向きます。
重要情報を“ラベル付き”で出せるので、読み手が判断しやすくなります。

改善例

  • 「ご対応をお願いいたします。なお、締切は本日17時です。
  • 「ご確認をお願いいたします。なお、対象はAプランのみとなります。

丁寧にしたいから「なお」を使うのではなく、重要事項を見落とさせないために使う
この意識があると、文章が一段プロっぽく見えます。


次はFAQで、「目上に使っていい?」「なおに替えるべき?」など、検索されやすい疑問をまとめて解消します。


「ちなみに」のビジネス使用に関するよくある質問(FAQ)

Q1|「ちなみに」は目上・取引先に使っても失礼ではない?

失礼語ではありません。
ただし、目上・取引先では「言葉づかいが悪い」というより、少しカジュアルに見える可能性があります。

判断の基準は、相手ではなく「内容の重さ」と「文書の種類」です。

  • 雑談に近い補足、軽い共有 → 使っても大きな問題になりにくい
  • 期限・条件・謝罪・重要依頼 → 「なお」「補足いたしますと」へ置き換えが無難

迷ったら、社外は「なお」「補足いたしますと」に寄せる。
これだけで事故が減ります。


Q2|メールでは「ちなみに」より「なお」を使うべき?

基本的には、条件・注意・例外を伝えるなら「なお」の方が適しています。
理由は、読み手が「ここは付記で、重要な条件が来る」と判断しやすいからです。

一方で、「ちなみに」が向くのは「理解が深まる補足」や「関連する小ネタ」のような、温度が軽めの情報です。
メール内での使い分けはこの2つで十分です。

  • 条件・注意 → なお
  • 理解の補足 → 補足として/参考までに/ちなみに(短く)

メールは“整っている”こと自体が信頼につながるので、接続詞を役割で分けると読みやすくなります。


Q3|「ちなみに申し上げますと」は不自然になりませんか?

使い方次第で不自然になります。
「丁寧にしたいから、とりあえず敬語を足した」ように見えると、回りくどい印象になりやすいです。

自然に見せるコツは2つです。

  • 一文で短く言い切る(長い補足にしない)
  • “条件”ではなく、あくまで補足情報に使う

例(自然)
「ちなみに申し上げますと、同様の事例が過去にもあります。」

例(避けたい):
「ちなみに申し上げますと、締切は本日17時です。」
→ 重要条件は「なお」が適切です。

丁寧にしたいなら、無理に「ちなみに」を残すより、最初から「補足いたしますと」に替える方が整います。


Q4|「余談ですが」はビジネスで使える?距離感は?

使えますが、場所と頻度が重要です。
余談は温度が軽いので、要件の途中に挟むと温度差が出て違和感になりやすいです。

使うなら、次の条件を満たすと安全です。

  • 要件が終わってから最後に添える
  • 1〜2文に収める
  • 謝罪やクレーム対応など、緊張感が高い文面では避ける

距離感を詰めたい相手(社内・関係が近い取引先)なら有効ですが、初対面に近い相手には「参考までに」の方が無難でしょう。


Q5|「ところで」との違いは?使い分けの目安は?

大きな違いは「役割」です。

  • ちなみに:本題の補足(本筋の延長)
  • ところで:話題転換(別件)

この違いを無視すると、「ちなみに」が雑に見える原因になります。
別件なら、相手が迷わない表現に替える方が親切です。

  • 社外メール:別件ですが/話は変わりますが
  • 社内チャット:ところで(ただし軽く見えない内容に限る)

目安として、「本題の理解に必要なら補足」「別の用件なら別件」。
この切り分けだけで、読み手の負担はかなり減ります。


まとめ|「ちなみに」は“補足の設計”で印象が決まる

「ちなみに」は便利ですが、ビジネスでは“言葉の丁寧さ”よりも、補足としての設計が整っているかで印象が決まります。
同じ内容でも、補足の位置と役割がはっきりすると、軽さや雑さは出にくくなります。


失礼かどうかより「軽く見えない条件」を押さえる

「ちなみに」は失礼語ではありません。
ただ、軽く見えるのは「話が飛ぶ」「温度差が出る」「補足が長い・多い」といった条件が重なったときです。

言葉を気にしすぎるより、まずは次をチェックすると整います。

  • 本題と補足の関連が強いか
  • 重要事項(期限・条件)を「ちなみに」で流していないか
  • 1通に何度も出ていないか

ここが揃うと、相手は違和感なく受け取れます。


社外は「なお/補足すると」で誤解を減らす

社外メールでは、口語感が残る「ちなみに」より、役割が明確な言葉が安全です。
特に、条件や注意点は「なお」に寄せるだけで、誤解や見落としを減らせます。

  • 条件・注意・例外 → なお
  • 説明の補足 → 補足いたしますと/補足すると
  • 追加情報 → 付け加えますと/あわせて

丁寧に見せるためではなく、読み手が理解しやすい形にするための選択だと考えると、判断がぶれません。


迷ったら:関連づけ→短く補足→多用しない

迷ったときは、この順番で整えるのが最短です。

  1. 関連づけ(本件に関連して/補足として/念のため)
  2. 短く補足(1〜2文で収める)
  3. 多用しない(原則1通1回)

これだけで、文章は読みやすくなり、相手のストレスも下がります。


ことのは先生よりひとこと

ことのは先生
ことのは先生

「ちなみに」を使うか迷うのは、相手にきちんと伝えたい気持ちがあるからです。
言葉を我慢するより、補足の置き方を整えるだけで十分やさしく伝わります。

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