忙しいですを柔らかく伝える言い換え20選|ビジネスメールや会話で使える敬語表現
打ち合わせの依頼や飲みのお誘いが来たとき、つい「今ちょっと忙しくて…」と打ちかけて、送信ボタンの前で手が止まることはないでしょうか。
本当はスケジュールに余裕がないことを正直に伝えたい。でも、冷たく聞こえたり「断りグセがある人」と思われるのは避けたい。
そんなモヤモヤを抱えたときに役立つのが、「忙しいです」を直接言わずに状況と気遣いを伝えるフレーズです。
この記事では、忙しさを理由にしながらも相手との関係を損ねない言い方を、ビジネスメール・チャット・会話でそのまま使える形で整理していきます。
この記事で分かること
- 忙しいですをそのまま使うと印象が悪くなりやすい場面と、その理由
- 「業務が立て込んでおりまして」「当面は時間の確保が難しく」など、ビジネスで使いやすい言い換えフレーズ20選
- 会議の日程調整・依頼のお断り・お誘いを断るときのNG表現とOK表現の具体例
- メールやチャットで、忙しさを言い訳にせずに状況と期限を伝える書き方
- 忙しいを完全に封印せず、場面に応じて言い換えを使い分けるための考え方とコツ
「忙しいので無理です」と言うしかなかった場面でも、言葉を少し整えるだけで、相手への伝わり方は大きく変わります。ここから、一緒にフレーズの引き出しを増やしていきましょう。
なぜ「忙しいです」をそのまま言うと印象が悪くなりやすいのか
「忙しくて難しいです」「今ちょっとバタバタしていて…」。
内容としては事実でも、その一言だけで「断られた」「自分は優先度が低いんだ」と受け取られてしまうことがあります。
ここでは、忙しいという言葉そのものではなく、なぜビジネスで使い方を誤ると損をしやすいのかを整理しておきます。

忙しいは悪い言葉ではないが、受け取り方が分かれる
まず押さえておきたいのは、「忙しい」という言葉自体が悪いわけではない、という点です。
- 仕事が集中している
- 多くの案件や相談を任されている
- 周囲から頼られている立場にある
といった意味では、「忙しい=必要とされている状態」とポジティブに捉えることもできます。
一方で、その忙しさをどう伝えるかによって、受け取る側の印象は大きく変わります。
例えば、相手から見たときに、
- 「誘いを断られた」
- 「自分との予定は後回しにされた」
- 「こちらの事情は考えてもらえていない」
と感じさせてしまうと、忙しさそのものではなく、関係性への不満につながりやすくなります。
同じ状況でも、
- 「今週は通常業務が立て込んでおり、◯日以降でしたら…」
- 「直近は別案件の締切が重なっておりまして、来週の後半であれば調整可能です」
のように、状況や代替案とセットで伝えれば、「忙しい」は単なる情報として受け取られます。
つまり、「忙しい」という事実そのものよりも、伝え方の設計次第で印象が良くも悪くも振れるということがポイントです。
ビジネスで「忙しい」が自己中心的に聞こえる理由
ビジネスシーンで「忙しいです」「今バタバタしていて」とだけ伝えると、相手の心の中では次のような受け止め方になりがちです。
- 「自分の依頼より、自分の予定を優先しているのだろう」
- 「こちらの事情や締切は、あまり考慮されていないのかもしれない」
- 「何がどのくらい大変なのか分からないので、頼みにくい」
つまり、忙しさの中身が見えないまま、断り文句だけが届く状態になりやすいのです。
特に、依頼された側が、
- 「今忙しいので難しいです」
- 「最近バタバタしていて時間が取れません」
とだけ伝えると、
- 期限はいつまで無理なのか
- 他の選択肢はあるのか
- こちらはどう動けばよいのか
といった情報が抜け落ちており、相手にとっては不安とモヤモヤだけが残る結果になってしまいます。
また、立場の違いによっても印象は変わります。
- クライアントや上司に対して「忙しいのでできません」と伝える
- 他部署や社外パートナーに対して「今は忙しくて…」とだけ返す
こうした場面では、単なる状況説明のつもりでも、相手から見ると「自分の都合を優先している返事」と受け取られやすくなります。
そのため、「忙しい」という言葉を使うときは、相手の立場からどう聞こえるかまでを含めて設計することが重要になります。
言い換えのポイントは「状況」「期限」「代替案」を足すこと
「忙しい」という言葉を完全に封印する必要はありません。
大切なのは、相手が判断しやすい情報を一緒に伝えられているかどうかです。
特に意識したいのは、次の三つの要素です。
- 状況:何がどのくらい埋まっているのか
- 例:「別案件の締切が今週中に複数重なっており」
- 例:「本日〜◯日までは、出張と会議が続いている状況でして」
- 期限:いつまで・いつからなら動けるのか
- 例:「◯日以降でしたら時間を確保できます」
- 例:「来週の後半であれば、1時間ほどお時間をいただけそうです」
- 代替案:代わりに何ができるのか
- 例:「まずはメールで概要を共有いただければ、確認可能です」
- 例:「私が難しい場合、◯◯が対応可能か確認いたします」
例えば、
を、次のように言い換えると、印象は大きく変わります。
このように、
- 忙しさの背景(状況)
- どこまでが難しく、いつなら可能なのか(期限)
- 代わりの方法や日程(代替案)
を加えることで、「忙しいのでできません」という自己都合の印象から、「相手を気遣いながら、現実的な提案をしている」返事へと変えることができます。
以降の章では、これら三つの要素を具体的なフレーズとして整理し、
メール・チャット・会話それぞれでそのまま使える形に落とし込んでいきます。
忙しいと言いがちなシーンと、誤解を招くNGパターン
ここでは、つい口から出てしまいやすい「忙しいです」の代表的なシーンを取り上げます。
どれも「事実としては忙しい」のですが、伝え方が曖昧なままだと、相手には別のメッセージとして届いてしまうケースです。
自分の言い方のどこが曖昧なのか、どの情報が足りていないのかを整理していきます。
依頼・打ち合わせの誘いを断るときの「今ちょっと忙しくて」
仕事の依頼や打ち合わせの誘いに対して、反射的に出てきやすいのが
「今ちょっと忙しくて…」「この時期バタバタしていて…」という一言です。
伝える側としては、
「本当に時間がない」「余裕がない」
という状況の説明のつもりでも、受け取る側には次のように聞こえやすくなります。
- 自分の用件よりも、他の仕事を優先された
- これ以上お願いすると、さらに嫌がられそうだ
- 今後も頼みにくい相手かもしれない
特に問題なのは、
- いつまで忙しいのか
- 代わりの候補日や手段はあるのか
- どの程度なら対応できるのか
といった情報がないまま、話がそこで止まってしまうことです。
例えば、次のような言い回しは、相手にとって判断材料が少なすぎます。
- 「今ちょっと忙しいので、打ち合わせは難しいです」
- 「今バタバタしていて、新しい案件までは手が回りません」
すると相手は、
- ではいつなら声をかけてよいのか
- 他の人に頼んだ方がいいのか
- そもそも自分の依頼は優先度が低いのか
が分からず、関係性そのものに不信感を持ちかねません。
このパートで押さえておきたいのは、
「忙しいと言うな」という話ではなく、忙しさだけを理由にして会話を終わらせないことです。
次の章以降で扱うように、
- いつなら対応できるか
- どのくらいなら時間を取れるか
- 他にどんな提案ができるか
までセットで伝えられると、同じ状況でも印象は大きく変わります。
上司・取引先への「最近ずっと忙しくて」
上司や取引先との会話で、口癖のように
「最近ずっと忙しくて」「ここしばらくバタバタしていて」
と言ってしまうケースも注意が必要です。
本音としては、
- 業務量が多いことを分かってほしい
- これ以上のタスクは難しいと伝えたい
- 頑張っていることを理解してもらいたい
といった思いがあるかもしれません。
しかし、立場が上の相手から見ると、
- 業務の優先順位や時間配分を自分でコントロールできていない
- 忙しさを理由に、依頼や指示をやんわり断っている
- 問題があっても、具体的な相談ではなく「忙しい」で片付けている
といった印象につながりやすくなります。
特に、次のような受け答えは要注意です。
このような返答が続くと、相手は
- 実際、どの業務がどの程度負担になっているのか
- 優先順位の見直しや、リソース配分の相談が必要なのか
- こちら側で調整できる余地はないのか
といったことを把握できません。
結果として、「忙しい」を繰り返すほど、かえって任せづらい人、相談しづらい人と見なされてしまうことがあります。
本来であれば、
- どの業務がどのように重なっているのか
- どこを見直せば対応できる可能性があるのか
を共有した方が、上司や取引先も動きやすくなります。
この点は、後の章で「相談型の言い換えフレーズ」として整理していきます。
チャットやメールでの「忙しいアピール」になってしまうケース
チャットやメールでは、つい冒頭に
- 「最近バタバタしていて返信が遅くなり失礼しました」
- 「ここ数日、かなり立て込んでおりまして」
といった一文を入れてしまいがちです。
一度なら「事情の説明」として受け取ってもらえますが、
ほとんどのメッセージに毎回のように書いてしまうと、次のような印象に変わっていきます。
- この人はいつも余裕がない
- 仕事を頼んでも、期限通りに進まないかもしれない
- 遅れやミスの理由が、すべて「忙しい」で片付けられている
特に、チャットはログが残るため、
- オープンなチャンネルやグループチャットで何度も「忙しくて…」と書く
- さまざまな相手に同じ文面を送っている
といった状態になると、「忙しさをアピールしている人」という印象を持たれてしまうリスクがあります。
また、忙しさの説明だけを続けると、
- 本題が何なのか
- 相手に何をしてほしいのか
- 次にどう動くつもりなのか
が見えにくくなり、コミュニケーションとしての情報価値が下がってしまう点も問題です。
もちろん、事情を一切伝えずに遅れたままよりは、
一言添える方が丁寧な場合もあります。
大切なのは、
- 忙しさの説明だけで終わらせないこと
- 「今後どうするか」「いつまでに何をするか」を必ずセットにすること
です。
このあと扱う言い換えフレーズでは、
- 「忙しい」を言い訳ではなく、状況共有として扱う方法
- 忙しさに触れるときも、相手の安心につながる一文の足し方
を具体的な文例として整理していきます。
状況を伝える「忙しい」の基本言い換えフレーズ10選
ここでは、「忙しいです」をそのまま使わずに
今の状況だけをていねいに説明するフレーズをまとめます。
ポイントは、
- 感情ではなく「状況」を伝える
- 相手が「なるほど、そういう事情なら」と理解できる情報を添える
- 可能であれば「いつなら余裕ができそうか」のヒントも入れる
の三つです。
仕事・予定が立て込んでいることを伝える言い方
まずは、いちばん使いやすい「立て込んでいる」パターンです。
「忙しい」よりも柔らかく、ビジネスメールでも違和感なく使えます。
使用例
- 「ただいま業務が立て込んでおりまして、すぐのご対応が難しい状況です。」
- 「今週は案件が立て込んでおり、お時間を取りづらい状況です。」
- 「現在、期末対応の業務が立て込んでおりまして、ご返信にお時間を頂戴しております。」
- 「忙しくて」ではなく、「業務が立て込んでいる」という事実ベースの表現にすることで、感情的な印象を抑えられます。
- 「〜状況です」「〜しております」といった言い回しにすることで、言い訳感よりも状況共有のニュアンスが強くなります。
- 後ろに続けて、「◯日以降であれば調整可能です」などの一文を足すと、さらに印象が良くなります。
手が離せない状況を説明するフレーズ
次に、「今まさに別の対応をしているため、その場では動けない」という状況を伝える言い方です。
使用例
- 「今対応中の案件から手が離せない状況でして、すぐに確認ができません。」
- 「只今、別件の対応に追われておりまして、即時のご対応が難しい状態です。」
- 「現在進行中のプロジェクト対応に集中しており、今すぐのお打ち合わせが難しい状況です。」
- 「手が離せない」「対応中の案件」という言葉を使うことで、何に時間を使っているのかがイメージしやすくなります。
- 詳細をすべて説明する必要はありませんが、「別件」「進行中のプロジェクト」などの一言が入るだけで、相手の納得感が変わります。
- この後に「◯時以降であれば一度時間をお取りできます」など、代替の時間帯を示せると、前向きな印象になります。
時間帯・期間を区切って伝えるフレーズ
「ずっと忙しい」と言ってしまうと、相手は予定を立てづらくなります。
そこで、時間帯や期間を区切って伝える言い方が有効です。
使用例
- 「本日中は、他の予定との兼ね合いで時間の確保が難しくなっております。」
- 「今週いっぱいはスケジュールに余裕がなく、打ち合わせのお時間を取りづらい状況です。」
- 「午前中は会議が続いており、午後であればお時間を調整しやすくなります。」
- 「本日中」「今週いっぱい」「午前中」などの時間の枠を示すことで、相手は「では◯日以降に相談しよう」と判断しやすくなります。
- 可能であれば、続けて
「◯日以降であれば比較的調整しやすい見込みです。」
のように、目安となるタイミングを示すと親切です。 - 単に「忙しい」ではなく、「いつまで忙しいのか」が分かるだけで、相手の不安はかなり減ります。
短期的に余裕がないことを示すフレーズ
「ずっとではないが、ここ数日だけかなり立て込んでいる」というケースも多いはずです。
そのようなときは、「短期的な混み具合」であることが伝わるフレーズを使います。
使用例
- 「直近数日は立て込んでおりまして、すぐのご対応が難しい見込みです。」
- 「今週は少々バタバタしており、ご提案資料の作成にお時間を頂戴しそうです。」
- 「ここ数日、締切の業務が重なっており、即時のご返信が難しい状況です。」
- 「直近数日」「今週は」「ここ数日」といった表現を使うことで、一時的な状況であることが伝わります。
- 「お時間を頂戴しそうです」「即時のご返信が難しい状況です」といった言い方にすることで、
単に「忙しい」と言うよりも、どの部分に影響が出るのか(返信・資料作成など)が明確になります。 - 後続のフレーズとして、
「◯日頃までには一度状況をご報告いたします。」
と添えると、相手もスケジュールを組み立てやすくなります。
ここでは、
- 「忙しい」という感情ベースの一言ではなく
- 「何が」「どのくらい」「いつまで」埋まっているのかを、短いフレーズで共有する
ことを目指しました。
このあと続く章では、ここでの「状況説明」にさらに
- 代替案
- 期限の目安
- 相手への配慮の一言
を足していくことで、断り方やスケジュール調整の言い方に発展させていきます。
シーン別:忙しいときのNG/OK言い換え比較表

ここでは、実際によくあるシーンごとに
「忙しいです」「バタバタしていて…」といった言い方を、
どのように言い換えれば印象が柔らかく、具体的になるかを整理します。
キーポイントは次の三つです。
- 「忙しい」という感情ワードではなく、「予定が入っている」「他案件を対応中」などの状況ワードに変える
- 「無理です」で終わらせず、いつなら・どの程度なら可能かの目安を添える
- 相手への配慮が伝わるクッションフレーズを足す
後半の表は、印刷やスクショで手元に置きやすい「NG/OK早見表」として活用できる構成にします。
会議・打ち合わせの日程調整シーン
日程調整でつい言ってしまいがちなのが、
「今忙しいので、その日は無理です」といったストレートな断り方です。
これだと、相手から見ると
- 本当に忙しいのか
- 他の日なら大丈夫なのか
- どの程度こちらの予定を優先してくれるのか
が見えず、「突っぱねられた」印象になりやすくなります。
そこで、既に埋まっている事実+代替案をセットにして伝えます。
- 「忙しいので」ではなく「予定が入っておりまして」「会議が立て込んでおり」という具体的な事情に言い換える。
- 「無理です」で終わらせず、「別日で」「◯日以降でしたら」など代わりの選択肢を提示することで、「協力しようとしてくれている」印象に変わります。
新規依頼・追加タスクをお願いされたとき
仕事を頼まれたときに、思わず
と返してしまうと、相手には
- 「やりたくないのかな」
- 「この人には頼みにくい」
と受け取られてしまう危険があります。
そこで、現在の稼働状況+着手可能なタイミングを具体的に出していきます。
- ただ断るのではなく、「◯日以降なら可能」「優先度を調整すれば一部対応できるかもしれない」と、前向きな姿勢を見せる。
- すべてを抱え込まず、それでもできる範囲を探すスタンスが伝わると、信頼関係を保ちながら断る・調整することができます。
食事・雑談の誘いを断るとき(社内・取引先)
社内の飲み会やランチ、取引先からのお食事の誘いなども、
「今忙しいので、また今度」「最近ずっとバタバタで…」と返すと、
- 「自分とは行きたくないのかな」
- 「社交辞令で断られたのかな」
と、余計な勘ぐりを生みやすい場面です。
そこで、予定が埋まっている事実+行きたい気持ち+次の候補をセットで伝えます。
- 「忙しいから行かない」ではなく、「今は予定が重なっていて難しいが、行きたい気持ちはある」というスタンスを明確にする。
- 「来週以降で」「落ち着きましたらこちらからも」など、関係性を続けたいサインを一言添えることで、相手も誘いやすさを保てます。
シーン別 NG/OK言い換え一覧表
最後に、ここまでの内容をシーン別の早見表としてまとめます。
コピー&保存しておけば、メールやチャット文を書くときのチェックリストとしても活用できます。
| シーン | NG表現(忙しい含む) | 丁寧な言い換え例 | ポイント(何をどう具体化しているか) |
|---|---|---|---|
| 会議の日程調整 | 「今忙しいので、その日は無理です。」 | 「そのお日にちは既に予定が入っておりまして、別日でご相談させていただけますでしょうか。」 | 「忙しい」をやめて「予定が入っている」という事実に変更し、代替日を提示して前向きな印象にしている。 |
| 依頼・タスクを受ける/断る | 「今ちょっと手が回らなくて…」「最近忙しいので厳しいです。」 | 「現在、他案件の対応が続いており、◯日以降であれば着手が可能です。」 | 断り文句ではなく、稼働状況と「いつならできるか」をセットで示し、協力姿勢を見せている。 |
| 食事・懇親会の誘いを断る | 「今忙しいので、また今度。」「最近ずっとバタバタで行けそうにありません。」 | 「今週は夜の予定が埋まっておりまして、来週以降で改めてお声がけいただけますと助かります。」 | 忙しさではなく「予定が埋まっている」と表現し、「来週以降」「改めて」と関係を続ける意図を添えている。 |
| 上司への「今は難しい」の伝え方 | 「今忙しいので無理です。」「ちょっと厳しいです。」 | 「現時点では他の案件で手一杯の状況でして、◯日までお時間をいただけますでしょうか。」 | 感情的な否定を避け、「他の案件で手一杯」という状況説明と、具体的な希望期限を示して調整案にしている。 |
この表をベースに、
- 「忙しい」という一言を避ける
- 状況+期限+代替案を足す
という視点で文章を組み立てていくと、
相手への印象を損なわずに「今は難しい」を伝えやすくなります。
メール・チャットで使える「忙しい」を言わないフレーズ10選
ここでは、メールや社内チャットなどのテキストコミュニケーションで、そのまま使える「忙しい」を使わないフレーズをまとめます。
ポイントは次の3つです。
- 忙しさではなく「予定」「状況」を具体的に伝える
- 断るだけでなく「いつなら可能か」「どうしてほしいか」まで書く
- 言い訳にならないよう、簡潔かつ前向きな言葉を添える
ビジネスメール向けの文章と、Slack・Teamsなどのチャット向け短文、オンライン会議での一言に分けて整理します。
ビジネスメールでのスケジュール都合の伝え方
ビジネスメールでは、「忙しいので」と書いてしまうと、どうしても感情的・主観的な印象になりやすくなります。
代わりに、「既に予定が入っている」「当日は終日予定がある」といった客観的な事実+代案で伝えると、ぐっと印象が柔らかくなります。
例文のイメージです。
- 「あいにくそのお時間は別件の予定が入っておりまして、別日程でご調整いただくことは可能でしょうか。」
- 「当日は終日予定が入っており、参加が難しい状況でございます。◯日以降でしたら調整しやすくなります。」
- 「該当の時間帯は別案件の打ち合わせが予定されており、ご指定いただいたお時間での参加が難しそうです。」
- 「直近はスケジュールが立て込んでおりまして、オンラインで短時間の打ち合わせでしたら◯日の午後はいかがでしょうか。」
いずれも「忙しい」という主観を避け、「予定が入っている」「スケジュールが立て込んでいる」といった事実ベースの表現にしています。
あわせて、件名も
- 「日程調整のお願い」
- 「◯◯打ち合わせの候補日について」
のように、用件がひと目で分かる形にしておくと、「忙しいので返信が遅れました」と書かなくても、相手は状況を把握しやすくなります。
社内チャットでの短文リアクション
社内チャットでは、つい
- 「とりあえずあとで見ます」
- 「今忙しいので、後ほど」
と返してしまいがちですが、これだと「いつごろ見てもらえるのか」が相手に伝わりません。
目安時間や対応の順番を一言足すだけで、安心感が大きく変わります。
使いやすい短文の例です。
- 「今少し立て込んでいるため、◯時頃にあらためて拝見します。」
- 「一旦こちらの作業を優先させていただき、◯時までに確認します。」
- 「すぐには対応できないのですが、本日中には一次回答をお送りします。」
いずれも、
- 「今は手が離せない」こと
- 「いつまでに・どのレベルまで対応するか」
をセットで伝えています。
「とりあえず見ておきます」「あとで確認します」だけだと、
相手は「今日中なのか、明日以降なのか」「どの程度の優先度なのか」が分かりません。
短くても良いので、時間の目安を数字で示す意識を持つと、チャットの印象が大きく変わります。
オンライン会議の冒頭・終了時に使える一言
オンライン会議では、開始直前まで別の会議が入っていたり、終了後すぐ別の予定があったりと、スケジュールが詰まりがちです。
そこで「今日もバタバタしていて」「最近忙しくて」と言ってしまうと、単なる言い訳に聞こえてしまうことがあります。
状況だけを簡潔に伝えつつ、お詫びや感謝を添える言い方にすると、印象がぐっと良くなります。
冒頭で使える一言の例
- 「本日は直前まで別件の会議が入っており、開始がぎりぎりとなり失礼しました。」
- 「先ほどまで別の打ち合わせが長引いてしまい、お待たせして申し訳ありません。」
終了時・時間調整に関する一言の例
- 「このあと別の会議が控えているため、本日は◯時までの参加とさせていただきます。」
- 「本日はお時間をいただきありがとうございました。今後もスケジュールを調整しながら、引き続き進めさせていただければと思います。」
ここでも、「忙しい」という言葉は一切使わず、
- 「別件の会議が入っており」
- 「このあと別の会議が控えているため」
といった客観的な状況説明+お詫び・感謝で構成しています。
「忙しい」を抑えることが目的ではなく、
相手にとって「予定が読みやすく、付き合いやすい人」に見えるようにすることが、本来のゴールです。
メール・チャット・オンラインの場面ごとに、ここで紹介したフレーズを少しずつ取り入れてみてください。
断るだけでなく関係を守るための応用フレーズ10選
「忙しいので難しいです」で会話を終えてしまうと、その場は乗り切れても、相手との関係性は少しずつ痩せていきます。
ここでは、依頼やお誘いを断らざるをえない場面でも、
- 相手への敬意や感謝をしっかり伝える
- 「今後も関係を続けたい」という意思を示す
- 代替案や次のタイミングを共有する
といった要素を含んだ、少し踏み込んだ言い方を整理します。
同じ「お受けできない」という内容でも、表現を変えるだけで印象は大きく変わります。

代替案・別案を必ずセットにするフレーズ
断りだけで終わると、相手は
- 今回だけでなく、今後も頼みにくい
- 優先順位が低い相手だと思われている
と感じてしまいがちです。
そこで「No」だけでなく「Instead(その代わり)」までをセットにして伝えると、関係を守りやすくなります。
使いやすい例としては、次のようなものがあります。
- 「今週はスケジュールが埋まっておりまして、来週でしたら◯日か◯日の午後にお時間をお取りできます。」
- 「明日中の対応は難しい状況ですが、◯日午前まででしたら、こちらで確認のうえご連絡差し上げます。」
- 「今回の件について、私が対応するのは難しいのですが、◯◯に相談すればお力になれるかもしれません。」
- いつなら可能か(代替日・代替時間)
- 誰なら可能か(別の担当・窓口)
といった「別の選択肢」を必ず一つ添えること。
「できません」で終わらせず、「この範囲ならできます」と枠を示すことで、相手も予定を立てやすくなります。
相手への感謝・配慮を前置きするフレーズ
忙しい中で声をかけてもらったり、任せてもらったりしていること自体は、本来ありがたいことです。
その感謝を一言添えるだけで、断りの言葉の印象は大きく変わります。
例えば、次のような言い回しです。
- 「お声がけいただき大変うれしいのですが、◯日まで既に別案件が立て込んでおりまして、今回は難しい状況です。」
- 「お誘いいただきありがとうございます。あいにく今週は夜の予定が埋まっており、別のタイミングでぜひご一緒できればと思います。」
- 「今回のご依頼先として私を候補に挙げてくださり、ありがとうございます。現時点では十分な時間を確保できないため、無理にお受けしない方がよいと判断いたしました。」
ここで意識したいのは、
- まず「ありがとう」「うれしい」といった感謝を先に置く
- その上で「現状こういう理由で即時対応は難しい」と説明する
という順番です。
「忙しいので無理です」ではなく
「声をかけてもらえたことはうれしい。ただ、きちんと対応できる状態ではない」
というメッセージにすることで、相手も「邪険にされた」と感じにくくなります。
今後の余裕ができるタイミングを共有するフレーズ
「今は難しい」という言い方だけだと、相手には
- もう二度と声をかけない方がよいのか
- どのタイミングなら相談してもよいのか
が分かりません。
そこで、「いつなら余裕ができそうか」「いつ頃ならあらためて相談してほしいか」を一言添えると、関係を先につなげやすくなります。
使いやすいフレーズの例です。
- 「◯月中は繁忙期のため、新しい案件をお受けするのが難しい状況です。◯月以降でしたら、少し余裕ができる見込みです。」
- 「決算対応が落ち着く◯月第2週以降であれば、あらためて時間を確保できると思います。」
- 「繁忙期が明けましたら、こちらからもあらためてご連絡させてください。そのタイミングでご一緒できることがあればうれしいです。」
- 「ずっと無理」ではなく「いつ頃なら可能」かを示す
- 相手からだけでなく、自分から連絡する意思も伝える
「今は難しいですが、◯月以降ならぜひ」というメッセージにしておくと、
相手も遠慮なく次のタイミングで声をかけやすくなり、長い目で見た関係性が守られやすくなります。
「状況を伝える「忙しい」の基本言い換えフレーズ10選」の「状況を伝える基本フレーズ」と、この「関係を守る応用フレーズ」を組み合わせることで、
単に「忙しい」と言うのではなく、
- 状況
- 期限
- 代替案
- 感謝・今後の意向
をバランスよく伝えられるようになります。
すべてを一度に変えようとしなくても構いません。まずは一つ、お使いになりやすい表現から取り入れてみてください。
「忙しい」の言い換えに関するよくある質問(FAQ)
ここでは、実務でよく迷われるポイントを Q&A 形式でまとめます。
細かなニュアンスで悩んだときに、戻ってこれる「確認用メモ」のような位置づけで使ってください。
Q. 上司や取引先に「忙しいです」と言うのは失礼でしょうか?
上司や取引先に対して、忙しいという事実を伝えること自体が即NGというわけではありません。
ただし、そのまま「忙しいです」「今バタバタしていて」だけで終わると、次のように受け取られやすくなります。
- 自分の事情ばかり優先している
- こちらの用件を後回しにしている
- スケジュール管理ができていない
そのため、ビジネスでは「忙しい」という単語を直接使うよりも、状況を少し具体的に伝える言い方に変えた方が安全です。
例えば、次のような表現です。
- 「ただいま業務が立て込んでおりまして、◯日以降であればお時間をお取りできます」
- 「現時点で手が離せない状況でして、◯時以降にこちらからあらためてご連絡いたします」
このように
- 何となく忙しい
ではなく - どのような理由で、いつまで手が空かないのか
を簡潔に添えると、相手も状況をイメージしやすくなり、失礼な印象がぐっと減ります。
Q. 本当に限界のとき、どこまで正直に忙しさを伝えてよいですか?
心身ともに余裕がなく、本当に限界に近いときは、むしろ一定の説明をした方が双方にとって健全な場合も多いです。
ただし、単に「とても忙しくて無理です」とだけ伝えると、相手からは
- どの業務が重なっているのか
- いつごろなら落ち着きそうなのか
が分からず、不安だけが残ります。
そこで、次のようなポイントを押さえて伝えるのがおすすめです。
- 体調や業務量など、必要な範囲で事情を共有する
- 具体的な業務名を一部示す
- 期限や見通しを添える
例としては、次のような言い方があります。
- 「現在、決算対応と新規プロジェクトが重なっており、今週中の新しいご依頼をお受けするのが難しい状況です」
- 「ここ数日、体調面も含めて余裕がなく、ご期待に沿えるクオリティで対応できないと判断しております」
- 「◯月第2週以降であれば、あらためてお力になれる見込みです」
忙しさを理由にするのではなく
- きちんと対応できない状態で無理に引き受ける方が失礼になる
という観点を添えて伝えると、理解してもらいやすくなります。
Q. 同期や親しい同僚には、普通に「忙しい」と言ってもいいですか?
クローズドな雑談の場で、同期や親しい同僚に
- 「最近めちゃくちゃ忙しい」
- 「今週バタバタだよね」
と話すこと自体は、自然なコミュニケーションの一つです。
ただし、そのままの温度感で、チャットやメール、オープンな場にも流してしまうと、次のような誤解につながる可能性があります。
- チーム全体が常に逼迫しているように見える
- お客様や他部署への配慮が欠けているように見える
- ログとして残り、別の文脈で読まれたときに印象が悪くなる
特に、次のような場では、できるだけ丁寧な言い換えにしておく方が安全です。
- 全社・全チームが参加するオープンチャンネル
- 取引先との共有チャット
- 上司も閲覧するプロジェクトのやり取り
このような場では
- 「今週は業務が立て込んでおりまして」
- 「直近は別案件の対応が続いているため」
といった表現にしておくと、カジュアルさを抑えながらも状況は伝えられます。
Q. 忙しいと断り続けて関係が途切れてしまうのが怖いです
たしかに、依頼やお誘いに対して「忙しいので難しいです」と続けてしまうと、相手も次第に声をかけづらくなっていきます。
関係を守るためには、
- 断るときも、関係維持の意思を一緒に伝える
- いつなら、どんな形なら関わりやすいかを共有する
ことが大切です。
例えば、次のような言い方が考えられます。
- 「今回はスケジュールの都合で難しいのですが、来月以降であれば落ち着く見込みです。その頃にあらためてお声がけいただけますとありがたいです」
- 「お誘いいただきとてもうれしいのですが、今期中は夜の予定が埋まりがちでして、落ち着きましたらこちらからもぜひご連絡させてください」
- 「長期の案件については今すぐお約束ができない分、短期のスポットであればお役に立てるかもしれません」
このように
- 今回は難しい
だけで終えずに - いつなら、どのような形なら協力しやすいか
- また機会があれば関わりたいと思っていること
を言葉にしておくことで、「忙しいから距離を置かれている」のではなく「状況が整えばまた一緒に動きたいのだ」と伝わりやすくなります。
言い換えのテクニックに加えて、
- 断る頻度
- その後のフォロー
も含めてバランスを見ると、仕事相手との関係を長く穏やかに続けやすくなります。
まとめ|忙しいときこそ、言葉の具体性で信頼を積み重ねる
押さえておきたいポイントの振り返り
ここまでの内容を、最後にコンパクトに整理しておきます。
- 「忙しいです」「今バタバタしていて」だけだと、相手には状況が伝わらず、曖昧さや不安を生みやすい
- 「業務が立て込んでおりまして」「現在、別案件の対応に追われており」など、具体的な状況を添えることで納得感が高まる
- 会議の日程調整や依頼への返答では、シーン別NG/OK表で見たように「期限」「見直しのタイミング」「代替案」をセットで伝えることが大切
- メール・チャットでは、「いつ」「どこまで」「どのように対応するか」を一文に含めることで、誤解や行き違いを減らせる
- 「忙しい」を完全に封印するのではなく、場面に応じて丁寧な言い換えを選べるようにしておくことが、長期的な信頼につながる
フレーズ暗記より「相手に何を伝えたいか」から考える
この記事では、20個の言い換えフレーズを紹介してきましたが、
ゴールは「すべてを暗記すること」ではありません。
大事なのは、毎回のやり取りで
- 何を一番伝えたいのか
- 相手にどんな状態になってほしいのか
を一度立ち止まって考えることです。
例えば、同じ「忙しい状況」でも、目的はさまざまです。
- きっぱり断りたいのか
- 時期や日程をずらしたいのか
- 優先順位を一緒に相談したいのか
- 今は難しいが、今後も関係を続けたいと伝えたいのか
目的がはっきりすると、
- 「まずは◯日以降であればお時間が取れます」
- 「今週は難しいのですが、来週でしたら◯日・◯日が空いております」
- 「現在の業務状況を踏まえると、品質を保った対応が難しい見込みです」
といった、適切なフレーズが選びやすくなります。
この記事で紹介した20フレーズは、
「状況を具体的に伝えるための引き出し」として、必要なときに取り出してもらえれば十分です。
明日から試しやすい小さな一歩
いきなりすべての「忙しい」を言い換えようとすると、負担も大きくなります。
まずは、次のような「小さな一歩」から始めてみてください。
- 今日から一週間、「メールの中では『忙しい』という単語を使わない」と決めてみる
- 会議で日程調整をするときだけ、「NG/OK表で見た言い換え」を一度使ってみる
- チャットで「後で見ます」と言いたくなったとき、「◯時までに確認します」と時間を添えてみる
このように、シーンを一つに絞って練習すると、心理的な負担も少なくなります。
1日1フレーズだけでも構いません。
「忙しいので…」と言いかけたところで、
「あいにく本日は別件が立て込んでおりまして」と言い換えてみる。
その積み重ねが、少しずつ「伝わる言葉づかい」の習慣になっていきます。
ことのは先生よりひとこと

「忙しいです」と言いたくなるときほど、
一呼吸おいて、状況を具体的に伝えようとする姿勢そのものが、相手への配慮になります。
すべての場面を完璧に言い換えようとしなくて大丈夫です。
まずは、今日これから送る一通のメールや、一言のチャットだけでも、
「忙しい」を少しだけ丁寧な表現に変えてみるところから始めてみてください。


