「承知しました」と「了解しました」の違い|ビジネス敬語の正しい使い分け

「承知しました」と「了解しました」の違い|ビジネス敬語の正しい使い分け 敬語・ビジネス言葉

「承知しました」と「了解しました」の違い|ビジネス敬語の正しい使い分け

ビジネスメールや会話で、つい使ってしまう「承知しました」「了解しました」
どちらも“分かりました”という意味ですが、使う相手や場面によって印象が大きく変わることをご存じでしょうか。

たとえば、上司への返信に「了解しました」と書くと、知らないうちに“少し軽い印象”を与えてしまうこともあります。
一方で、同僚やチーム内で「承知しました」を多用すると、かえってよそよそしく感じられることも。

この記事では、そんな迷いやすい2つの言葉の違いをわかりやすく整理し、
「誰に・どんな場面で・どちらを使うのが正解か」を、実例付きで解説します。


📌この記事でわかること

  • 「承知しました」と「了解しました」の正しい意味と敬語としての違い
  • 目上・同僚・部下・取引先など、相手別の使い分け方
  • メール/チャット/口頭で使うときの注意点
  • 間違えやすいNG例と、感じの良い言い換え表現
  • ワンランク上の印象を与える敬語の使い方チェックリスト

ビジネスの印象を左右する“ほんの一言”を、今日から自信を持って使いこなせるようになりましょう。


まず押さえたい「承知しました」と「了解しました」の基本意味

「承知しました」と「了解しました」は、どちらも相手の指示・依頼・お願いを受け取った際に使われる言葉です。
どちらも“分かりました”という意味を持ちますが、敬語の分類や使われる場面のニュアンスが異なるため、使い分けを誤ると「失礼」と感じられることもあります。

特にビジネスでは、「目上の人に使うかどうか」「文書で使うか口頭で使うか」などによって印象が変わるため、この2つの正しい使い方を理解することはとても大切です。

ここではまず、それぞれの言葉がどのような背景とニュアンスを持っているのかを整理していきましょう。


「承知しました」の語源とニュアンス

「承知(しょうち)」という言葉は、「承る(うけたまわる)」と「知る」を合わせた表現で、
“相手の意向を謹んで受け入れる”という意味を持ちます。

つまり、「承知しました」は 相手の依頼・指示などを敬意をもって受け取る 謙譲語にあたります。
ビジネスでは主に、上司・取引先・顧客といった目上の人に対して使うのが適切です。

例文

  • ご指示の件、承知しました。明日までに対応いたします。
  • ご要望の内容、確かに承知しました。

このように「承知しました」は、相手に敬意を払いつつ自分の理解や受諾を伝える言葉です。
ややかしこまった印象があり、メール・書面・公式な会話に向いています。

一方で、社内チャットや気軽な会話の中で頻繁に使うと、「かしこまりすぎ」「距離がある」と感じられる場合もあるため、シーンによって使い分ける柔軟さが必要です。


「了解しました」の意味と使われ方

「了解(りょうかい)」は、「物事の内容や事情を理解して納得すること」を意味します。
そのため、「了解しました」は “理解して受け入れました” という意味になります。

敬語としては「丁寧語」に分類されますが、謙譲語ではないため、
目上の人に対して使うと「上から目線」「軽く感じる」と捉えられることがあります。

例文

  • ご連絡ありがとうございます。内容、了解しました。
  • 資料の修正点、了解しました。対応します。

このように「了解しました」は、同僚や部下など、対等または目下の相手に使うのが一般的です。
ビジネスメールだけでなく、社内チャット・口頭報告など、ややカジュアルな場面で自然に使われます。

また、口語では短く「了解です」「了解!」と使うことも多いですが、これはあくまでフランクな表現。
上司や取引先には「承知しました」または「かしこまりました」を選ぶのが無難です。


ポイントまとめ

表現敬語の種類主な使い方適する相手印象
承知しました謙譲語相手の指示・依頼を丁重に受ける上司・取引先丁寧・敬意がある
了解しました丁寧語内容を理解し受け入れる同僚・部下ややカジュアル・軽め

敬語分類から見る両者の違い

「承知しました」と「了解しました」の違いを正しく理解するには、
まず「敬語の分類」を知っておくことが大切です。

ビジネスでは、「どんな言葉を使うか」よりも、「どんな立場で使うか」が印象を左右します。
ここでは、敬語の3つの基本分類と、それぞれの表現がどこに当てはまるのかを整理してみましょう。


丁寧語・謙譲語・尊敬語の基礎

敬語は大きく分けて、次の3種類に分類されます。
それぞれが「誰を立てるか」「どこに敬意を向けるか」で役割が異なります。

敬語の種類主な目的具体例敬意の方向
丁寧語言葉づかいを丁寧にして相手に敬意を示す「です」「ます」「ございます」など会話全体を丁寧に
謙譲語自分をへりくだらせて相手を立てる「申します」「伺います」「いたします」など相手を立てる
尊敬語相手の行為を高めて敬意を示す「いらっしゃる」「おっしゃる」「なさる」など相手の行動を立てる

この3つはビジネス敬語の“基礎の基礎”です。
メールや会話でどんなに丁寧な言葉を使っても、相手との関係性に合っていなければ不自然に映ることがあります。

たとえば、上司や取引先に「了解しました」と言うと、
「理解しました(=丁寧語)」という意味にとどまり、“相手を立てる”謙譲の姿勢が欠けるため、少し軽い印象を与えるのです。


「承知しました」は謙譲語?「了解しました」は丁寧語?

この2つの敬語を分類すると、次のようになります。

表現敬語分類意味使用シーン注意点
承知しました謙譲語相手の言葉や依頼を“謹んで受け入れる”上司・取引先など目上の相手最も無難で丁寧な返答
了解しました丁寧語内容を“理解・了承した”同僚・部下・フランクな会話目上には不適切になりがち

つまり、「承知しました」は相手の立場を立てる表現、
一方で「了解しました」は自分が理解したことを伝える表現、という違いがあります。

例文で比較すると

  • 上司に対して:「ご指示の件、承知しました。」 ✅
  • 同僚に対して:「会議資料の修正、了解しました。」 ✅
  • 取引先に対して:「了解しました。」 ❌ → 「承知しました。」が自然

「了解しました」は日常的に使われる言葉ですが、ビジネスの場では“上から目線”と誤解されるリスクがあります。
そのため、上司や顧客への返信では「承知しました」または「かしこまりました」を選ぶ方が安心です。


  • 「承知しました」=謙譲語。相手を立てて敬意を込める。
  • 「了解しました」=丁寧語。理解を伝えるが、上下関係のある場では避ける。
  • 迷ったら「承知しました」を選ぶのがビジネスマナーの基本。

場面別使い分け|目上・取引先・同僚・部下

ビジネスでのやり取りでは、言葉そのものよりも「誰に向けて言うか」が印象を左右します。
同じ「分かりました」でも、上司と部下では適切な言葉が異なります。

ここでは、代表的な3つのシーン(上司・取引先/同僚・部下/会話手段別)に分けて、
「承知しました」と「了解しました」をどう使い分ければ自然で印象が良いのかを具体的に見ていきましょう。


上司・取引先には「承知しました」が適切な理由

上司や取引先など、自分より立場が上の相手に対しては「承知しました」が最も適切です。
これは、「承知しました」が謙譲語であり、相手に敬意を示す表現だからです。

例文

  • 「資料の修正について、承知しました。午後までに対応いたします。」
  • 「本日の予定変更、承知しました。よろしくお願いいたします。」

このように使うことで、“指示を真摯に受け止めている姿勢”を自然に伝えることができます。
一方で、「了解しました」を上司や顧客に使うと、
「分かりました(了解)」=“同等の立場で納得した”というニュアンスに取られ、少し軽く響くおそれがあります。

特にメール文面では、「了解しました」という一言だけではぶっきらぼうな印象を与えやすいため、
フォーマルな場面では「承知しました」+αの一文を添えるのが安心です。

悪印象を避ける書き方

「了解しました。」

「承知しました。ご確認ありがとうございます。」


同僚・部下とのやり取りなら「了解しました」もOK?

一方で、社内やチーム内でのフランクなやり取りでは「了解しました」でも問題ありません。
むしろ、上司や先輩が部下・後輩に対して使う場合には、「承知しました」だと距離を感じさせてしまうことがあります。

例文

  • (同僚へ)「会議室の予約、了解しました。ありがとう!」
  • (部下へ)「その件は了解しました。進めて大丈夫です。」

このように、“相手との関係が近いほど、軽めの表現が自然に響く”のがポイントです。

ただし、「了解です」「りょーかい」などの略語は、ビジネス上では注意が必要。
チャットツールやカジュアルな社内連絡であれば問題ありませんが、
メールや上長を含むグループチャットなどでは「了解しました」までにとどめておくのが無難です。

注意

  • 社外メールでは「了解しました」は使わない
  • 目上の相手には「承知しました」か「かしこまりました」
  • 同僚・後輩などには「了解しました」で自然

メール/チャット/口頭での使い方の違い

言葉の印象は、伝える手段によっても変わります。
同じ言葉でも、メールで見るのと口頭で聞くのとでは受け取り方が違うため、使い分けを意識しましょう。

手段適した表現理由・ポイント
メール承知しました/かしこまりました文章ではややフォーマルな印象が好まれるため、謙譲語が自然
チャット(社内)了解しました/承知です会話的でテンポ重視。簡潔さと柔らかさを両立できる
口頭承知しました(丁寧)/了解です(軽め)トーンや表情で印象が補えるため、相手との距離感で選ぶ

例文比較

  • メール:「スケジュールの件、承知しました。明日までに対応いたします。」
  • チャット:「了解しました!こちらで進めますね。」
  • 口頭:「はい、承知しました。すぐに確認します。」

ポイントは、「相手との距離」と「場のフォーマルさ」を意識して選ぶこと。
社外・フォーマルな場では「承知しました」、
社内・日常的な連絡では「了解しました」と使い分けると、自然で好印象になります。


まとめ:場面別使い分けの目安

相手適切な言葉NGになりやすい言葉
上司・取引先承知しました/かしこまりました了解しました/了解です
同僚了解しました/承知しました(どちらも可)りょーかい!/了解〜(砕けすぎ)
部下・後輩了解しました/OKです承知しました(堅すぎ・他人行儀)

よくある使い方の誤りとその改善例

「承知しました」と「了解しました」は、一見どちらも正しい敬語に見えます。
しかし、使う相手や場面を誤ると、意図せず“軽い”“堅すぎる”といった違和感を与えることがあります。

ここでは、ビジネスの現場でよくある2つの誤用パターンを取り上げ、
実際にどのように言い換えれば印象が良くなるのかを具体的に見ていきましょう。


「了解しました」を上司に使ってしまったケース

上司や取引先に対して「了解しました」を使うと、
一見問題なさそうでも、「同等の立場で了承した」という印象を与えてしまうことがあります。

誤った使い方の例

上司:「明日の会議、午後に変更になったから対応しておいて」
部下:「了解しました。」

このやり取り自体は成立していますが、
「了解」はもともと「理解して納得する」というニュアンスのため、
目上の人に対しては「承知しました」や「かしこまりました」のほうが丁寧です。

改善例

  • 承知しました。準備を進めておきます。
  • かしこまりました。変更内容を共有いたします。

このように、少し語尾を整えるだけで、“指示を受け入れて行動する姿勢”が伝わります。
また、「了解しました」を無意識に使ってしまった場合でも、
すぐにフォローすれば印象を取り戻すことができます。

フォロー例

「すみません、承知しましたの誤りでした。失礼いたしました。」

  • 「了解しました」は対等・フラットな関係で使用
  • 上司・取引先には「承知しました」「かしこまりました」を選ぶ
  • ミスしても、丁寧に訂正すればマイナス印象にはならない

「承知しました」を軽い挨拶で使ったときの違和感

逆に、カジュアルな場面で「承知しました」を多用すると、
堅すぎて距離を感じる・わざとらしい印象になることがあります。

不自然な使い方の例

同僚:「あとでランチ行かない?」
あなた:「承知しました。

このような返答は文法的には正しいですが、
日常会話では「了解しました」や「わかりました」「いいですね」のほうが自然です。
「承知しました」は“相手への敬意を表す場面”に適しており、
軽い依頼や誘いに使うと、フォーマルすぎて温度差が生まれるのです。

改善例

  • 同僚に対して → 「了解しました!」「わかりました。楽しみにしてます。
  • 友人に対して → 「OK!」「いいね、行こう!

一方で、業務上の連絡(例:上司への報告、取引先対応)であれば、
「承知しました」は信頼感を与える丁寧な表現です。

ビジネスでの適切な例

  • 「ご連絡ありがとうございます。承知しました。こちらで進めます。」
  • 「当日の流れ、承知いたしました。よろしくお願いいたします。」
  • 「承知しました」はフォーマル度が高い
  • 砕けた会話では「了解しました」「わかりました」に置き換える
  • 相手との関係性・場面のトーンを意識することで自然な印象に

まとめメモ

  • 「了解しました」→ フランク/社内/対等関係向け
  • 「承知しました」→ フォーマル/社外/目上向け
  • “言葉の温度感”を意識して切り替えるのが、自然なビジネス会話のコツ

さらに印象を上げる「もっと丁寧な言い換え」

「承知しました」「了解しました」はビジネスの基本表現ですが、
より上品で信頼感のある印象を与えたい場面では、もう一段階丁寧な言葉を選ぶのが効果的です。

特に、初めての取引先やフォーマルなやり取り、謝罪・依頼を含むメールでは、
「承知いたしました」「かしこまりました」などの表現を使うことで、
相手に“誠実さ”や“細やかな配慮”が伝わります。

ここでは、ビジネスで印象をワンランク上げるための敬語と、
その使いどころ・自然な言い回しの工夫を見ていきましょう。


「承知いたしました」「かしこまりました」の意味と使いどころ

「承知いたしました」と「かしこまりました」は、どちらも「承知しました」よりも丁寧な表現です。
ただし、意味や使い方には微妙な違いがあります。

表現敬語の種類主な意味使用シーン印象
承知いたしました謙譲語+丁寧語相手の言葉・指示を謹んで受け入れる上司・取引先・フォーマルな文面丁寧で柔らかい
かしこまりました謙譲語相手の依頼・指示を受けて従う接客・営業・依頼対応など上品で格式高い

例文

  • 「ご依頼の件、承知いたしました。早急に手配いたします。」
  • 「商品の件につきまして、かしこまりました。対応いたします。」

「承知いたしました」は、どんな相手にも使える万能な表現で、
特にメールや文書でのやり取りに適しています。
一方、「かしこまりました」はよりフォーマルで、
接客業やサービス業で顧客に使う場面に最適です。

また、「承知いたしました」は柔らかく、「かしこまりました」はやや格式を感じさせるため、
ビジネスメールでは「承知いたしました」、
店頭・電話・応対では「かしこまりました」と使い分けると自然です。

「承知しました」よりも一段階丁寧に伝えたいときは「承知いたしました」
「お客様」「取引先」など、より丁重に伝える場面では「かしこまりました」


やわらかく伝えるための前後の一言添え方

どんなに正しい敬語を使っても、
単調に「承知しました」「かしこまりました」だけを繰り返すと、
冷たい・機械的な印象になってしまうことがあります。

そこで大切なのが、前後に“気遣いの一言”を添えること。
相手への感謝や配慮をひとこと加えるだけで、伝わり方がぐっと柔らかくなります。

丁寧な一言を添える例

  • 「ご連絡ありがとうございます。承知いたしました。
  • 「お忙しいところ恐れ入ります。かしこまりました。
  • 「ご確認いただき感謝いたします。承知いたしました。
  • 「ご指示の件、承知いたしました。引き続きよろしくお願いいたします。」

このように、感謝・配慮・次への意欲を込めた一言を前後に入れると、
相手に「誠実に対応してくれる人」という印象を残せます。

また、柔らかく見せたい場合は「いたしました」よりも「しました」などに言い換えても構いません。
たとえば、社内向けのチャットでは「承知しました」
社外向けのメールでは「承知いたしました」と使い分けるのが自然です。

言葉に“温度”を持たせるコツ

  • 「感謝・お礼」を前に添える → 温かみのある印象に
  • 「今後の行動」を後に添える → 誠実で信頼感ある印象に
  • 「承知しました」+「よろしくお願いいたします」で締める → 柔らかく丁寧な結び

まとめ/チェックリストで「使い分け力」を確かめよう

「承知しました」と「了解しました」は、どちらも“理解して受け入れる”という意味を持ちながら、
相手との関係性・場面のフォーマルさによって印象が大きく変わる言葉です。

正しく使い分けられるようになると、単に「丁寧に見える」だけでなく、
相手から「信頼できる人」「言葉遣いが整っている人」と感じてもらえるようになります。

最後に、ビジネスで迷ったときにすぐ確認できるチェックリストをまとめました。
自分の使い方が自然かどうか、ぜひ振り返ってみてください。


「承知しました」vs「了解しました」使い分けチェックリスト

チェック項目適切な選択補足
相手が上司・取引先など目上の人承知しました/承知いたしました/かしこまりました謙譲語で敬意を示す
相手が同僚・チーム内・後輩了解しました/了解ですカジュアルで自然
メール・文書などフォーマルな場面承知いたしました文面では柔らかく丁寧に
社内チャットや口頭報告など日常的な場面了解しました簡潔・軽快な印象
接客・営業・依頼を受ける場面かしこまりました最上級の丁寧表現
「了解しました」を上司に使っていないか✖ 避ける敬意不足に見られることも
「承知しました」を友人や同僚に多用していないか✖ 避けるフォーマルすぎて距離を生む場合も

  • 「承知しました」=目上・フォーマル・信頼感
  • 「了解しました」=フラット・社内・軽いやり取り
  • 「かしこまりました」=最上級の丁寧さを示す言葉
  • “場面・相手・トーン”の3点を意識して切り替えることが大切

ことのは先生よりひとこと

ことのは先生
ことのは先生

言葉の丁寧さは、単なるマナーではなく、相手を思う気持ちの表れです。
「承知しました」と「了解しました」は、ほんの少しの違いで印象が変わりますが、
その差が“信頼”や“安心感”につながることも多いのです。

もし迷ったときは、「この言葉で相手が心地よく感じるか」を基準に選んでみてください。
正しさよりも、思いやりのある使い方こそが、伝え方の本質です。

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