「ありがとうございます」と「感謝いたします」の違い|正しい使い方と好印象に伝えるコツ

『ありがとうございます』と『感謝いたします』の使い分け方 敬語・ビジネス言葉

「ありがとうございます」と「感謝いたします」の違い|正しい使い方と好印象に伝えるコツ

ビジネスメールや日常のあいさつでよく使う「ありがとうございます」。
一方で、少しかしこまった場面では「感謝いたします」と言うこともありますよね。

どちらも“お礼”の気持ちを伝える言葉ですが、
実は使い方を間違えると「軽い印象」や「堅すぎてよそよそしい」と感じられることもあります。

本記事では、「ありがとうございます」と「感謝いたします」の意味の違い・使い分け方・シーン別の例文をわかりやすく解説します。
上司や取引先にも失礼なく、かつ自然に伝わる言葉遣いを身につけたい方は、ぜひ参考にしてみてください。


  1. なぜ「ありがとうございます」と「感謝いたします」を迷うのか?
    1. どちらも“お礼の言葉”だが、丁寧さや温度が異なる
    2. ビジネスやフォーマルな場で使い分けが求められる理由
    3. 相手との関係性で印象が変わる
  2. 「ありがとうございます」と「感謝いたします」の正しい違い
    1. 「ありがとうございます」=感情を直接伝える表現
    2. 「感謝いたします」=書面・ビジネス向けのフォーマル表現
    3. どちらを使うかは“場の温度感”で判断する
  3. 【例文付き】場面別の使い分け方
    1. ビジネスメールでの使い方
    2. 上司への報告・面談時
    3. カジュアルな会話・社内コミュニケーション
  4. 「感謝いたします」を使うときの注意点
    1. 過剰に使うと“かしこまりすぎ”に聞こえる
    2. 感情がこもらない印象を与えることも
    3. 「感謝申し上げます」との違いも押さえておく
  5. 印象を良くする「ありがとう」の言い換え表現
    1. 「いつもありがとうございます」など“継続感”を加える
    2. 「お心遣いに感謝いたします」で誠実さを伝える
    3. 感謝+一言(例:「本当に助かりました」)で温度を上げる
  6. まとめ|言葉の丁寧さは“敬意”と“温かさ”のバランスで決まる
    1. 「ありがとうございます」も「感謝いたします」も使い方次第
    2. 相手と場面に合った言葉が“信頼”をつくる
    3. 「伝え方Lab」ではビジネス日本語の磨き方を紹介中
    4. 最後に:ことのは先生よりひとこと

なぜ「ありがとうございます」と「感謝いたします」を迷うのか?

ビジネスシーンやメールの文面で、「ありがとうございます」と書くか「感謝いたします」と書くか、迷った経験はありませんか?
どちらも“お礼”を伝える正しい表現ですが、言葉の丁寧さや温度感が微妙に異なるため、使う場面によって印象が変わります。


どちらも“お礼の言葉”だが、丁寧さや温度が異なる

「ありがとうございます」は、感情をそのまま伝える口語的で温かみのある表現です。
一方、「感謝いたします」は少しかしこまった書面向け・フォーマル寄りの表現
たとえば、上司へのメールや社外文書などで使うと、より丁寧で誠実な印象を与えます。

つまり、どちらも正しい敬語ではありますが、
「ありがとうございます」は日常的で親しみやすい
「感謝いたします」は改まった印象を与えるという違いがあります。


ビジネスやフォーマルな場で使い分けが求められる理由

社会人になると、相手や文脈によって言葉の“距離感”を調整する力が求められます。
例えば、上司や取引先へのメールで「ありがとうございます」と書くと少し軽く感じる人もいます。
逆に、社内チャットで「感謝いたします」を多用すると、堅苦しく感じる人もいるでしょう。

このように、場面ごとの“温度設定”を間違えると印象が変わるため、
同じ「ありがとう」でも意識的な使い分けが大切なのです。


相手との関係性で印象が変わる

実は、正解はひとつではありません。
長年一緒に働く同僚には「ありがとうございます」で十分ですが、
初めてやり取りする取引先や上司には「感謝いたします」や「御礼申し上げます」の方が無難です。

つまり、言葉の選び方は“正しさ”よりも相手への配慮と距離感のバランスで決まるもの。
「敬語を使う=形式的になる」ではなく、
相手を思いやる姿勢が伝わる表現こそが、感じの良い言葉遣いの基本です。


「ありがとうございます」と「感謝いたします」の正しい違い

同じ「お礼の言葉」でも、「ありがとうございます」と「感謝いたします」では、伝わる印象が大きく異なります。
どちらも正しい敬語ですが、使う場面・相手・文体のフォーマル度によって選び分ける必要があります。

ここでは、それぞれの言葉の持つ“温度”の違いを整理してみましょう。


「ありがとうございます」=感情を直接伝える表現

「ありがとうございます」は、日常会話でもっとも自然に使える感謝の気持ちをそのまま伝える表現です。
口調が柔らかく、相手に温かい印象を与えるため、社内のやり取りや親しい関係では非常に使いやすい言葉です。

たとえば

  • 「ご対応ありがとうございます」
  • 「いつもありがとうございます」

このように、感情が伝わる言葉として好印象ですが、ビジネスメールの中では少しカジュアルに感じられる場合もあります。
特に、取引先や初対面の相手への正式な文書では、もう一段階丁寧な表現を選んだほうが安心です。


「感謝いたします」=書面・ビジネス向けのフォーマル表現

一方、「感謝いたします」は、よりフォーマルで敬意を込めた書き言葉です。
感情表現を抑えつつ、丁寧で落ち着いた印象を与えるため、ビジネスメール・挨拶文・公式文書などで使われます。

たとえば

  • 「このたびはご協力いただき、心より感謝いたします。」
  • 「お力添えを賜り、誠に感謝いたします。」

このように、「感謝いたします」は距離を保ちながら礼儀を示す言葉
取引先・上司・お客様など、目上の方への正式なメッセージに最適です。


どちらを使うかは“場の温度感”で判断する

「ありがとうございます」は温かさ・親しみを、
「感謝いたします」は丁寧さ・信頼感を伝える表現です。

そのため、使い分けのポイントは「どんな場面で、どんな距離感の相手に伝えるか」。
たとえば

  • 社内チャット・軽いやり取り → 「ありがとうございます」
  • ビジネスメール・社外文書 → 「感謝いたします」
  • 公式なスピーチや挨拶状 → 「深く感謝いたします」

このように“言葉の温度”を意識することで、相手により自然で印象の良いメッセージを届けられます。


【例文付き】場面別の使い分け方

「ありがとうございます」と「感謝いたします」は、どちらも感謝を表す丁寧な言葉。
しかし、場面や相手によって“しっくりくる言葉”が違うため、使い分けが大切です。

ここでは、ビジネス・上司・日常会話など、実際によくあるシーン別に具体例を見ていきましょう。


ビジネスメールでの使い方

  • NG例: 「ありがとうございます。」
  • OK例: 「ご対応いただき、感謝いたします。」

📘 解説
社外メールや取引先への返信では、「ありがとうございます」だと少し口語的で軽い印象になります。
「感謝いたします」や「御礼申し上げます」に変えることで、より信頼感と誠実さが伝わる表現になります。

使用例

このたびは迅速なご対応をいただき、誠に感謝いたします。
今後とも変わらぬお引き立てのほど、よろしくお願いいたします。


上司への報告・面談時

  • NG例: 「ありがとうございます!」
  • OK例: 「ご指導に感謝いたします。」

📘 解説
上司や目上の方に対して「ありがとうございます!」と語尾を強めると、ややフランクに聞こえることがあります。
「ご指導に感謝いたします」「お時間をいただき、感謝しております」などに言い換えると、落ち着いた印象になります。

使用例

本日は貴重なお時間をいただき、感謝いたします。
ご指摘の内容をもとに、改善に努めてまいります。


カジュアルな会話・社内コミュニケーション

  • NG例: 「感謝いたします。」
  • OK例: 「ありがとうございます!」

📘 解説
同僚や部下とのやり取りで「感謝いたします」と言うと、少し堅苦しく距離を感じさせます。
社内のフランクなやり取りでは「ありがとうございます」「助かりました!」など、温かみのある言葉の方が自然です。

使用例

資料の修正、ありがとうございます!
手伝ってくれて本当に助かりました。


💡 ポイントまとめ

シーン適した言葉印象
ビジネスメール感謝いたします誠実・丁寧
上司への報告感謝いたします落ち着き・敬意
カジュアルな会話ありがとうございます温かみ・親しみ

「感謝いたします」を使うときの注意点

「感謝いたします」は丁寧で誠実な印象を与える便利な表現ですが、
使い方を誤ると「かしこまりすぎて違和感がある」「気持ちが伝わらない」などの印象を与えてしまうこともあります。
ここでは、ビジネスで自然に使うための注意点を3つの視点から整理してみましょう。


過剰に使うと“かしこまりすぎ”に聞こえる

「感謝いたします」はフォーマル度が高いため、メール1通に何度も使うと重たい印象になります。
例えば、以下のような文面は丁寧すぎて不自然です。

🟥 NG例

ご対応いただき、感謝いたします。ご協力にも感謝いたします。改めて感謝申し上げます。

💡 改善例

ご対応いただき、誠にありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。

1つのメール・会話の中では、「ありがとうございます」と「感謝いたします」を混在させずに統一するのが自然です。
「感謝いたします」は、フォーマルな1文の締めとして使うのがもっとも効果的です。


感情がこもらない印象を与えることも

「感謝いたします」は形式的な言葉のため、感情を表に出したい場面では少し距離を感じさせることがあります。
たとえば、相手のサポートや心遣いに強く感動したときなどは、「ありがとうございます」の方が温かみを持って伝わります。

📘 使い分けのヒント

  • 感情を伝えたい → 「本当にありがとうございます」
  • 丁寧に締めたい → 「心より感謝いたします」

つまり、「感謝いたします」はビジネス・儀礼的な場面に向いた言葉であり、
「気持ちを伝える」より「礼を尽くす」ニュアンスが強い表現です。


「感謝申し上げます」との違いも押さえておく

「感謝申し上げます」は、「感謝いたします」よりもさらに格式の高い表現です。
主に、式典・お礼状・公式文書・挨拶スピーチなどで使われます。

表現丁寧さ用途
感謝いたします丁寧(一般ビジネス・書面)メール・日常のやり取り
感謝申し上げます最上級(儀礼・公式文)式典挨拶・謝辞・御礼状

🟩 例文

ご支援いただき、心より感謝申し上げます。
このたびのご厚情に深く感謝申し上げます。

日常のビジネスメールでは「感謝いたします」で十分ですが、
フォーマルな挨拶文・公式文書では「感謝申し上げます」を選ぶとより自然で上品な印象になります。


印象を良くする「ありがとう」の言い換え表現

「ありがとう」という言葉は、どんな場面でも使える万能な感謝表現です。
しかし、同じ言葉を繰り返すだけでは印象が単調になったり、
ビジネスでは「軽い」「簡素すぎる」と受け取られることもあります。

少し表現を変えるだけで、感謝の気持ちがより深く・丁寧に伝わるようになります。
ここでは、日常・ビジネスの両方で使える“ひと工夫ある言い換え”を紹介します。


「いつもありがとうございます」など“継続感”を加える

単なる「ありがとうございます」よりも、“普段からの感謝”を伝えられる表現です。
「いつも」「日頃より」「平素より」などの言葉を添えるだけで、
相手への敬意と信頼関係の継続を感じさせることができます。

📘 使用例

  • 「いつもご丁寧なご対応をありがとうございます。」
  • 「日頃よりお力添えをいただき、心より感謝申し上げます。」

特に社外メールやお礼状では、継続のニュアンスを加えると好印象です。


「お心遣いに感謝いたします」で誠実さを伝える

単に「ありがとうございます」と言うよりも、相手の“気持ち”に焦点を当てた言葉です。
相手の配慮・支え・思いやりに対して丁寧にお礼を述べるときに使えます。

📘 使用例

  • 「このたびはお心遣いをいただき、感謝いたします。」
  • 「温かいお言葉を頂戴し、心より感謝申し上げます。」

形式的になりがちな場面でも、人としての温かみや誠意が伝わる表現です。


感謝+一言(例:「本当に助かりました」)で温度を上げる

感謝の言葉のあとに“具体的な感想”を添えることで、気持ちがより伝わります。
「ありがとうございます」だけで終わらせず、自分の感情を少し加えるのがポイントです。

📘 使用例

  • 「ご対応ありがとうございます。本当に助かりました。」
  • 「お力添えをいただき、感謝いたします。とても心強かったです。」

このように、“感謝+具体的な一言”を加えることで、
形式的なやり取りから一歩踏み込んだ温かいコミュニケーションになります。


💡 まとめ:シーン別おすすめ表現

シーン言い換え表現印象
継続的な関係「いつもありがとうございます」信頼・敬意
心遣いへのお礼「お心遣いに感謝いたします」誠実・上品
協力への感謝「本当に助かりました」温かみ・感情的誠意

まとめ|言葉の丁寧さは“敬意”と“温かさ”のバランスで決まる

「ありがとうございます」と「感謝いたします」。
どちらが正しい、ということではなく、相手との関係性や場の温度感に合わせて選ぶことが大切です。


「ありがとうございます」も「感謝いたします」も使い方次第

「ありがとうございます」は気持ちを直接伝える自然な表現
「感謝いたします」は礼儀と敬意を重視するフォーマルな表現です。
たとえ言葉が正しくても、トーンやタイミングを誤ると冷たく聞こえることもあります。

言葉選びよりも、「この一言で相手がどう感じるか」を意識することで、
どんな言葉も“伝わる言葉”に変わっていきます。


相手と場面に合った言葉が“信頼”をつくる

ビジネスシーンでは、丁寧すぎるより「適度に柔らかい敬語」のほうが印象が良い場合もあります。
相手が目上でも、硬すぎる敬語より「ありがとうございます」と一言添えるだけで、
人間味と親しみを感じてもらえることがあります。

つまり、敬語は「正確さ」だけでなく、相手を思いやる気持ちがにじむバランス感覚が重要です。


「伝え方Lab」ではビジネス日本語の磨き方を紹介中

伝え方Labでは、今回のような「丁寧な言葉の選び方」だけでなく、
・上司や取引先とのやり取りに迷ったときの敬語の使い分け方
・印象を良くする一言の添え方
・感じの良いビジネスメール表現集
など、今日から使える“言葉の実践術”を発信しています。


最後に:ことのは先生よりひとこと

ことのは先生
ことのは先生

言葉は、相手を敬うための“形”であると同時に、思いやりを届ける“器”でもあります。
完璧な敬語よりも、「相手に伝わる」「心が温かくなる」言葉を選んでいきましょう。

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