雑談で距離を縮める共通点の見つけ方|自然に盛り上がる会話テクニック
初めて会う人や、まだ距離がある相手との雑談で、何を話せば良いか分からず困ることはないでしょうか。
頑張って話題をひねり出しても、相手の反応が薄くて会話が続かない。そんなとき、多くの場合足りていないのは「話題のセンス」ではなく「共通点の見つけ方」と「広げ方」です。
共通点が一つ見つかるだけで、相手との距離はぐっと縮まり、雑談はぐらつきにくくなります。しかも、その共通点は大きなものではなく、最近ハマっている物や休日の過ごし方のような、小さな共通点で十分です。
この記事では、共通点を無理なく見つけて自然に会話を広げるための考え方と具体フレーズを、職場・初対面・オンラインなどの場面別に整理して紹介します。
この記事で分かること
- 雑談で距離が縮まる人と、会話が続かない人の決定的な違い
- 初対面でも使える、共通点が見つかりやすい三つの領域と具体的な質問例
- 会話の流れの中から自然に共通点を拾う聞き方と問いかけ方のパターン
- 職場・交流会・オンラインなど場面別の「共通点の見つけ方」と実際の会話例
- 共通点探しでやりがちなNGと、共通点が少なくても距離を縮めるための考え方
雑談で距離を縮める「共通点」の力とは
共通点があると一気に距離が縮まる理由
初めて会った相手でも、「あ、その映画好きなんですね」「同じ路線を使っているんですね」といった一言で、急に話しやすくなった経験はないでしょうか。
これは、人が「自分と似ているもの」に安心感や親近感を抱きやすいという、ごく自然な心の動きによるものです。
心理学では、価値観や背景が近い相手に対して「この人は自分を分かってくれそうだ」と感じやすいと言われます。共通点が見つかると、相手の中に次のような期待が生まれます。
- 自分の感覚や考え方を理解してもらえそう
- 少し踏み込んだ話をしても、受け止めてもらえそう
- 否定されにくそうだから、安心して話せそう
この「分かってくれそう」という期待が、雑談のハードルを一気に下げます。
特別に面白い話題がなくても、共通点をきっかけに「もう少し話してみようかな」という空気が生まれる。それが、距離が縮まる第一歩になります。
共通点は大きなものだけでなく「小さな共通点」でも十分
共通点と聞くと、「同じ出身地」「同じ学校」「同じ業界」といった大きなつながりをイメージしがちです。もちろん、そうした共通点があれば会話は広げやすくなります。
ただ、現実にはそこまで分かりやすい共通点が見つからない相手の方が多いはずです。
そこで意識したいのが、「小さな共通点」です。例えば、次のようなものです。
- 最近ハマっているドラマやYouTubeチャンネル
- 仕事の進め方(朝型か夜型か、紙派かデジタル派か)
- 休日の過ごし方(インドア寄りかアウトドア寄りか)
- よく行くエリアや、好きなコンビニスイーツ
一つひとつは些細なことですが、「あ、自分もそれ好きです」「自分も似たタイプかもしれません」という小さな共通点が重なるほど、「一緒にいて心地いい人」という印象が育っていきます。
大きな共通点が見つからなくても大丈夫です。
むしろ、小さな共通点をいくつか積み重ねていく方が、会話のネタも増え、自然な親近感につながりやすくなります。
雑談でのゴールは「盛り上げる」より「安心感をつくる」
雑談が苦手だと感じている人ほど、「面白いことを言わなきゃ」「場を盛り上げなきゃ」と自分にプレッシャーをかけてしまいがちです。
しかし、多くの場面で本当に求められているのは、笑いを取ることよりも「この人とは話しやすい」「一緒にいて気が楽だ」という安心感です。
共通点は、その安心感をつくるための道具だと考えてみてください。
- 共通点がある → 「分かってもらえそう」という期待が生まれる
- 分かってもらえそう → 少し本音に近い話もしやすくなる
- 話しやすい → 一緒にいる時間が苦にならず、距離が縮まっていく
雑談の目的を「盛り上げること」から「話しやすさと安心感をつくること」に置き換えるだけでも、気持ちはぐっと楽になります。
このあとのセクションでは、そんな共通点をどうやって見つけるか、どんな問いかけをすれば自然に会話が広がるかを、具体的なパターンとフレーズで整理していきます。

共通点が見つかりやすい三つの領域
属性の共通点:立場・環境・ライフステージ
共通点を探すとき、いきなり趣味や価値観を掘りにいく必要はありません。
まず手がかりにしやすいのが、「属性」に関する共通点です。
例えば、次のようなものがあります。
- 職種・業界・部署・役割などの「仕事上のポジション」
- 住んでいるエリアや出身地、通っていた学校といった生活環境
- 新卒・子育て世代・管理職・セカンドキャリアなどのライフステージ
同じ営業職、同じバックオフィス、同じエリアに住んでいる、同じような家族構成である――こうした共通点は、相手も気付いており、会話の糸口にもなりやすい領域です。
例えば、
- 「私も◯◯線を使って通勤しているんです」
- 「うちも小学生の子どもがいて、朝はいつもバタバタです」
といった一言だけでも、「あ、うちも似た感じです」と返しやすくなり、そこから通勤事情や子育ての話に自然とつなげていくことができます。
属性の共通点は、深く踏み込みすぎなくても話しやすいテーマが多いため、「まずはここから探す」と決めておくと、初対面でも安心して会話を始めやすくなります。
行動の共通点:趣味・習慣・日々の行動
次に見つけやすいのが、「行動」に関する共通点です。
どんなことをしている時間が多いのか、どんなパターンで一日を過ごしているのか、といった具体的な行動は、共通点が見つかると一気に話題が広がります。
例えば、次のような切り口があります。
- 趣味(スポーツ・音楽・読書・ゲーム・旅行・料理など)
- 平日のルーティン(朝型か夜型か、仕事前後の過ごし方)
- 休日の過ごし方(家でゆっくり派・外出派)
- よく使うツールやサービス(スマホアプリ、ガジェット、通勤手段、サブスクなど)
「最近、週末は◯◯の動画ばかり見ていて…」「通勤中は、いつもポッドキャストを聞いています」など、自分の行動を少しだけ開示すると、相手も「私も似た感じです」「自分は逆で…」と返しやすくなります。
行動の共通点が見つかると、
- きっかけ(いつからその趣味を始めたか)
- 頻度(どのくらいのペースでやっているか)
- おすすめ(気に入っている理由・お気に入りのポイント)
と、深掘りしやすい話題がいくつも生まれます。
属性の共通点よりも会話の幅が広がりやすいので、「少し打ち解けてきたタイミング」で探してみると自然です。
価値観の共通点:考え方・大事にしていること
三つ目は、「価値観」に関する共通点です。
ここは距離がぐっと縮まりやすい一方で、踏み込みすぎると重くなりやすい領域でもあります。
価値観の共通点とは、例えば次のようなものです。
- 仕事で大事にしていること(スピード感、丁寧さ、チームワーク など)
- 人付き合いで大事にしていること(約束を守る、無理をさせない 等)
- ニュースや出来事に対する受け止め方(「こういう働き方は良いと思う」「ここは疑問に感じる」など)
会話の中で、
- 「自分も、まずは相手のペースを大事にしたい方です」
- 「私も、細かいところを整えるのが好きでして…」
といった一言が重なると、「この人とは考え方が近いかもしれない」という感覚が生まれます。
これは、趣味や行動が違っていても、「根っこの部分が似ている」と感じてもらえる強い共通点になります。
ただし、価値観の話題は深く入りすぎると、初対面や関係が浅い段階では重くなったり、議論モードになってしまうこともあります。
そのため、最初は次のように「浅く触る」程度から始めるのがおすすめです。
- 「自分も、その考え方、とても素敵だと思いました」
- 「そういう進め方、良いですね。自分も見習いたいです」
あくまで「相手の価値観に軽く共感を示す」くらいにとどめ、双方が話しやすい雰囲気になってきたら、少しずつ自分の考えも共有していくイメージです。
この三つの領域――属性・行動・価値観――を意識しておくと、やみくもに共通点を探すのではなく、「今はどのレベルなら話しやすそうか」を判断しながら、無理のない距離感で会話を進めやすくなります。
会話の流れの中で共通点を引き出る聞き方
雑談の中で共通点を見つけようとすると、「趣味は何ですか?」「休日は何を?」と、つい質問攻めになってしまいがちです。
大事なのは、チェックリストのように問いを並べることではなく、「会話の流れの中で自然に」共通点が浮かび上がる聞き方を身につけることです。
ここでは、相手の話を起点にしながら共通点を探るための三つの聞き方を整理します。
相手の話からキーワードを拾う
共通点探しのスタート地点は、「相手がすでに話してくれた言葉」です。
特に意識して拾いたいのは、次のようなキーワードです。
- 場所:地名、職場エリア、よく行くお店 など
- 時間:朝型/夜型、平日/休日、時期・季節 など
- 行動:やっていること、通っている場所、使っているサービス など
- 感情:「楽しかった」「大変だった」「面白かった」などの気持ちの言葉
例えば、相手がこんな話をしたとします。
「最近、仕事帰りにジムに通い始めたんですよ。」
この中には「仕事帰り」「ジム」「最近始めた」というキーワードが含まれています。
これをそのままスルーするのではなく、少しだけオウム返し+一言質問に変えて返します。
- 「仕事帰りにジムに行かれているんですね。どのあたりのジムなんですか?」
- 「ジム、最近始められたんですね。きっかけは何だったんですか?」
ポイントは、「今の話のどこが自分は気になったか」を素直に伝えることです。
- 「今の“最近始めた”ってところが気になったのですが…」
- 「その“仕事帰りに”というのが、自分にはなかなかできなくて…」
といった前置きを軽く添えると、質問感がやわらぎ、「興味を持ってもらえた」という受け止め方をしてもらいやすくなります。
オープンクエスチョンで背景を聞く
共通点は、「表面の情報」ではなく、その先にある背景やストーリーの中から見つかることが多くあります。
そこで役立つのが、はい/いいえで終わらない「オープンクエスチョン」です。
基本になるのは、次のような問いかけです。
- いつ(When)
- どこで(Where)
- なぜ(Why)
- どうやって(How)
例えば、
- 「それを始めたきっかけは何だったんですか?」
- 「一番大変だったところはどこでしたか?」
- 「最初はどのあたりから取り組まれたんですか?」
といった質問をすると、相手は「背景」や「自分の考え」を自然と話しやすくなります。
その中に、「自分も似ている」「自分も同じように感じたことがある」と思えるポイントが出てきたとき、共通点として拾いやすくなります。
ただし、深掘りのし過ぎには注意が必要です。
- 質問を重ねても、相手の表情が硬いまま
- 答えが短くなってきている
- 視線が泳いだり、話題を変えようとしている
こうしたサインが見えたら、「これ以上は踏み込まない方が良さそう」と判断し、一度自分の話に切り替えたり、別の話題へ移るのが安心です。
オープンクエスチョンは、「会話を深めるアクセル」であり、同時に相手の反応を見ながら「どこまで踏むか」を調整するブレーキもセットで意識しておくと、自然で心地よい距離感を保ちやすくなります。
自分の小さな情報を返して共通点を探る
共通点は、「相手から聞き出す」だけでなく、「自分から少し差し出す」ことで発見できることも多くあります。
そのときのコツは、「自己紹介のような大きな話」ではなく、「小さな一片」を返すイメージです。
流れとしては、
- 相手の話を聞く
- 共感やねぎらいのひと言を添える
- 自分の小さな情報を一つだけ返す
- すぐに相手への質問に戻す
というリズムを意識します。
具体例としては、次のようなイメージです。
- 「◯◯によく行かれるんですね。あのあたり、雰囲気が良いですよね。実は自分もときどき行きます。普段はどのあたりのお店に行かれるんですか?」
- 「最近ランニングを始められたんですね。素敵ですね。自分も短距離ですが、週末だけ走るようにしていて…どのくらいの距離を走っていらっしゃるんですか?」
- 「在宅勤務が続いているんですね。自分も自宅作業が多くて、つい運動不足になりがちで…。リフレッシュには何をされていますか?」
ここで大事なのは、「自分の話を広げすぎないこと」です。
自分語りが長くなると、会話の主役がどちらか分からなくなり、結果として共通点探しではなく「自分の宣伝」になってしまいます。
目安としては、
- 自分の話は「一エピソード(1~2文)」まで
- そのあと必ず「相手への質問」に戻す
というルールを決めておくと、バランスを崩しにくくなります。
「実は私も…」「自分もそのあたりよく行きます」「似たような経験があって」といった、共通点の“種”になりそうな一言を小さく返してみることで、相手も「そこ、もう少し話してみようかな」と感じやすくなります。
その積み重ねが、「気付いたら共通点がいくつも見つかっていた」という状態につながっていきます。
共通点の見つけ方パターン一覧
雑談の場で共通点を見つけようとすると、つい行き当たりばったりで質問してしまいがちです。
しかし、どこを見るか・どう聞くかには、ある程度のパターンがあります。
ここでは「深掘り系」と「横展開系」という二つの軸で整理しながら、自分の会話スタイルに合わせて使える形にまとめていきます。
深掘り系・横展開系の二つの軸で考える
共通点の見つけ方は、大きく次の二つのパターンに分けて考えると分かりやすくなります。
深掘り系:一つの話題を掘っていくパターン
- 相手が出してくれた話題(仕事・趣味・最近の出来事など)を、そのまま縦に掘り下げていく方法です。
- 「きっかけ」「続けている理由」「一番大変だったこと」「一番好きなところ」などを聞くことで、その人ならではの背景や価値観が見えてきます。
- その背景の中に、「自分も似た経験がある」「自分も同じように考えている」という共通点が見つかりやすくなります。
- ある程度時間があり、じっくり話せる場面(休憩中、移動中、少人数の飲み会など)に向いているスタイルです。
横展開系:今の話題から近いテーマに広げるパターン
- ひとつの話題を深く掘り下げるのではなく、「関連しそうな別の話題」に横に広げていく方法です。
- 例えば、仕事の話から休日の過ごし方へ、通勤の話から住んでいるエリアへ、趣味の話から使っている道具やサービスへ、というように話をスライドさせていきます。
- ひとつの話題を長く続けるのが得意でない方や、相手があまり詳しく話したがらないときに有効です。
- 初対面、会議前後の短い雑談、オンラインで時間が限られているときなどに使いやすいパターンです。
場面に応じて、
- じっくり話せるときは「深掘り系」
- 時間が短いときや、相手が慎重そうなときは「横展開系」
というように、どちらの軸を使うかを決めておくだけでも、共通点を見つける精度がぐっと上がります。

共通点を見つける質問パターン表
ここでは、「パターン種別 × どこを見るか」の組み合わせで、実際に使える質問パターンを一覧にまとめます。
そのまま使ってもよいですし、自分のシーンに合わせて言い回しをアレンジしても構いません。
| パターン種別 | どこを見るか | 質問の型 | 具体例 | 狙える共通点 |
|---|---|---|---|---|
| 深掘り | 行動 | きっかけを聞く | その趣味を始めたきっかけは何だったんですか? | 始めた理由・背景、似たタイミングや動機 |
| 深掘り | 行動 | 工夫・こだわりを聞く | 一番こだわっているところはどこですか? | 仕事の進め方、価値観の近さ |
| 深掘り | 価値観 | 大事にしているポイントを聞く | その仕事で一番大事にされていることは何ですか? | 仕事観・人付き合いのスタイル |
| 深掘り | 属性 | 経験の積み方を聞く | 今の仕事に至るまで、どんな経緯があったんですか? | 経歴の共通点、転職・進路の似た悩み |
| 横展開 | 属性 | 出身地・エリアに広げる | 普段はどのあたりにお住まいなんですか? | 地域・路線・よく行くエリア |
| 横展開 | 行動 | 休日・別の時間帯に広げる | お休みの日も、似たような過ごし方をされるんですか? | 休日の過ごし方・ライフスタイル |
| 横展開 | 行動 | 関連する他の活動に広げる | それ以外にも、近いジャンルで何かされているんですか? | 他の趣味・活動の共通点 |
| 横展開 | 価値観 | これからの話題に広げる | 今後やってみたいことや、気になっていることはありますか? | 将来のイメージ・目指す方向性 |
深掘りと横展開を組み合わせると、
- 相手の話題に対して「きっかけ」や「こだわり」を聞く(深掘り)
- そこから「休日はどうですか?」「他の場面でも同じですか?」と横に広げる(横展開)
というように、自然な流れで共通点を探すことができます。
表を自分用に書き換えるコツ
上の表はあくまで「汎用の型」です。実際に使いやすくするためには、自分のよくいる場面に合わせてカスタマイズしていくことが大切です。
- 職場での雑談が多い人は
→ 「プロジェクト」「通勤」「ランチ」「働き方」などを具体例に入れ替える - 趣味の集まりが多い人は
→ 「ライブ」「試合」「イベント」「推し」など、自分のフィールドの言葉に変える - オンラインでのやりとりが多い人は
→ 「在宅勤務」「使っているツール」「カメラオン・オフの工夫」などに置き換える
といった形で、「自分の生活圏でよく出てくる話題」に寄せて書き換えてみてください。
おすすめの運用方法は、次のようなステップです。
- この記事の表から「これは使えそう」と思うパターンを2〜3行だけ選ぶ
- メモアプリやノートに、自分の言葉で書き直して保存する
- 実際の会話で一つずつ試し、使いにくかったものは削る・言い換える
最初から全部を覚える必要はありません。
よく使うシーンに合うパターンを少しずつ増やしていくだけでも、「共通点を見つけるのが得意な人」に近づいていきます。
場面別 共通点の見つけ方と会話例(職場・初対面・オンライン)
ここまでのパートで、「どこを見れば共通点が見つかるか」「どんな聞き方をすれば自然か」を整理してきました。
この章では、実際の会話に落とし込んだ“ビフォー/アフター”の例を通して、共通点の見つけ方がどのように働くのかを具体的にイメージできるようにしていきます。
職場の雑談で共通点を見つける例
職場の雑談は、いきなり深い話をする場ではなく、「仕事まわりの共通点」から少しずつ距離を縮めていくのが基本です。
出社時・休憩中・会議前後の一言をきっかけに、「仕事 → 日々の習慣 → 趣味」と段階的に広げていくイメージを持つと、話題に困りにくくなります。
よくあるビフォー例(共通点が見つからずに終わる雑談)
A:おはようございます。
B:おはようございます。
A:今日は暑いですね。
B:そうですね。
A:……
B:……
天気という“安全な話題”は触れられていますが、
・キーワードを拾えていない
・質問もない
ため、会話がそこで止まってしまっています。
共通点を意識したアフター例(仕事 → 習慣 →趣味へ)
A:おはようございます。
B:おはようございます。
A:今日もかなり暑いですね、通勤大丈夫でした?
B:本当ですね、私は電車が混んでいて少しバテました…。
A:電車通勤なんですね。自分も◯◯線を使っていて、朝はけっこう戦いです。
B:あ、私も◯◯線です。途中からですけど。
A:そうなんですね。じゃああの辺りにお住まいなんですか?休みの日とかはあの沿線で過ごされることが多いですか?
B:そうですね、◯◯駅の近くのカフェによく行きます。
A:◯◯駅のカフェ、気になってました。お好きなカフェとかあるんですか?
ここでは、
- 「暑い」「通勤」「電車」「路線」「住んでいるエリア」という行動・属性のキーワードを拾って深掘り
- 通勤という“仕事に関係する話題”から、休日の過ごし方やカフェという趣味寄りの話題へとスライド
という流れで、自然に共通点を探しにいっています。
- 一言リアクションで終わらせず、「キーワード+質問」で返す
- 仕事に関係する“安全圏の話題”から、徐々にプライベート寄りに移す
- 自分の情報(同じ線に乗っていること)も小さく出して、共通点の“種”を置く
この3つを意識するだけでも、職場の雑談で見つかる共通点の量が変わってきます。
初対面・交流会での共通点の探り方
初対面の場では、「ゼロから共通点を探す」のではなく、
- 名刺
- 肩書き
- 参加目的
といった、すでに目の前にある情報から手がかりを拾っていくのが効率的です。
ビフォー例(名刺交換で終わってしまうパターン)
A:はじめまして。◯◯株式会社のAと申します。
B:Bと申します。よろしくお願いいたします。
A:よろしくお願いいたします。
B:……
A:……
名刺のやり取りはできていますが、「共通点を探す問い」が一つもないため、その場で会話が途切れてしまいます。
共通点探しを意識したアフター例
A:はじめまして。◯◯株式会社で営業をしておりますAと申します。
B:Bと申します。△△のマーケティングを担当しています。よろしくお願いいたします。
A:マーケティングご担当なんですね。営業側として、いつもお世話になっている領域です。
今日はどのあたりのセッションがお目当てで参加されましたか?
B:SNS運用のセッションが気になっていて…最近△△業界でも力を入れているので。
A:そうなんですね。うちも最近やっと本格的に始めたところで…。
もし差し支えなければ、普段はどんなSNSを使っていらっしゃるのか、あとで少し教えていただいてもいいですか?
ここでは、
- 名刺情報から「職種」「担当領域」という属性の共通点候補を拾う
- 「今日の参加目的」という行動の共通点に話を移す
- 「SNS運用」というキーワードから、「自社も始めた」「あとで聞きたい」と今後につながる共通点を置く
という三段階の流れになっています。
初対面での質問として使いやすいのは、次のようなものです。
- 「今日はどのあたりのテーマが気になって来られましたか?」
- 「普段はどんなお仕事をされているんですか?」
- 「最近のお仕事で、印象に残っていることはありますか?」
どれも「評価」ではなく「興味」として聞ける質問なので、相手も答えやすく、共通点を探る足がかりになります。
オンライン会議・チャットで共通点をつくる工夫
オンラインでは、雑談の時間が短くなりがちで、「共通点を探す前に本題に入ってしまう」ことも多くなります。
その中でも、会議の冒頭や終了時の30秒をうまく使うと、オンラインならではの“共通点の種”を置くことができます。
オンライン会議前後の共通点トーク例
A:本日はお時間ありがとうございます。
背景の本棚、とても素敵ですね。読書お好きなんですか?
B:ありがとうございます。仕事の本が多いんですが、読むのが好きで…。
A:自分も最近ようやく読書の習慣を戻したところで…。
もしおすすめの一冊があれば、最後に1冊だけ教えていただきたいです。
あるいは、天気・在宅勤務の工夫を話題にするパターン
A:今日はそちらも雨ですか?こちらは朝からずっと降っていて…。
B:同じくです。在宅だと、雨の日は少し助かりますね。
A:分かります。自分も最近、雨の日はあえて在宅にしていて…。
在宅の日は、何か工夫されていることってありますか?
ここでは、
- 背景(本棚、観葉植物、壁の色など)
- 天気や時間帯
- 在宅勤務の工夫(集中するための工夫、気分転換など)
といったオンライン特有の共通点候補から話題を拾っています。
チャットで「共通点っぽい話題」を出すときの注意点
チャットで共通点を探す場合は、次の点に気をつけると、相手の負担になりにくくなります。
- 長文ではなく、一言+質問くらいのボリュームにする
- 勤務時間外や、相手が忙しそうな時間帯への連投は避ける
- 一度反応が薄かった話題を、何度も掘り返さない
例
「先日のミーティングで◯◯エリアにお住まいとお聞きしました。
自分も近くの沿線なので、少し親近感が湧きました。
おすすめのランチのお店などあれば、いつか教えてください。」
このくらいの“軽い一往復”であれば、通知負担も少なく、相手も返事をしやすくなります。
職場・初対面・オンラインという三つの場面を見比べてみると、
- どの場面も、「すでに出ている情報」を手がかりに
- 属性 → 行動 → 価値観 の順に少しずつ深めていく
- 自分の小さな情報も返しながら、“共通点の種”を置いていく
という共通パターンで動いていることが分かります。
このイメージを持っておくだけでも、「共通点どうしよう…」という不安がかなり軽くなっていきます。
共通点探しのNG例と「共通点がなくても距離を縮める」コツ
共通点を意識すること自体はとても有効ですが、やり方を誤ると「距離を縮める」はずが、かえって相手を遠ざけてしまうことがあります。
この章では、ありがちなNGパターンと、共通点が見つからないときの考え方をセットで押さえておきます。
質問攻め・詮索に聞こえてしまう共通点探し
共通点を探そうとするあまり、つい質問が立て続けになってしまうことがあります。
- 「休みの日は何しているんですか?」
- 「ご家族は一緒に住まれているんですか?」
- 「お子さんは何歳ですか?」
- 「お仕事の年収ってどれくらいなんですか?」
このように、
「休みの日の過ごし方 → 家族構成 → 年収・恋愛・家庭事情」
と一気に踏み込むと、相手からすると「根掘り葉掘り聞かれている」という感覚になりがちです。
相手が答えづらそうなときのサインとしては、例えば次のようなものがあります。
- 返事が極端に短くなる(「まあ、ぼちぼちです」「いろいろですね」など)
- 目線が泳ぐ・笑顔が減る
- こちらへの質問が返ってこない
こうしたサインが出たときは、深追いせず話題を切り替えるのが無難です。
安全なラインの目安としては、
- 自分から詳しく話せる内容だけを聞く
(聞かれたら自分も同じくらい話してもいい、と思える範囲) - 「仕事」「趣味」「最近ハマっているもの」「休日のおおまかな過ごし方」など、浅めの情報にとどめる
くらいにしておくと、詮索っぽさを避けやすくなります。
共通点をマウンティングに使ってしまうケース
共通点を見つけたときに注意したいのが、「自分の方が詳しい」「自分の方が上」というアピールにすり替わってしまうパターンです。
例えば、
- 相手:「最近ランニングを始めたんです」
- 自分:「あ、僕はもうフルマラソン何回も走っていて…」
- 相手:「カメラに興味があって、◯◯を使っていて」
- 自分:「その機種なら初心者用ですよね。本格的にやるなら△△の方がいいですよ」
といった返し方は、たとえ悪気がなくても、相手には「上から目線」「マウントを取られた」と感じさせてしまうことがあります。
共通点は、
- 「競う」ためではなく
- 「同じ側に並んで話す」ためのもの
と意識を変えることが大切です。
具体的には、
- まずは相手の話を最後まで聞き切る
- 自分の経験を話すときも「自慢」ではなく「共感と共有」に寄せる
例:「自分も最初、その機種から始めました。扱いやすいですよね」
という順番を守るだけでも、受け取られ方が大きく変わります。

共通点がなくても距離を縮める二つの視点
実際のところ、「分かりやすい共通点」が見つからない相手もたくさんいます。
そのときに「共通点がない=仲良くなれない」と考えてしまうと、会話がすぐに行き詰まってしまいます。
そこで役に立つのが、次の二つの視点です。
1. 違いそのものを「面白がる」スタンス
共通点が見つからない場合でも、「自分と違うところ」をネガティブではなく、興味の対象として扱うスタンスが有効です。
- 「自分とは全然違うので、逆にお話を聞いていて新鮮です」
- 「その世界のことをあまり知らないので、少し教えてもらえるとうれしいです」
といった言い方で、違いに対して「評価」ではなく「興味」を向けていることを伝えると、相手も話しやすくなります。
2. 「同じ経験」ではなく「似た感情」を共通点にする
出来事そのものは違っていても、そこから生まれる感情が似ていることはよくあります。
- 相手:「初めての転職で、かなり緊張しました」
- 自分:「業界は違いますが、自分も初めて部署異動したとき、似たようにドキドキしました」
- 相手:「大勢の前で話すのは今でも怖くて…」
- 自分:「自分も別の場面ですが、人前に立つときは今でも手が震えることがあります」
このように、
「同じ出来事を経験しているかどうか」ではなく、
「似た気持ちになったことがあるかどうか」
を探していくと、共通点の幅がぐっと広がります。
共通点がたくさん見つかれば距離は縮まりやすくなりますが、
たとえ分かりやすい共通点が見つからなくても、
- 質問の深さを調整する
- 相手の話を途中で奪わない
- 違いや感情レベルの共通性をていねいに扱う
といった姿勢しだいで、「話しやすい人」「安心して話せる人」という印象は十分につくっていけます。
雑談と共通点に関するよくある質問【FAQ】
雑談や共通点探しにまつわる悩みは、とてもパターンが似ています。
ここでは、よくある質問を取り上げながら、押さえておきたい考え方と具体的な動き方を整理します。
FAQ一覧と簡潔な回答方針
- Q共通点が全然見つからない相手とは、どう話せば良いですか?
- A
共通点を無理に探そうとすると、どうしても質問攻めになりがちです。
その場合は、出来事そのものではなく、次の二つを意識すると楽になります。- 違いそのものを面白がる
例:自分とは全然違う世界のお話なので、聞いていてとても新鮮です。 - 同じ経験ではなく「似た感情」を共通点にする
例:状況は違いますが、自分も別の場面で似たように緊張したことがあります。
共通点が少なくても、相手の話を丁寧に受け止める姿勢が伝われば、十分に距離は縮まっていきます。
- 違いそのものを面白がる
- Q初対面で踏み込みすぎない共通点探しのラインはどこですか?
- A
初対面で安全なのは、おおよそ次の範囲です。
- 仕事や役割(職種、担当業務、働き方など)
- 趣味・関心のあること(読書、映画、スポーツ、旅行など)
- 最近の習慣(朝の過ごし方、健康のために意識していること など)
反対に、初対面でこちらから踏み込まない方が良いのは、家族事情、恋愛、収入、政治・宗教、価値観が強く分かれるテーマです。
まずは仕事や趣味、日々の習慣あたりまでにとどめておき、相手が自分から話してきた分だけ、少しずつ深さを調整するのが安全なラインです。
- Q相手があまり話してくれないとき、共通点を探すのは諦めるべきですか?
- A
すぐに諦める必要はありませんが、「深掘り質問モード」は一旦やめた方が安心です。
ポイントは、相手の負担を減らすように会話の形を切り替えることです。- 自分から小さな情報を一つ出す
例:自分は最近◯◯にハマっていて、週末はだいたいその予定になっています。 - そのあとに、ゆるい質問を添える
例:◯◯さんは、週末はどんなふうに過ごされることが多いですか。
このように、自分の話を少し差し出してから軽く問いかけると、相手も答えやすくなります。
それでも反応が薄いときは、共通点探しよりも、短いやり取りで終える配慮に切り替える方が、お互いにとって負担が少なくなります。 - 自分から小さな情報を一つ出す
- Qビジネスの場でプライベートな共通点(家族・恋愛など)に触れてもいいですか?
- A
基本的には、自分から踏み込まないのが無難です。
ビジネスの場では、次のようなルールを目安にすると安全です。- 自分から切り出す共通点は、仕事・趣味・日常の範囲にとどめる
- 家族・恋愛などは、相手から話題にした場合にだけ、軽く触れる程度にする
- 深く掘るのではなく、その場ではほんの一言で留める
例えば、相手から子どもの話が出た場合でも、詳しい状況を聞き出すのではなく、
大変な中でお仕事もされていて、すごいですね。
といった程度の受け止めにしておくと、距離の取り方としてはちょうど良くなります。
- Q共通点が多いのに、なぜか距離が縮まらないことがあります。何が原因でしょうか?
- A
共通点そのものよりも、会話のスタンスが原因になっている場合が多いです。例えば、
- 共通点の話題になると、自分ばかり長く話してしまう
- 相手の話の途中で、自分の経験談に切り替えてしまう
- 共通点をきっかけに、さりげなくマウンティングになってしまう
といったパターンです。
共通点が多くても、話を奪われる感覚や、比較されている感覚が続くと、相手は疲れてしまいます。
共通点を使うときは、- まず相手の話を最後まで聞き切る
- 自分の話は一つだけ短く伝え、すぐに相手に返す
- 感想やねぎらいを一言添える(いいですね、それは大変でしたね、など)
という三つを意識すると、共通点がそのまま心地よい距離感につながりやすくなります。
まとめ 自然に距離が縮まる共通点の見つけ方ステップ
ここまで見てきたように、雑談で距離が縮まるかどうかは「話術」よりも、相手との間に小さな共通点をいくつ積み上げられるかがポイントになります。
最後に、明日から実践しやすいステップとして整理しておきましょう。
完璧な共通点より「小さな共通点を一つ」見つける
共通点というと、同じ出身地や同じ学校、同じ業界のような「大きな共通点」を思い浮かべがちです。
しかし、実際の雑談で効いてくるのは、もっと小さくて身近な共通点であることがほとんどです。
- 「最近ハマっているおやつが似ている」
- 「平日の夜はつい遅くまでスマホを見てしまう」
- 「休日は外に出るより家でゆっくりしたいタイプ」
こうした「生活の一部」「ちょっとした好み」レベルの共通点でも、見つかると安心感がぐっと高まります。
大きな共通点を探そうとすると、質問も重くなり、踏み込みすぎてしまうリスクも出てきます。
一方で、小さな共通点は話題にしやすく、もし違っても「そうなんですね」で軽く受け止めやすいのが利点です。
共通点は「仲良くなれるかどうかを決めるテスト」ではなく、「会話のきっかけの一つ」にすぎません。
完璧な共通点を探すより、「今日の会話で一つだけ、小さな共通点が見つかれば十分」くらいの気楽さでいる方が、結果的に距離が縮まりやすくなります。
一場面・一パターンから実践してみる
共通点の見つけ方は、頭で分かっていても、いざ会話の場面になるとなかなか出てこないものです。
そこでおすすめなのが、「場面を一つ決めて、パターンも一つか二つに絞る」というやり方です。
たとえば次のように、まずはシーンを決めます。
- 職場の朝の「おはようございます」のあと
- 会議が始まる前の数分
- オンライン会議がつながった直後
- 習い事やサークルの開始前の待ち時間
そのうえで、記事内の表や質問パターンから「これなら使えそう」と思うものを一つか二つ選び、
次の雑談タイミングでだけ実験してみます。
- 「きっかけを聞く」
- 「休日の過ごし方に広げる」
- 「最近の習慣をたずねる」 など
うまく共通点が見つかった場面は、そのまま自分の成功パターンに。
うまくいかなかった場面も、「次は何を聞けば良かったか」「どこまでなら聞きやすかったか」を考えることで、次の会話の練習材料になります。
大切なのは、「全部の場面で完璧にやろう」としないことです。
一場面、一パターンずつ増やしていくことで、いつの間にか共通点探しの引き出しが増えていきます。
自分なりの「共通点の見つけ方リスト」を育てる
記事の中で紹介したパターンや質問は、そのまま使っても役立ちますが、本当に頼りになるのは「自分なりに言い換えたリスト」です。
自分の口調や性格に合うものだけを選び、少しずつ自分用に調整していきましょう。
例えば、
- その趣味を始めたきっかけは何だったんですか?
→ 自分の口調に合わせて
「ちなみに、始められたきっかけって何かあったんですか?」 - 休日はどんなふうに過ごされることが多いですか?
→ 「お休みの日って、どんな過ごし方が多いですか?」
というように、ほんの少し語尾や言い回しを変えるだけでも、「自分の言葉」として口から出やすくなります。
おすすめなのは、次のような習慣です。
- 記事内の表やフレーズから、気に入ったものをメモアプリやノートに書き写す
- 実際の会話で使ってみて、「しっくりくるか」「固く感じるか」を後から振り返る
- 使いにくいものは思い切って削り、よく使うものはバリエーションを増やしていく
共通点探しのセンスは、生まれつきの才能ではありません。
この「自分用リスト」をどれだけ自分らしく育てられるかで、雑談のしやすさが変わっていきます。
ことのは先生よりひとこと

共通点は、最初から正解を当てるクイズではなく、会話を重ねる中で少しずつ浮かび上がってくる彩りのようなものです。
まずは一つだけ「これなら聞けそう」と思える質問を選んで、次の雑談のときにそっと試してみてくださいね。
うまくいってもいかなくても、その一歩が、あなたにとって心地よい距離感のつくり方を見つけていくきっかけになります。


