ミスの指摘を角立てずに伝える|修正・確認依頼の言い方

ミスの指摘を角立てずに伝える|修正・確認依頼の言い方 言い方・伝え方

ミスの指摘を角立てずに伝える|修正・確認依頼の言い方

相手のミスに気づいたとき、一番悩むのは「伝えないと困る。
でも言い方を間違えると関係が悪くなる」という点ではないでしょうか。

実際、同じ内容でも「間違っています」と断定するだけで、相手は責められた気持ちになり、防衛的になります。
すると本来の目的である修正や確認が進まず、やり取りが長引きやすくなります。

この問題は、丁寧語を足すだけでは解決しません。
ポイントは、相手の人格ではなく「事実」と「目的」に焦点を当て、相手が動きやすい情報の順番で伝えることです。少しの設計で、角を立てずに必要な修正を引き出せるようになります。

この記事で分かること

  • ミスを指摘しても角が立ちにくい「確認→影響→依頼」の基本設計
  • 指摘すべきミス/流してよいミスの判断基準(誤字脱字・数字・固有名詞など)
  • 修正依頼・確認依頼を丁寧に伝える「5行設計」(配慮→事実→影響→依頼→逃げ道)
  • 取引先・上司・同僚、メール・チャット別の言い方の使い分け
  • NG例をその場で改善できるビフォーアフターの具体例

  1. 結論:ミスの指摘は責めなくていい。鍵は事実と目的の分離
    1. 「間違えています」は避ける。断定が相手の自尊心を刺激する
    2. 責めずに伝わる人は「あなた」ではなく「事実」に焦点を置く
    3. 迷ったら「確認→影響→依頼」の順に並べる
  2. なぜ角が立つ?相手の防衛反応が起きる3つの条件
    1. 断定・決めつけが入ると反論したくなる
    2. 公開の場(CC・会議)での指摘は恥をかかせやすい
    3. 人格評価に見える言い方が信頼を削る(例:確認不足ですね)
  3. 先に判断する:指摘すべきミス/流してよいミス
    1. 数字・固有名詞・条件の誤りは早めに確認する
    2. 重要でない誤字脱字は、あえて指摘しない選択肢もある
    3. 「直してほしい」より「意図を確認したい」に変換する
      1. 指摘すべき/流してよいの早見表
  4. 責めずに直せる「5行設計」:配慮→事実→影響→依頼→逃げ道
    1. 配慮:恐れ入りますが/念のための確認ですが
    2. 事実:どこがどう違うかを一点だけ示す(行・ページ・項目)
    3. 影響:なぜ直す必要があるかを短く(相手の納得が上がる)
    4. 依頼:修正・確認・差し替えを明確に(期限は目安でも)
    5. 逃げ道:難しければ代替案、または一言返信だけでも
      1. 5行設計の完成形(短い例)
  5. 場面別:修正依頼・確認依頼を角立てずに言う
    1. 取引先:確認ベース+敬語で安全運転(断定しない)
    2. 上司:結論と選択肢を添えて判断負担を減らす
    3. 同僚:スピード優先でも、責めのニュアンスを抜く
    4. チャット:短文ほど誤解が増えるので「理由か期限」を足す
    5. 目的→相手→媒体で選べる「角が立たない言い方」表
  6. NG例→改善例:同じ要件でも「言い方の順番」で印象が変わる
    1. NG:間違えています → 改善:念のため確認ですが
    2. NG:修正してください → 改善:修正をお願いできますでしょうか(理由添え)
    3. NG:とにかく急いで → 改善:目安期限+難しい場合の連絡
      1. NG→改善の早見表(どこを足せば直るか)
  7. 相手のミスを責めずに指摘する言い方に関するよくある質問(FAQ)
    1. Q1|「間違っているようです」は回りくどい?失礼にならない?
    2. Q2|CCに入れるべき?相手の顔を立てる運用は?
    3. Q3|誤字脱字も指摘するべき?どこまでが適切?
    4. Q4|添付ファイルの差し替え依頼で角が立たない件名は?
    5. Q5|相手が不機嫌そう。火消しせず修正してもらうには?
  8. まとめ|指摘は「責める」ではなく「前に進める」ための合図
    1. 事実と目的を分ければ、相手は受け取りやすい
    2. 5行設計(配慮→事実→影響→依頼→逃げ道)を型にする
    3. 重要度の判断ができるほど、摩擦は減る
    4. ことのは先生よりひとこと

結論:ミスの指摘は責めなくていい。鍵は事実と目的の分離

ミスを見つけた瞬間、頭に浮かぶのは「早く直してもらわないと困る」です。
ただ、その焦りのまま言葉を選ぶと、相手には「責められた」「否定された」と伝わりやすくなります。

ここで押さえたい結論はシンプルです。
ミスの指摘は、相手を正すためではなく、仕事を前に進めるための確認作業です。

そのために有効なのが、事実(何がどう違うか)と目的(何を解決したいか)を分けることです。
この2つが分かれているだけで、同じ内容でも受け取りやすくなります。


「間違えています」は避ける。断定が相手の自尊心を刺激する

「間違えています」「違います」は、情報としては早いのですが、相手の感情には強く刺さります。
相手が反論したくなるのは、性格の問題というより、自尊心を守る反応が働くからです。

断定されると、人は次のように感じやすくなります。

  • 自分の能力を否定された気がする
  • 立場が下になったように感じる
  • まず言い返したくなる(修正が後回しになる)

だから、直接表現を避けて、確認・照会の形に寄せる方が結果的に早く進みます。

たとえば、同じ内容でも次の差があります。

NG:この数字、間違っています。

OK:念のため確認なのですが、この数字は「○○」で合っていますでしょうか。

確認にすると、相手は「指摘された」ではなく「一緒に整える作業」として受け取りやすくなります。


責めずに伝わる人は「あなた」ではなく「事実」に焦点を置く

角が立つ指摘は、言葉の中に「あなた」が混ざりやすいです。
逆に、うまく伝わる人は、主語を「あなた」から外して、事実に寄せています。

NG:確認不足ですね。

OK:該当箇所で、AとBの表記が混在しているようです。

この違いは大きいです。
前者は人格評価に見えやすく、後者は作業の話に留まります。

事実に寄せるときのコツは、場所と状態を具体化することです。

  • どこか:資料のP3/メール2段落目/見積の合計欄
  • どうなっているか:数字が一致しない/表記が揺れている/添付が旧版に見える

「誰が悪いか」ではなく、「何が起きているか」に焦点が移るだけで、空気が穏やかになります。


迷ったら「確認→影響→依頼」の順に並べる

言い方に迷ったときは、順番を固定すると失敗が減ります。
おすすめはこの3つです。

  1. 確認:事実を照会する
  2. 影響:なぜ直す必要があるかを短く添える
  3. 依頼:相手にしてほしい行動を明確にする(期限は目安でも)

例として、型に沿うとこのようになります。

  • 確認:念のため確認ですが、見積の合計が「A」と「B」で異なるようです。
  • 影響:このままだと金額確定ができないため、
  • 依頼:お手数ですが、正しい金額をご教示いただけますでしょうか。(本日中が目安です)

この順番は、相手の負担を減らします。
先に確認が来るので防衛反応が出にくく、影響があるので納得しやすく、最後に依頼があるので動きやすいからです。

「丁寧に言おう」と考えるほど文章は長くなりがちですが、必要なのは丁寧語よりも相手が迷わない設計です。


なぜ角が立つ?相手の防衛反応が起きる3つの条件

ミスの指摘が難しいのは、内容そのものよりも「受け取り方」に揺れが出るからです。
相手が素直に直してくれないとき、こちらは「ただ事実を伝えただけ」と思いがちですが、相手の中では別のスイッチが入っています。

それが、防衛反応です。
防衛反応が起きると、相手は「修正」より先に「自分を守る」モードになります。結果として、やり取りが長引き、関係性も微妙になりやすいです。

角が立つ指摘には、だいたい共通する条件が3つあります。


断定・決めつけが入ると反論したくなる

断定は早いのですが、相手の選択肢を奪います。
選択肢がない言い方は、「否定された」「押し付けられた」と感じやすく、反論のスイッチを入れます。

たとえば、次の違いです。

  • 断定:この記載は誤りです。
  • 確認:念のため確認ですが、この記載は○○という理解で合っていますでしょうか。

後者は遠回りに見えますが、実務では結果的に早く進みやすいです。
相手が「間違えた」と認める前に、「確認なら答えられる」状態を作れるからです。

断定が強くなる典型は、次の3つです。

  • 理由なし(なぜ問題かが見えない)
  • 根拠なし(どこがどう違うかが不明)
  • 逃げ道なし(誤解の可能性を残さない)

指摘を「事実の照会」に落とすだけで、反論の確率は下がります。


公開の場(CC・会議)での指摘は恥をかかせやすい

内容が正しくても、場が悪いと角が立ちます。
人は、他者の前で間違いを指摘されると「面子」を守ろうとします。

CC入りのメールや会議中の指摘で、急に空気が硬くなるのはこのためです。
相手が修正より先に「自分の立場を守る」方向へ動きます。

公開の場での指摘が起こしやすい問題は次の通りです。

  • その場で謝罪や説明を求められたように感じる
  • 周囲に能力評価される不安が出る
  • 正しさより体裁の話になりやすい

対策はシンプルで、まずは場を分けることです。

  • 原則は個別(1対1)で確認する
  • どうしてもCCが必要なら、責めのニュアンスを消して「確認」として扱う
  • 会議なら、結論を急がず「一度持ち帰り確認します」に寄せる

指摘の上手さは、言葉選びだけでなく「どこで言うか」の設計で決まります。


人格評価に見える言い方が信頼を削る(例:確認不足ですね)

角が立つ指摘の多くは、相手にこう聞こえています。

  • あなたが悪い
  • あなたの能力の問題
  • ちゃんとしていない

こちらはそんな意図がなくても、「確認不足ですね」「普通はこうしますよね」「ちゃんと見ましたか」は、人格評価に近づきやすいです。
一度こう聞こえると、相手は修正しても「納得」ではなく「屈服」になり、関係性にしこりが残ります。

同じ指摘でも、主語を変えるだけで印象は大きく変わります。

NG:確認不足ですね。

OK:該当箇所で、AとBの数値が一致していないようです。

NG:ちゃんと見てください。

OK:念のため、P2の合計欄をご確認いただけますでしょうか。

ポイントは、相手の態度を評価せず、事実だけを扱うことです。
「誰がどうした」ではなく、「どこで何が起きているか」に寄せるほど、信頼は保たれます。


この3条件(断定・公開・人格評価)を避けるだけで、指摘の難易度は一段下がります。
次の章では、「指摘すべきミス」と「流してよいミス」の線引きを整理し、無用な摩擦をさらに減らしていきます。


先に判断する:指摘すべきミス/流してよいミス

ミスの指摘で一番もったいないのは、「言わなくても困らないこと」に労力と摩擦を使うことです。
逆に、放置すると後で痛いのは、数字や条件などの“成果物の正しさ”に直結する部分でしょう。

この章では、指摘の優先順位を先に整理します。
ここが決まると、言い方もブレにくくなります。


数字・固有名詞・条件の誤りは早めに確認する

指摘すべきミスの代表は、後から修正コストが跳ねるものです。
とくに次は、早めに確認した方が安全です。

  • 数字(合計、単価、税、数量):金額のズレは信用問題になりやすい
  • 日付・期限・納期:スケジュール事故に直結する
  • 固有名詞(社名、人名、商品名):相手の尊厳に触れやすく、後で謝りにくい
  • 条件(仕様、範囲、契約条項、前提):認識ズレが後工程で爆発する
  • 添付ファイル(版、差し替え漏れ):最新版がどれか分からなくなる

この手のミスは、本人に悪意がなくても起こります。
だからこそ「責め」ではなく、事故防止としての確認に寄せるのが合理的です。


重要でない誤字脱字は、あえて指摘しない選択肢もある

誤字脱字を見つけると、つい全部直したくなります。
ただ、影響が小さいものまで拾うと、相手にはこう伝わりがちです。

  • 細かい揚げ足取りをされた
  • 本筋よりミス探しに見える
  • 返信コストが増える(心理的に面倒になる)

たとえば、社内の一時的なメモや、関係者だけが読むチャットなら、軽微な誤字脱字はスルーでも実害がない場合が多いでしょう。
「正確さ」より「前に進む」を優先した方が良い局面もあります。

ただし例外があります。
誤字でも意味が変わる(否定が抜ける、数量が変わる、固有名詞が変わる)場合は、軽微に見えても早めに確認した方が安全です。


「直してほしい」より「意図を確認したい」に変換する

相手のミスを“修正依頼”として投げると、相手は「責められた」と感じやすくなります。
一方で、同じ内容でも「意図の確認」に置き換えると、防衛反応が起きにくいです。

違いは、相手に残る印象です。

  • 修正依頼:あなたが間違えた → 直して
  • 意図確認:こちらの理解が合っているか確認したい

意図確認にすると、相手が取りやすい行動が増えます。
「誤りでした、直します」だけでなく、「この前提で合っています」「最新版は別です」といった形で、自然に整理が進みます。

実務で効くコツは3つです。

  • 場所を特定する(P3の合計欄/2段落目の数字など)
  • こちらの理解を添える(私は○○と理解しています)
  • 相手に選択肢を残す(合っていればそのままで大丈夫です)

この時点で、次章の「配慮→事実→影響→依頼→逃げ道」にもつながっていきます。


指摘すべき/流してよいの早見表

ミスの種類影響度推奨スタンス(指摘/確認/スルー)理由一言例
金額・合計・数量のズレ確認後工程と信用に直結念のため、合計が○○で合っているかご確認いただけますか。
日付・期限・納期の誤り確認スケジュール事故になりやすい期限が○日になっていますが、○日認識で合っていますでしょうか。
社名・人名・商品名の誤り確認相手の尊厳・信用に触れやすい表記が「A社」となっていますが、「B社」でよろしいでしょうか。
条件・仕様・範囲の抜け/ズレ確認認識ズレが後で拡大対象範囲に○○も含む想定で合っていますか。
添付の版違い・差し替え漏れ中〜高確認最新が不明になり混乱念のため確認ですが、添付は最新版(v2)で合っていますか。
重要語の誤り(否定の抜け等)中〜高確認意味が逆転することがある文意が変わりそうなので、○○の意図で合っていますでしょうか。
軽微な誤字脱字(意味は通る)スルー摩擦とコストが先に立つ(指摘しない/必要なら最後にまとめて)
体裁(句読点・改行・表記ゆれ)低〜中指摘(必要時)対外文書なら品質に影響体裁を整えるため、表記を統一してもよろしいでしょうか。

次は、この判断を前提に、角を立てずに通る「5行設計」を具体化していきます。


責めずに直せる「5行設計」:配慮→事実→影響→依頼→逃げ道

ミスの指摘がうまくいくかどうかは、語彙よりも「組み立て」で決まります。
丁寧語を重ねても、順番が悪いと角が立ちます。逆に、短文でも順番が整っていれば、相手は動きやすいです。

そこで使えるのが、どの媒体でも応用できる「5行設計」です。

  1. 配慮(相手の心理的抵抗を下げる)
  2. 事実(何が起きているかを一点だけ)
  3. 影響(なぜ直す必要があるか)
  4. 依頼(相手にしてほしい行動)
  5. 逃げ道(難しい場合の選択肢)

この順番で書くと、相手は「責められた」ではなく「整える作業」として受け取りやすくなります。


配慮:恐れ入りますが/念のための確認ですが

最初の一行は、内容の正しさよりも、相手の受け取り方を決めます。
ここで強く出ると、その後がどれだけ丁寧でも回復が難しくなります。

配慮の役割は、次の2つです。

  • 「責めていない」ことを先に伝える
  • 「誤解かもしれない」余地を残す(断定を避ける)

使いやすいのは、クッション言葉+断定回避の組み合わせです。

  • 恐れ入りますが、念のため確認させてください。
  • 念のための確認ですが、こちらの理解が合っているか確認させてください。
  • お手数をおかけしますが、確認のため一点だけ伺ってもよろしいでしょうか。

重要なのは、長くしないことです。
配慮は一行で十分で、ここが長いほど相手は「何か責められるのでは」と身構えます。


事実:どこがどう違うかを一点だけ示す(行・ページ・項目)

次に書くのは、主観ではなく事実です。
ここでやりがちなのが、ミスを並べてしまうことです。大量に指摘すると、相手は一気に防衛モードに入ります。

事実は「一点だけ」に絞ります。
そして、相手がすぐ確認できるよう、場所を特定します。

  • 見積書のP2、合計欄の金額が「A」と「B」で異なるようです。
  • 添付のファイル名が「v1」になっているのですが、最新版は「v2」で合っていますでしょうか。
  • 3行目の会社名が「A社」表記になっていますが、「B社」でよろしいでしょうか。

コツは「正しい答え」を決めつけないことです。
「違う」ではなく「異なるようです」「合っていますでしょうか」に寄せると、相手は反論ではなく確認に動けます。


影響:なぜ直す必要があるかを短く(相手の納得が上がる)

事実だけだと、相手は「細かい指摘?」と感じることがあります。
そこで、影響を1行添えると納得度が上がります。

ここでの影響は、責めるためではなく目的の共有です。
長文にせず、一行で足します。

  • このままだと金額確定ができないため、念のため確認させてください。
  • 誤解を避けるため、表記を統一しておければと思います。
  • 社外提出用の資料のため、名称だけ正確にしておきたいです。

「こちらの都合」でも構いません。
理由があるだけで、相手は「修正する意味」を理解しやすくなります。


依頼:修正・確認・差し替えを明確に(期限は目安でも)

次は、相手にしてほしい行動をはっきり書きます。
曖昧にすると、相手は「結局どうすれば?」と迷います。

依頼は、次のどれかに寄せると整理されます。

  • 確認してほしい(合っているか教えてほしい)
  • 修正してほしい(直して再送してほしい)
  • 差し替えてほしい(最新版を送ってほしい)

例です。

  • お手数ですが、正しい金額をご教示いただけますでしょうか。
  • 可能でしたら、該当箇所のみ修正のうえ再送いただけますと助かります。
  • 最新版のファイルに差し替えていただくことは可能でしょうか。

期限は「目安」で十分です。
期限がないと優先順位が下がり、返信待ちが長引きます。

  • 可能でしたら、本日中を目安にご確認いただけますと助かります。
  • 明日午前中までにご確認いただけるとありがたいです。

逃げ道:難しければ代替案、または一言返信だけでも

最後に置くと強いのが「逃げ道」です。
逃げ道があると、相手は「断ったら悪い」という圧から解放され、結果的に返信率が上がります。

逃げ道の作り方は2種類あります。

1)代替案を出す

  • もし本日中が難しければ、目安だけでもご共有いただけますか。
  • 修正が難しければ、こちらで直して進めてもよろしいでしょうか。

2)最小返信を許可する

  • 難しければ「難しい」と一言だけでも大丈夫です。
  • ご確認が間に合わない場合は、その旨だけご連絡いただけますと助かります。

この一文があるだけで、相手は「無視」ではなく「短く返す」選択ができます。
関係性を守りながら前に進めたいときほど、効きます。


5行設計の完成形(短い例)

恐れ入りますが、念のため確認させてください。
見積書P2の合計欄が、項目別合計と一致していないようです。
このままだと金額確定ができないため、
お手数ですが、正しい金額をご教示いただけますでしょうか(本日中が目安です)。
もし難しければ、目安だけでも一言いただけると助かります。

次は、この5行設計をベースに、取引先・上司・同僚、メール・チャットなど場面別に「どの表現が安全か」を整理していきます。


場面別:修正依頼・確認依頼を角立てずに言う

「責めない言い方」は共通していても、相手と媒体が変わると“効くポイント”が変わります。
取引先は礼儀と誤解防止が最優先。上司は判断の負担を減らすのが効く。
同僚はスピード優先でも、刺さる言い方だけ避ければ十分でしょう。

そしてチャットは、短文ゆえに誤解が増えます。
同じ一文でも、受け手の温度感で「詰められている」に見えやすいからです。

ここでは、言い換えを並べるのではなく、目的→相手→媒体で選べるように整理します。
基本思想は一つだけです。指摘ではなく、丁寧な確認に寄せるほど摩擦が減るということです。


取引先:確認ベース+敬語で安全運転(断定しない)

社外は、正しさよりもまず信頼が優先されます。
「違います」「誤りです」を避け、照会(合っていますか)に落とすのが安全です。

  • クッション言葉(恐れ入りますが/念のため)を先に置く
  • 場所を特定し、事実を一点だけ
  • 依頼は「ご教示」「ご確認」で閉じる
  • 期限は“目安”にする(強制にしない)

上司:結論と選択肢を添えて判断負担を減らす

上司への連絡で重要なのは、丁寧さ以上に「判断しやすさ」です。
ミスの指摘をそのまま投げると、上司は「何を決めればいい?」になりやすいです。

そこで、結論(現状)+選択肢(A/B)+確認の形が効きます。

  • 現状:ここが一致していないようです
  • 選択肢:A案で進めてよいでしょうか/B案にしますか
  • 期限:今日中に判断できると助かります

同僚:スピード優先でも、責めのニュアンスを抜く

同僚相手はテンポが大事なので、長い敬語は不要な場面も多いです。
ただし短文ほど刺さるので、主語を「あなた」にしないのがポイントです。

NG:確認不足じゃない?

OK:ここ、数字が合ってないかも。念のため見てもらえる?

「かも」「念のため」を足すだけで、防衛反応が下がります。


チャット:短文ほど誤解が増えるので「理由か期限」を足す

チャットは、丁寧語よりも補助情報が重要です。
短文だけだと、受け手は背景を補完できず、「詰められている」と感じやすいです。

そこで、短くても次のどちらかを足します。

  • 理由(なぜ今確認したいか)
  • 期限(いつまでに必要か)

  • 急ぎで確定したいので、○時までに一言もらえる?
  • このままだと提出できないので、合計だけ確認してもらえる?

目的→相手→媒体で選べる「角が立たない言い方」表

目的(確認/修正/差し替え/再送)向く相手(取引先/上司/同僚)媒体(メール/チャット/口頭)推奨フレーズ短い例文角が立ちにくい理由
確認取引先メール恐れ入りますが、念のため確認させてください恐れ入りますが、P2合計欄の金額は○○円で合っていますでしょうか。断定せず照会に落としている
確認取引先メールこちらの理解で相違ないか、ご確認ください念のため、当方の理解が相違ないかご確認いただけますと幸いです。“誤解防止”の目的が伝わる
修正取引先メールお手数ですが、該当箇所のみ修正のうえお手数ですが、社名表記のみ修正いただき再送をお願いできますでしょうか。修正範囲が限定され負担が小さい
差し替え取引先メール最新版に差し替えていただけますでしょうか恐れ入りますが、添付を最新版(v2)へ差し替えていただけますでしょうか。“最新版確認”に寄り、責めが出ない
再送取引先メール念のため再送いたします/行き違いでしたら失礼いたしました先ほどの添付について、念のため再送いたします。行き違いでしたら失礼いたしました。相手の落ち度を前提にしない
確認上司メール結論:〜の認識で進めてよいでしょうか合計が一致していないため、A案(○○円)で進めてよいでしょうか。判断負担を減らす(選択肢提示)
修正上司口頭/チャット念のため共有:ここだけ直すと整います念のため、社名表記だけ直すと提出用として整います。指摘ではなく“整える提案”になる
差し替え上司メールこちらで差し替えて進めてもよいでしょうかもしよろしければ、こちらで最新版に差し替えて進めてもよろしいでしょうか。相手の手間を減らしやすい
確認同僚チャット念のため確認なんだけど念のため確認なんだけど、合計って○○円で合ってる?“念のため”で圧を下げる
修正同僚チャットここだけ直してもらえる?ここ、社名がAになってるのでBに直してもらえる?場所と修正点が具体で早い
差し替え同僚チャット最新版ってどれだっけ?最新版ってv2で合ってる?合ってたらそれで差し替えるね。共同作業の形になり責めにくい
再送同僚チャットもう一度送るね(行き違いかも)行き違いかもなので、もう一度送るね。相手のミス前提を避ける
確認同僚口頭ここだけ確認してもいい?ここだけ確認していい?数字が合ってるかだけ見たい。目的が明確で短い
確認取引先/上司/同僚チャット○時までに一言もらえると助かるすみません、○時までに一言もらえると助かります(提出があるので)。短文でも理由/期限があり誤解が減る
修正取引先/上司/同僚チャット難しければその旨だけでももし修正が難しければ、その旨だけでもご連絡いただけると助かります。逃げ道で圧を下げ返信率が上がる

この表は「例文集」で終わらせず、どのフレーズにも共通する原則(確認ベース、場所特定、理由か期限、逃げ道)を紐づけています。
次は、同じ要件でも角が立つNG文を、5行設計でその場で直せるように“ビフォーアフター”で整理していきます。


NG例→改善例:同じ要件でも「言い方の順番」で印象が変わる

ミスの指摘で角が立つとき、多くは「内容」ではなく「順番」が原因です。
いきなり結論(間違い)から入ると、相手は自尊心を守るために反論モードになります。

逆に、先に配慮と事実を置き、影響と依頼で締めるだけで、同じ要件でも驚くほど通りやすくなります。
ここでは、SNSでも共有されやすいように、ビフォーアフターでその場で直せる形に落とします。


NG:間違えています → 改善:念のため確認ですが

「間違えています」は、短くて分かりやすい反面、相手には断定・否定として刺さりやすいです。
さらに「あなたが悪い」に聞こえやすく、会話が修正ではなく弁明に流れます。

改善のコツは、断定を“確認”に落とし、場所を特定することです。

NG:間違えています。

改善:念のため確認ですが、P3の合計欄は○○円という理解で合っていますでしょうか。

この一文だけで、相手が取りやすい行動が「反論」から「確認」へ変わります。


NG:修正してください → 改善:修正をお願いできますでしょうか(理由添え)

「修正してください」は、要件としては正しいのですが、相手の心理では「命令」に寄ります。
特に社外・目上相手では、言い方次第で関係性コストが上がります。

改善のコツは、依頼形にして、理由を1行だけ添えることです。
理由があると、相手は「直す意味」を理解し、受け身になりにくいです。

NG:ここ修正してください。

改善:恐れ入りますが、誤解を避けるため、該当箇所のみ修正いただけますでしょうか。

「誤解防止」「社外提出用」「金額確定のため」など、理由は短くて十分です。


NG:とにかく急いで → 改善:目安期限+難しい場合の連絡

「急いで」「至急」は、相手の都合を無視しているように聞こえることがあります。
特に期限がない急かしは、相手にとっては最もやりにくい依頼です。

改善のコツは、目安期限を置き、逃げ道(難しい場合)を用意することです。

NG:とにかく急いでお願いします。

改善:本日15時までを目安にご確認いただけますでしょうか。難しければ、目安だけでも一言いただけると助かります。

相手は「できる/できない」を返しやすくなり、無視が起きにくくなります。


NG→改善の早見表(どこを足せば直るか)

NG文刺さる理由(断定/人格化/曖昧)改善文(5行設計のどこを足したか)
間違えています。断定で否定に聞こえる(反論を招く)念のため確認ですが、P2の○○は△△という理解で合っていますでしょうか。(配慮+事実)
それ違います。直してください。断定+命令で圧が出る恐れ入りますが、誤解を避けるため、該当箇所のみ修正いただけますでしょうか。(配慮+影響+依頼)
確認不足ですね。人格評価に見える(信頼を削る)P3の数値が一致していないようです。念のためご確認いただけますか。(事実+配慮)
早く返してください。急かしだけで負担が増える(期限不明)本日○時までを目安にご返信いただけますと助かります。(期限+依頼)
とにかく急いでお願いします。曖昧で優先度だけ押し付ける〇時までに確定したく、確認をお願いできますか。難しければ目安だけでも一言ください。(影響+期限+逃げ道)
もう一回送ってください。相手の落ち度前提に聞こえやすい行き違いでしたら失礼いたしました。念のため、最新版のご共有をお願いできますでしょうか。(配慮+依頼)
何度言えば分かるんですか。人格攻撃に近い(関係破壊)認識を揃えたく、前提だけ確認させてください。現状はAでよろしいでしょうか。(配慮+事実+確認)

この章の要点は、「言い換え」よりも 5行設計の不足箇所を補うことです。
次は、相手が動けない・自分もイライラしているなど、摩擦が起きやすい場面でも崩れない“返し方”をFAQで整理していきます。


相手のミスを責めずに指摘する言い方に関するよくある質問(FAQ)

Q1|「間違っているようです」は回りくどい?失礼にならない?

回りくどいというより、断定を避けて誤解の余地を残すための実務的な表現です。
失礼ではありません。むしろ社外や目上に対しては、安全性が高い言い方でしょう。

ポイントは、「曖昧にする」ことではなく、断定を避けつつ、事実は具体にすることです。
言い方が柔らかくても、場所と差分が明確なら相手は動けます。

望ましい形:念のため確認ですが、P3の合計欄が項目合計と一致していないようです。

避けたい形:間違っているようです(どこが?何が?がない)

「ようです」を使う場合は、セットで“根拠(場所・項目)”を添えるのがコツです。


Q2|CCに入れるべき?相手の顔を立てる運用は?

原則は、解決に必要な人だけに共有です。
CCは便利ですが、入れ方を間違えると「公開処刑」に見えやすく、防衛反応を強めます。

判断の目安は次の通りです。

  • CCを入れる方が良い:納期・金額・契約など、影響が大きく、関係者が判断や承認を必要とする
  • CCは避けたい:軽微な修正、本人が直せば済む内容、相手のミスが目立つ内容

相手の顔を立てる運用としては、次が安全です。

  • まずは本人宛てに個別で確認・修正依頼
  • 関係者共有が必要なら、CCではなく「状況共有」として事実だけを淡々と連絡
  • 表現は「ミス」ではなく「確認」「表記統一」「差分があるようです」に寄せる

例(関係者共有が必要な場合)

関係者各位:念のため共有です。見積書P2の合計欄について確認が必要な点があり、現在確認中です。確定次第ご連絡します。

個人の落ち度に焦点を当てず、プロセス(確認中)に寄せると摩擦が減ります。


Q3|誤字脱字も指摘するべき?どこまでが適切?

基準はシンプルで、影響があるかどうかです。
誤字脱字すべてを拾うと、相手は「粗探しされた」と感じやすくなります。

指摘を推奨する誤字脱字(影響が大きいもの)

  • 数字、日付、金額、単位(桁違いなど)
  • 固有名詞(社名、人名、商品名)
  • 条件(納期、仕様、免責、支払条件)
  • 社外提出物で信用に直結する箇所

スルーしてよい可能性が高いもの

  • 意味が変わらない軽微な誤字
  • 社内メモで、目的が共有できている範囲の表記揺れ

伝え方は「指摘」ではなく「品質の確認」に寄せると角が立ちにくいです。

参考までに、社名表記だけ念のため統一しておくと安心です。


Q4|添付ファイルの差し替え依頼で角が立たない件名は?

件名は、感情ではなく要件と行動が伝わる形が最も安全です。
「至急」「重要」を多用するより、何を・どうしてほしいかを入れた方が開封率も上がります。

角が立ちにくい件名の型(おすすめ)

  • 【ご確認】添付ファイル差し替えのお願い(資料名)
  • 【お願い】最新版(v2)ご共有の件(資料名)
  • 【確認】添付資料の版について(資料名)
  • 【再送】(資料名)最新版をお送りします(※自分が送る側)

本文では「行き違いでしたら失礼いたしました」を添えると、相手の落ち度前提に見えにくくなります。

行き違いでしたら失礼いたしました。最新版(v2)をご共有いただけますでしょうか。


Q5|相手が不機嫌そう。火消しせず修正してもらうには?

不機嫌な相手に対しては、機嫌取りよりも、摩擦が起きにくい設計に戻す方が効果的です。
火消し(過剰な謝罪や言い訳)をすると、論点がズレて余計にこじれることがあります。

コツは3つです。

  1. 感情ではなく事実に戻す(一点だけ・場所特定)
  2. 相手の負担を下げる(修正範囲を限定、必要ならこちらで対応案を出す)
  3. 逃げ道を用意する(難しければ一言、代替案)

例(相手が刺さりやすい状況向け)

念のため一点だけ確認させてください。P2の合計欄が一致していないようです。こちらで修正して進めてもよろしいでしょうか。
もしご対応が難しければ、目安だけでも一言いただけると助かります。

相手の機嫌を直すことを目的にせず、相手が動ける形に整える
これが、関係を崩さずに修正してもらう最短ルートです。


まとめ|指摘は「責める」ではなく「前に進める」ための合図

事実と目的を分ければ、相手は受け取りやすい

ミスの指摘で揉めやすいのは、「正しさ」よりも「伝わり方」です。
相手を主語にせず、事実を一点に絞り、目的(なぜ直す必要があるか)を添えるだけで、受け取りやすさが上がります。


5行設計(配慮→事実→影響→依頼→逃げ道)を型にする

迷ったら、言い換えを探す前に順番を整えるのが確実です。
配慮を先に置き、事実を特定し、影響を短く示し、依頼を明確にし、難しい場合の連絡ルートを添える
この「5行設計」は、メールでもチャットでも口頭でも使える汎用の型になります。


重要度の判断ができるほど、摩擦は減る

すべてを正そうとすると、相手は防衛に回り、関係コストが増えます。
数字・条件・固有名詞など影響が大きいものは早めに確認し、軽微な誤字脱字は流す判断も持つ
指摘の精度が上がるほど、「必要なときだけ伝える人」という信頼が積み上がります。


ことのは先生よりひとこと

ことのは先生
ことのは先生

言いづらいことを伝えるのは、あなたが気を配っている証拠です。
責める言葉を選ばなくても、順番と一言の配慮を足せば、きちんと前に進められます。

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