ビジネスで使うと恥ずかしい敬語10選|よくある間違いと正しい言い換え例
「丁寧に話しているつもりなのに、実は間違っている敬語だった」――そんな経験はありませんか?
ビジネスシーンでは、正しい言葉遣いが信頼や印象を左右する大切な要素です。
ところが、日常的に使われている表現の中には、実は目上の人には使ってはいけない“NG敬語”が多く存在します。
たとえば「了解しました」「ご苦労様です」「なるほどですね」。
どれもよく耳にするフレーズですが、使う相手や場面を間違えると「失礼な印象」になってしまうことも。
この記事では、ビジネスで使うと恥ずかしい敬語10選を一覧で紹介しながら、
それぞれの正しい言い換え方・使い方・注意点をわかりやすく解説します。
今日からすぐに使える“感じの良い敬語”を身につけて、あなたの印象をワンランクアップさせましょう。
なぜ“間違った敬語”を使ってしまうのか?
敬語は社会人にとって欠かせない言葉づかいですが、
多くの人が「正しいと思っていたのに、実は間違っていた」という経験をしています。
なぜ、こんなにも“敬語の誤用”が起きてしまうのでしょうか?
ここでは、間違った敬語を使ってしまう3つの主な理由を整理してみましょう。
正しい言葉より「聞き慣れた言葉」を使ってしまう
多くの人が、正しいかどうかよりも「周りが使っているから」という理由で言葉を選んでいます。
たとえば、「了解しました」「ご苦労様です」「なるほどですね」などは、
オフィスやメールでよく耳にするため、自然と“正しい言葉”だと思い込んでしまうのです。
しかし、“よく聞く=正しい”ではありません。
ビジネスでは、場の上下関係や立場によって適切な言葉が変わるため、
「聞き慣れている表現」ほど注意が必要です。
“丁寧そう”に聞こえても実は失礼なケースがある
「〜させていただく」「〜になります」「〜のほう」など、
一見ていねいに聞こえる表現も、実は過剰敬語や誤用の代表例です。
たとえば、
❌「資料のほうを送らせていただきます」
⭕「資料をお送りします」
のように、余分な語を加えることでかえって不自然で回りくどい印象を与えてしまうことがあります。
丁寧さを意識するあまり、かえって相手に違和感を与えてしまう――これが「敬語の落とし穴」です。
誰も教えてくれない「敬語の思い込み」が原因
学校でも職場でも、「敬語の正解」を体系的に学ぶ機会は意外と少ないものです。
そのため、なんとなく覚えた“雰囲気敬語”がそのまま定着してしまうケースが多くあります。
たとえば、
- 「ご苦労様」は“ねぎらい”の言葉だから目上にも使っていいと思っていた
- 「了解しました」は“敬語っぽい”から上司にもOKだと思っていた
など。
こうした思い込みを一度リセットして、言葉の意味と使う場面を理解するだけで、
あなたの敬語力はぐっと上がります。
【一覧】ビジネスで使うと恥ずかしいNG敬語10選

「丁寧に話しているつもりが、実は失礼だった」
そんな“うっかり敬語”は、社会人の誰もが一度は使ったことがあるのではないでしょうか。
ここでは、ビジネスシーンでよく使われるNG敬語10選を一覧でまとめました。
それぞれの正しい言い方と、なぜ間違いなのかを一緒にチェックしておきましょう。
| ❌ NG表現 | ⭕ 正しい言い方 | 💡 解説 |
|---|---|---|
| 了解しました | 承知しました | 「了解」は同等または目下に使う表現。上司や取引先には「承知しました」が自然。 |
| ご苦労様です | お疲れ様です | 「ご苦労様」は目上から目下に使う言葉。上司・顧客には「お疲れ様です」を。 |
| なるほどですね | おっしゃる通りです | 「なるほど」に「ですね」を重ねるのは不自然。敬意を示すなら「おっしゃる通りです」。 |
| 〜の方 | 〜を/〜に | 「方」は人を指す場合のみ。モノや動作には「を」「に」を使うのが正解。 |
| 〜になります | 〜です/〜でございます | 「〜になります」は変化を表す言葉。「私は営業になります」などは誤用。 |
| ご一緒させていただく | 一緒に伺います | 「させていただく」は自分の利益を含む行為に使う。同行の場合は「伺います」でOK。 |
| おっしゃられる | おっしゃる | 「おっしゃる」自体が尊敬語。「られる」を加えると二重敬語になる。 |
| ご苦労でした | お疲れ様でした | 「ご苦労でした」は上からの言い方。退勤時などは「お疲れ様でした」が無難。 |
| ご確認くださいませ | ご確認ください | 「〜くださいませ」は過剰敬語。メールでも「ご確認ください」で十分丁寧。 |
| ご教示願えますでしょうか | ご教示ください | 「願えますでしょうか」は重ねすぎ。シンプルに「ご教示ください」が最も自然。 |
間違い敬語が生まれる理由
多くのNG敬語は、「丁寧にしよう」と思うあまり敬語を重ねすぎてしまうことから生まれます。
「〜させていただく」「〜になります」「〜くださいませ」などは、
いずれも“過剰敬語”として日本語指導の現場でも注意される表現です。
正しい敬語を身につけるコツは、「本当にその言葉が敬意を伝えているか」を考えること。
「丁寧に見える言葉」より、「自然に伝わる言葉」を選ぶことが大切です。
「正しい言い換え方」を身につける3つのステップ
「間違った敬語を直そう」と思っても、どこから意識すればいいのか迷う人は多いでしょう。
敬語は単なる言葉の置き換えではなく、相手との関係性や場面に合った“言葉の選び方”が重要です。
ここでは、ビジネスで自然に使える“正しい敬語の言い換え方”を身につけるための3つのステップを紹介します。
①「誰に向けて言うか」を意識する(上下関係で判断)
敬語の第一歩は、相手との立場関係を意識することです。
同じ言葉でも、使う相手が上司か同僚かによって印象は大きく変わります。
たとえば、
- 上司や取引先には「承知しました」「お疲れ様です」
- 同僚や部下には「了解しました」「ありがとう」
といったように、相手の立場によって自然な言葉を選ぶのがポイントです。
言葉そのものよりも、「誰にどう聞こえるか」を意識すると、失礼を防ぐことができます。
② 「聞いたことがある言葉」より「意味で選ぶ」
多くの人が“聞いたことがあるから”という理由で言葉を選びがちですが、
正しい敬語を使うには、「その言葉の意味」から判断する力が必要です。
たとえば、「〜になります」は変化を表す言葉。
「私は営業になります」は正しくは「私は営業です」です。
また、「ご苦労様です」は目上の人に対して使うと“ねぎらい”ではなく“命令側”の響きになることも。
つまり、「意味を知れば正しい言葉が選べる」ということ。
敬語のコツは、暗記ではなく「文脈で理解する」ことにあります。
③ 正しい敬語は“引き算”で考える(過剰敬語を避ける)
敬語の改善で意外と大切なのが、「足す」より「引く」意識です。
「〜させていただく」「〜になります」「〜くださいませ」など、
丁寧に聞こえる言葉ほど、実は過剰敬語である場合が多いのです。
たとえば、
❌「ご確認くださいませ」
⭕「ご確認ください」
❌「おっしゃられる」
⭕「おっしゃる」
このように、余分な言葉を省くだけで文章がすっきりし、より自然で上品な印象になります。
“正しい敬語”とは、難しい言葉を並べることではなく、相手にとってわかりやすく、心地よい言葉を選ぶこと。
それが本当の「伝わる敬語改善」の第一歩です。
よくある勘違い敬語Q&A
ビジネスの現場で「これって正しい言い方なの?」と迷うこと、ありますよね。
ここでは、特に質問の多い“敬語の落とし穴”をQ&A形式で整理しました。
明日からすぐに役立つ、正しい使い分けを確認しておきましょう。
Q1:「〜でよろしかったでしょうか?」は正しい?
A:基本的には誤用。正しくは「〜でよろしいでしょうか?」です。
「〜でよろしかったでしょうか?」は、もともと過去形の表現。
本来は「以前お伺いした内容で間違いありませんか?」のように、
“すでに確認したこと”を再確認する場合にだけ使えます。
しかし多くの人が、現在の確認にも使ってしまうため、
「今の話なのに過去形で違和感がある」印象を与えてしまいます。
✅ 正しい言い換え例
- 「こちらの内容でよろしいでしょうか?」
- 「この日程で問題ございませんか?」
💡 敬語のコツ
「〜でよろしかったでしょうか?」は“やわらかく聞こえる”ものの、
ビジネスでは「〜でよろしいでしょうか?」がより自然で上品です。
Q2:「ご苦労様です」は目上に使っていい?
A:NGです。目上には「お疲れ様です」を使いましょう。
「ご苦労様です」は、もともと目上が部下に対してねぎらう言葉。
そのため、上司や取引先に使うと「上から目線」の印象を与える恐れがあります。
✅ 正しい言い換え例
- 「お疲れ様です」(社内で広く使える)
- 「本日もありがとうございます」(より丁寧な印象)
💡 敬語の疑問あるある
一部の年配の方や業界によっては「ご苦労様」も使われますが、
一般ビジネスシーンでは避けたほうが無難です。
Q3:「ご査収ください」と「ご確認ください」の違いは?
A:どちらも“確認”をお願いする言葉ですが、使う場面が異なります。
「ご確認ください」は、資料・内容などを見てほしいときの一般的な表現。
一方で「ご査収ください」は、書類や請求書などを正式に“お受け取りください”という意味を持ちます。
✅ 使い分けの目安
- 「ご確認ください」→ 内容のチェックを依頼するとき
- 「ご査収ください」→ 書面・請求書・契約書を送るとき
💡 例文で見る違い
- 「添付の資料をご確認ください。」(一般的な依頼)
- 「請求書をお送りいたしますので、ご査収ください。」(フォーマルな受領依頼)
自然で好印象な話し方に変えるポイント

敬語が上手な人は、決して難しい言葉を使っているわけではありません。
むしろ「シンプルで聞き取りやすく、相手が気持ちよく受け取れる話し方」をしています。
ここでは、丁寧さと自然さを両立させるための3つのポイントを紹介します。
① 敬語の目的は“下手に出ること”ではなく“相手を立てること”
多くの人が「敬語=自分を低くする言葉」と勘違いしがちですが、
本来の目的は“相手を立て、良好な関係を築くための言葉”です。
たとえば、
「申し訳ありません」よりも「お手数をおかけしました」
「すみません」よりも「ありがとうございます」
このように、言葉を少し変えるだけで、
“謝罪”より“感謝”が伝わる、前向きな印象に変わります。
丁寧な話し方のコツは、相手に「大切にされている」と感じてもらうこと。
謙遜ではなく、思いやりの表現として敬語を使いましょう。
② 「正しさ」より「感じの良さ」を重視する
敬語には「文法的な正しさ」と「印象としての良さ」の2軸があります。
場面によっては、多少の言い回しの違いよりも、自然に伝わるかどうかのほうが重要です。
たとえば、
- 「承知いたしました」より「かしこまりました」が柔らかく聞こえることも
- 「恐れ入りますが」より「お手数ですが」のほうが親しみやすい場合も
つまり、敬語のゴールは“完璧な正解”ではなく、
相手が心地よく感じるコミュニケーションにあります。
💡敬語コツ
迷ったら「この言葉を言われたら、自分はどう感じるか?」を基準に選ぶと自然に整います。
③ トーン・表情・間の取り方も敬意を伝える要素
言葉だけでなく、話し方全体の雰囲気も敬語の一部です。
たとえ正しい敬語を使っても、
声のトーンが冷たかったり、早口で余裕がなかったりすると、
相手は「形式だけで心がこもっていない」と感じてしまいます。
丁寧な話し方を身につけるには、次の3つを意識しましょう。
- トーン: やや柔らかく、語尾を強く言い切らない
- 表情: 笑顔で話すことで、言葉がやさしく伝わる
- 間の取り方: 相手が考える余白をつくることで安心感を与える
これらを意識するだけで、あなたの言葉は“敬語らしさ”だけでなく、信頼感と温かさを感じさせるものになります。
まとめ|敬語は「正しさ」より「相手への思いやり」
ビジネスシーンでの敬語は、マナーの一部であると同時に、信頼関係を築くための“心の言葉”です。
言い方ひとつで、相手に与える印象や関係性が大きく変わります。
ここでは、記事全体を振り返りながら、これから意識したいポイントを整理します。
正しい言葉遣いは信頼を生む第一歩
敬語の基本は「正しさ」ではなく「相手への敬意」です。
たとえば「了解しました」と「承知しました」――
意味は似ていますが、受け取る側にとっての印象はまったく違います。
丁寧な言葉を選ぶことは、相手を大切に思う姿勢の表れ。
ビジネスに限らず、人間関係の中でも「話し方が丁寧な人」は自然と信頼されます。
💡敬語コツ
“丁寧な言葉=堅い言葉”ではなく、“思いやりを形にする言葉”と考えましょう。
“丁寧すぎる”より“自然に伝わる”が理想
過剰な敬語や形式的な言い回しは、かえって不自然に感じられることがあります。
「おっしゃられる」「〜でよろしかったでしょうか」などの過剰敬語は、相手に距離を感じさせてしまう場合も。
理想は、“自然で誠実な話し方”。
相手の状況や立場を考えながら、無理なくスッと届く言葉を選ぶことが大切です。
💡言葉遣い改善のポイント
“難しい言葉を覚える”より、“シンプルで気持ちの伝わる言い方”を心がける。
「伝え方Lab」では敬語の正しい使い方をわかりやすく解説中
敬語や言葉遣いは、一度覚えても使わなければすぐに忘れてしまうもの。
「伝え方Lab」では、日常会話・メール・ビジネスなど、シーン別にすぐ使える言葉選びのコツを紹介しています。
- 「感じの良い断り方」
- 「やんわり注意する伝え方」
- 「丁寧で印象が良い依頼メールの書き方」
など、実践的に学べる内容を多数掲載中です。
“使える敬語”を身につけたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
最後に:ことのは先生よりひとこと

敬語は、相手を思いやる心があれば、少しずつ自然と身についていきます。
間違いを恐れず、まずは「感じよく伝える」ことを意識してみましょう。
完璧よりも、やさしく。
それが、信頼される話し方のいちばんの近道です。


